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児童発達支援の稼働率(定員対比の利用率)は、収支差率に直結する指標です。福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)から、児童発達支援の稼働率の参考値と収益への影響を整理しました。
WAMの稼働率参考値は80.8%
福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)では、児童発達支援(児童発達支援センター以外)の稼働率参考値は80.8%・年間営業日数265.7日です。
7サービスの中での位置づけとして、放課後等デイサービス(87.8%)・生活介護(84.2%)・GH(85〜86%)より低く、就労移行支援(69.2%)よりは高い水準です。
稼働率が低い理由:休んでも定員は埋まらない
児童発達支援の稼働率が他のサービスより低い理由として、次のような特性があります。
- 利用者(障害児)の体調不良・発熱等による欠席が多い
- 幼稚園・保育所との併用利用で通所できる曜日・日数が限られる
- 利用者がいても、その日に来なければ収入はゼロ(欠席控除が発生する場合あり)
- 年齢ごとの計画支援が必要で、新規の利用者獲得に時間がかかる
定員が埋まっていても、欠席が多ければ稼働率は下がります。「定員に対して利用契約者数が多い事業所」でも、実際の延べ利用者数が少ない場合があります。
稼働率の変化が収入に与える影響
調査事業所の平均データ(定員13人・年収2,213万円・令和6年度)をもとに、稼働率変化の影響を試算します。
| 稼働率 | WAM参考値比 | 収入試算(年) | 収支差試算(年)※ |
|---|---|---|---|
| 90% | +9.2pt | 約2,463万円 | 約290万円 |
| 80.8%(WAM参考値) | ±0 | 約2,213万円 | 約172万円(R6実績) |
| 75% | ▲5.8pt | 約2,054万円 | 約13万円 |
| 70% | ▲10.8pt | 約1,918万円 | ▲123万円(赤字) |
※収支差試算は人件費率68.0%・その他費用が固定という前提の簡易計算です。参考値です。
稼働率が80.8%から70%に下がると(定員13人なら約1.3人分の減少)、収支が赤字に転落する計算です。収支差率の中央値9.7%と高いため、就労移行支援(69.2%で赤字になりやすい)よりは余裕がありますが、稼働率の低下に対する監視は必要です。
定員13人の事業所での稼働率と利用者数の関係
平均定員13人・年間営業日数265日(WAM参考値)で考えると:
- 稼働率80.8%:13 × 0.808 = 10.5人/日が平均利用人数
- 稼働率90%:13 × 0.9 = 11.7人/日
- 稼働率75%:13 × 0.75 = 9.75人/日
「毎日10〜11人が来ている」状態が標準的な稼働率(80〜90%)に相当します。定員13人に対して毎日3人前後が欠席している計算です。
児童発達支援の収入を増やすための加算の例
稼働率の改善と並んで、加算の取得で1人あたり収入を増やすことが損益分岐稼働率を下げる効果的な手段です。
児童発達支援の主な加算の例として、次のようなものがあります。
- 専門的支援実施加算:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員等の専門職が個別に支援を行う場合に取得できます。令和6年度の改定後の加算体系で、収入増加に寄与します
- 個別サポート加算:ケアニーズの高い障害児(特定の要件を満たす)に対して、個別の支援計画に基づく支援を行う場合に取得できます
- 家族支援加算:家族への相談・支援・指導を行った場合に取得できます
これらの加算は、取得要件を満たすために専門職の配置や研修が必要な場合があります。加算収入が新たな人件費を上回るかどうかを試算してから取得を検討することが重要です。
稼働率の月次管理のために記録すべき数字
稼働率を月次で把握するには、次の3つの数字を毎月記録することが基本です。
- 月間営業日数:休日・祝日を除いた実際の開所日数を記録する。法人全体の年間計画と月次の実績をそろえておく
- 月間延べ利用者数:実際にサービスを受けた人・日数の合計。請求書の明細数と一致しているか確認する
- 定員:変更があった月は変更後の定員を記録する
これら3つを記録しておけば、毎月「月間延べ利用者数 ÷(定員 × 月間営業日数)× 100」で月次稼働率を計算できます。月次の推移をグラフにすることで、稼働率が落ちている月のパターンが見えやすくなります。
欠席が多い月を事前に把握する
児童発達支援では、感染症の流行期(冬季)・夏休み明けなど欠席が増えやすい時期があります。月次の稼働率を記録し、欠席が増える傾向がある月を把握しておくことで、収支の見通しを立てやすくなります。
月次の稼働率が標準より低くなった場合に、「欠席が増えたから」なのか「新規利用者の獲得が遅れているから」なのかを区別して原因を確認することが、適切な対策につながります。
児童発達支援の収支診断のまとめ
児童発達支援は7サービスの中で収支差率の中央値が最も高い(9.7%)サービスですが、一方で赤字割合も28.1%あります。これは「好調な事業所と苦戦する事業所の差が大きい」ことを意味します。
| 指標 | 全国水準(令和6年度) |
|---|---|
| 稼働率(WAM参考値) | 80.8% |
| 収支差率(中央値) | 9.7%(7サービス最高) |
| 人件費率 | 68.0% |
| 赤字割合 | 28.1% |
| 平均定員 | 13人 |
| 平均年収入 | 2,213万円 |
稼働率80.8%を下回っている事業所は、まず相談支援事業所・特別支援学校・保育所等との連携を強化し、新規利用者の紹介を増やすことが優先課題です。稼働率が標準的でも収支が低い場合は、加算の取得状況を確認します。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標 2023年度決算分。試算値は当方が概算計算したもので、各機関が作成したものではありません。

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