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グループホーム(共同生活援助・介護サービス包括型)の経営では、入居率(稼働率)の管理が収支差率を左右します。福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)から、GH包括型の入居率の参考値と収益への影響を整理しました。
WAMの入居率参考値は85.7%
福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)では、グループホーム包括型の稼働率(入居率)参考値は85.7%です。日中サービス支援型は86.0%とほぼ同水準です。
グループホームは居住系のサービスで、利用者が施設に住んでいるため、通所型のサービスより稼働率が安定しやすい特徴があります。放課後等デイサービス(87.8%)より若干低い程度で、7サービスの中では高い部類です。
入居率とは
グループホームの入居率は、次の式で計算します。
入居率(%)= 年間延べ入居者数 ÷(定員 × 365日)× 100
ここで「延べ入居者数」は、実際に入居していた人・日数の合計です。定員10人のGHで毎日8.57人が入居していれば、入居率は85.7%です。
空き居室(入居者がいない部屋)の期間が短いほど入居率は上がります。退所した入居者の後釜を早く見つけることが入居率管理の核心です。
入居率が収入に与える影響の試算
調査事業所の平均データ(定員16人・年収3,990万円・令和6年度)をもとに、入居率変化の影響を試算します。
| 入居率 | WAM参考値比 | 収入試算(年) | 収支差試算(年)※ |
|---|---|---|---|
| 95% | +9.3pt | 約4,433万円 | 約610万円 |
| 85.7%(WAM参考値) | ±0 | 約3,990万円 | 約275万円(R6実績) |
| 80% | ▲5.7pt | 約3,724万円 | 約9万円 |
| 75% | ▲10.7pt | 約3,491万円 | ▲224万円(赤字) |
※収支差試算は人件費率61.7%・その他費用が固定という前提の簡易計算です。参考値です。
入居率が85.7%から75%に下がると(定員16人なら約1.7人分の空き増加)、収支が赤字に転落する計算です。逆に95%に改善すると、収支差額は610万円と大幅に増えます。GH包括型は入居率の改善インパクトが大きいサービスです。
空き居室が長期化しやすい理由
グループホームの空き居室は、次のような場合に長期化しやすいです。
- 地域の相談支援事業所との連携が薄く、紹介が来ない
- 特定の障害種別・支援ニーズ(重度・高齢等)に対応できないため、適合する利用者の選択肢が少ない
- 入居者の急な退所(入院・施設移転・死亡)後の対応が遅れる
空き居室を1室でも早く埋めるには、相談支援事業所へのこまめな情報提供(空き状況の更新・対応可能な障害種別の周知)が効果的です。
グループホームの収支診断で確認すべき順番
GH包括型の経営診断では、次の順番で確認することを推奨します。
- 入居率の確認:現在の入居率をWAM参考値(85.7%)と比べる。80%を下回っている場合は空き居室の解消が最優先
- 人件費率の確認:全国平均61.7%と比べて高い場合は、パターンA(稼働率が低く収入が少ない)かパターンB(給与水準が高い)かを切り分ける。職員1人あたり収入(全国平均649万円)を確認することで判断できる
- 加算の取得状況:重度障害者支援加算・強度行動障害支援者養成研修修了者配置加算・夜間支援等体制加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)など、未取得のものがないか確認する
- 手元資金・返済余力の確認:収支差率が安定していても、借入返済が重い場合は資金が毎年減り続ける。返済余力(収支差額−元金返済額)を確認する
入居率が標準的で人件費率も問題なければ、加算の取りこぼしや借入条件を確認することで改善のヒントが見つかります。
退所後の空き居室を早く埋めるための手順
グループホームの入居率管理で最も大切なのは、退所後の空き期間をできるだけ短くすることです。退所が確定した段階で次の入居者の受け入れ準備を始めることが重要です。
- 退所情報を相談支援事業所に早期に共有する:退所が確定したら、普段から連携している相談支援事業所に空き居室の見通しを伝える。退所の1〜2ヶ月前から情報共有を始めることで、マッチングの時間を確保できる
- 対応可能な障害種別・支援ニーズを明確にする:どのような利用者を受け入れられるかを整理しておく。支援が難しい方を受け入れてトラブルになるより、適合する方を確実に受け入れる方が長期的な稼働率が安定する
- 居室の清掃・整備を退所直後に完了させる:次の入居者が決まる前に居室を整備しておくことで、内覧から入居までの期間を短縮できる
連携している相談支援事業所が少ない場合は、地域の基幹相談支援センターや特別支援学校(卒業後に住まいを探している利用者情報)にも働きかけることが有効です。
入居率と人件費率のバランス
GH包括型の人件費率は61.7%と7サービスの中で最も低い水準です。これは入居率が安定していることと、世話人・夜間支援員の配置コストが他の職種より比較的低いことが理由と考えられます。
ただし、入居率が大きく低下すると人件費率は急上昇します。定員16人のうち12人しか入居していない(入居率75%)場合、収入は25%減りますが人件費は削りにくいため、人件費率は61.7%から82%以上に跳ね上がります。入居率の安定が、GHで低い人件費率を維持するための前提条件です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標 2023年度決算分。試算値は当方が概算計算したもので、各機関が作成したものではありません。

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