第1類の試験を受けるとき、「免除が使えるなら使いたい」と思うのは自然なことです。ただ、消防設備士の免除制度は類によって仕組みが違うため、電気工事士を持っていても第1類の基礎科目は免除できない、という点を知らずに申込みをしてしまうケースがあります。この記事では、第1類で使える免除の種類・根拠・申請の手続き・使うかどうかの判断基準を整理します。
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科目免除の根拠になっている条文
消防設備士試験の科目免除は、消防法施行令第4条の3第3項および施行規則第12条の2に定められています。同条では、特定の資格・免状を持つ受験者に対して、試験の一部を免除する条件が列挙されています。免除を受けるには、申込み時に資格証の写しを添付する手続きが必要です(試験当日に持参しても認められません)。
免除の対象になる資格は大きく2系統に分かれます。ひとつは「消防設備士の他の免状」、もうひとつは「電気工事士などの関連資格」です。どちらに当てはまるかによって、免除される科目と問題数が変わります。
消防設備士の免状を持っている場合の免除
他の類の免状がある場合:法令共通が免除
消防設備士の免状(甲種・乙種を問わず)をすでに持っている場合、新たな類を受験するときに「法令(共通部分)」が免除されます。法令共通は甲種が8問・乙種が6問出題される科目です。合格基準として「各科目で40%以上かつ総合60%以上」が求められます(消防試験研究センター公表の合格基準による)。この科目が丸ごと免除になるため、受験の負担は一定程度下がります。
ただし、法令共通を含む「筆記試験の総問題数」も減るため、残った科目でのミスが合否に与える影響は相対的に大きくなります。問題数が減る分、1問あたりの重みが上がるという点は覚えておく必要があります。
同じ種類(甲1↔乙1)の場合:さらに基礎的知識も免除
乙種第1類を持っている状態で甲種第1類を受験する場合、またはその逆のパターンでは、法令共通に加えて「基礎的知識」も免除されます。基礎的知識は10問出題される科目で、甲1の場合は機械・流体の分野が中心です。この10問が丸ごと免除になると、筆記試験の負担はかなり軽減されます。
甲種を持っていれば、乙種を後から受ける際にも同様の免除が受けられます。第1類の甲乙を順番に取る計画を立てている場合、先に甲種を取ると2回目の試験が楽になる、という流れもあります。
電気工事士を持っている場合の免除と注意点
第1類の基礎科目は「