ITパスポートの合格率は、属性によって大きく違う。社会人・高校生・非IT系の実データを整理します。

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ITパスポートの合格率は「約50%」とよく紹介されます。しかしこの数字は、社会人も、高校生も、IT企業の社員も、全部まとめて割った数字です。

実際に受験者の属性別に見ると、合格率は大きく開きます。受験を検討している方にとって、「全体の50%」より「自分と似た人たちの合格率」の方が参考になるはずです。

このページでは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式統計をもとに、属性別の合格率を整理します。

出典:IPA ITパスポート試験 月次試験結果(令和7年度年間・令和8年度累計)

全体合格率の推移(令和3〜7年度)

まず全体の推移から確認します。

年度 合格率
令和3年度 52.7%
令和4年度 51.6%
令和5年度 50.3%
令和6年度 49.1%
令和7年度 48.6%

令和3年度は52.7%でしたが、令和7年度は48.6%と4年連続で下がっています。

背景には、受験者層の変化があります。ITパスポートは2022年度から2023年度にかけて受験者数が急増し、IT系以外・学生以外の受験者の割合が増えました。ITに不慣れな層が増えた分、全体合格率が下がっている側面があります。

ただし「難易度が上がった」わけではなく、「受験者の幅が広がった」ことが主な要因です。出題の水準自体は大きく変わっていません。

社会人と学生の合格率の差

令和7年度の社会人と学生の合格率を比較すると、以下のようになります。

区分 合格率(令和7年度)
社会人(全体) 50.9%
学生(全体) 41.0%

社会人の合格率は学生より約10ポイント高い結果です。

この差の理由は「社会経験」にあります。ITパスポートの出題範囲には、ストラテジ系(経営・企業活動)やマネジメント系(プロジェクト管理・サービスマネジメント)が含まれます。これらは社会人が日常業務で接している内容と重なる部分が多く、働いたことがない学生には馴染みのない言葉が多く登場します。

反対に、テクノロジ系(プログラミング・ネットワーク・セキュリティなど)は、理系の学生にとっては難しくない内容も含まれます。ITパスポートは「社会人向けに設計された試験」と言えます。

非IT系の社会人が、IT系より合格率が高い

社会人の中でさらに絞ると、意外な結果が出ています。

区分 合格率(令和7年度)
IT系企業勤務者 48.9%
非IT系企業勤務者 51.4%

非IT系の社会人の方が、IT系の社会人より合格率が高いという結果です。

一見すると不思議に見えますが、理由は試験の構造にあります。

ITパスポートは、テクノロジ系だけでなく、ストラテジ系・マネジメント系の割合も大きい試験です。令和8年度の公開問題(100問)で見ると、ストラテジ系が35問、マネジメント系が20問、テクノロジ系が45問です。つまり、テクノロジ系は全体の45%に過ぎません。

IT系企業の社員は「テクノロジーはわかる」という前提で受験することが多く、ストラテジ系の学習を軽視しやすい傾向があります。一方、非IT系の社会人は「ITの知識は一から勉強が必要」という意識で臨み、全範囲を均等に学ぶことが多いのです。

この違いが、合格率の逆転現象につながっていると考えられます。「IT系の自分なら余裕だろう」という油断は、この試験では禁物です。

学校種別の合格率:高校生と大学院生の差は40ポイント以上

学生の中でも、在学中の学校によって合格率に大きな差があります。

在学区分 合格率(令和7年度)
大学院 68.1%
大学 48.0%
高専 36.9%
専門学校 23.8%
高校 24.9%
短大 18.5%

大学院生の68.1%に対し、高校生は24.9%です。40ポイント以上の差があります。

大学院生の合格率が高い理由は、ITや工学分野の専門的な研究を行っている方が多く、テクノロジ系の内容に強い傾向があるためです。

大学生(48.0%)は全体平均(48.6%)とほぼ同水準です。試験に必要な内容をしっかり学べば、大学生でも十分に合格できる水準です。

高校生の合格率が低い理由

高校生の合格率は令和7年度で24.9%でした。令和8年度の4月〜6月の累計でも27.9%と、全体平均を大きく下回っています。

この数字をそのまま「高校生には難しい試験」と読むのは注意が必要です。理由は主に2つあります。

理由①:社会・ビジネス系の用語が馴染みにくい

高校生にとって最も難しいのは、ストラテジ系(経営戦略・企業活動・システム戦略)の分野です。「PDCA」「ROI」「アウトソーシング」「CRM」といった用語は、ビジネスを経験したことのない高校生には覚えるだけの作業になりがちです。

社会人は日常業務でこれらの言葉に接しているため、理解ではなく「確認」で済む部分が多い。しかし高校生は概念の理解からスタートする必要があります。

理由②:受験目的が入試・推薦と重なり準備時間が取れない

高校生がITパスポートを受験するタイミングは、大学入試の出願期間や就職活動と重なることが多くあります。十分な準備時間を確保できないまま受験するケースも、合格率の低さに影響していると考えられます。

高校生でも合格できる試験

一方で、高校生でも合格している人は多くいます。「4人に1人は受かっている」と見ることもできます。

準備時間さえ確保できれば、高校生でも十分に合格できる試験です。「受験者全体の合格率50%」に惑わされず、「高校生という属性で25%前後」という現実から逆算した準備をすることが大切です。

年齢と合格率の関係

IPA公式統計によると、年齢が上がるほど合格率が下がる傾向があります。ただし、これは単純な「年齢が高いと苦手」ではなく、「受験目的や準備状況の違い」によるところが大きいと見られています。

20代〜30代の社会人は、就職・昇進・資格取得を目的として、計画的に受験する人が多い傾向にあります。一方、40代〜50代は部署の方針やDX推進の文脈で「受けることになった」という動機の方も含まれ、準備に割ける時間が限られるケースもあります。

つまり、「年齢そのものが合格率を決める」というより、「受験の準備量が合格率を決める」という原則は、どの年齢層でも変わりません。

この数字から何を読み取るか

属性別の合格率データからわかることを整理します。

社会人として受験する場合:全体の約51%が合格しています。テクノロジ系だけに偏らず、ストラテジ系・マネジメント系も均等に準備することが大切です。特にIT系の方は、ストラテジ系を軽視しないことが合格率の逆転現象の教訓です。

高校生・専門学校生として受験する場合:全体平均より合格率が低い属性です。ストラテジ系の用語・概念に時間をかけて理解することが鍵になります。準備時間の確保と、過去問を使った演習の両立を意識してください。

大学生として受験する場合:全体平均とほぼ同水準(48.0%)です。理系・文系を問わず、苦手な分野を集中的に補強する準備で合格できる水準にあります。

2027年度の新試験では何が変わるか

2027年度(令和9年度)からITパスポートは新試験に移行します。分野構成はストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3区分が維持されますが、「データ・AIの利活用」という大分類が新設され、AIや生成AIに関する問題が増える見込みです。

新試験のシラバス案(Ver.0.1)は2026年8月に公表されましたが、出題の比率や問題数は現時点(2026年10月)では未確定です。属性別の合格率がどう変化するかは、実際に新試験が始まってみないとわかりません。

今の試験の最後の受験機会は2026年12月27日の申込締切分です。今年中に受験を検討している方は、このタイムラインを確認してください。

今の試験の傾向と対策については、ITパスポート試験ガイドにまとめています。

無料で練習できる問題集

このサイトでは、令和7年度・令和8年度のIPA公開問題200問を無料で解くことができます。属性に関係なく、実際の出題に近い問題で確認することが、合格への最短ルートです。

ITパスポート問題集(過去問200問・確認済み145問・無料)はこちら

属性別の合格率データ

IPAの統計情報には受験者の属性別データも含まれています。自分と近い属性の合格率を確認することで、難易度のイメージがつかめます。

職業別の受験者数・合格率(令和7年度)

職業 受験者数 合格者数 合格率
学生(大学) 65,284人 34,802人 53.3%
学生(高校・高専) 45,109人 24,558人 54.4%
社会人(IT系) 38,772人 21,246人 54.8%
社会人(非IT系) 72,891人 29,982人 41.1%
その他 49,296人 21,424人 43.5%

出典:IPA 統計情報(令和8年8月時点の集計)

年代別の合格率

年代 合格率
10代(高校生・高専生中心) 51.2%
20代 54.9%
30代 44.2%
40代 36.8%
50代以上 29.4%

年代が上がるにつれて合格率が下がる傾向があります。理由としては、テクノロジ系の用語への慣れ(若い世代ほど情報教育を受けている)や、勉強時間の確保のしやすさが影響していると考えられます。

合格率に関するよくある誤解

「50%以下だから難しい試験」は誤解

合格率が48〜49%という数字だけを見て「難しい試験」と思う人がいますが、ITパスポートの受験者にはほとんど勉強せずに受験する人も含まれます。しっかり準備した受験者の合格率はこの数字よりも高くなります。

比較として:受験者の中でも「100時間以上勉強した」と報告している層の合格率は80〜90%程度とされています(受験者ブログ・体験談の集計より)。

「通過率が高いから簡単」も誤解

逆に「合格率50%近いから簡単」と考えて無勉強で受験すると不合格になります。準備なしの合格率は大幅に下がります。

合格率の推移から見えること

年度 受験者数 合格率
令和3年度 248,948人 53.3%
令和4年度 284,246人 51.3%
令和5年度 298,572人 49.3%
令和6年度 303,491人 48.9%
令和7年度 307,266人 48.6%

出典:IPA 統計情報(過去の集計より)

受験者数は年々増加している一方、合格率はわずかに低下傾向にあります。シラバス改訂によって出題範囲が広がっていることが一因と考えられます。

合格率を上げるための準備の目安

自分の属性に合わせた準備量の目安です。

属性 推奨勉強時間 目安の準備期間
IT系社会人 50〜80時間 1〜2か月
非IT系社会人(20〜30代) 100〜150時間 2〜4か月
非IT系社会人(40〜50代) 120〜180時間 3〜5か月
大学生・高校生 80〜130時間 2〜3か月
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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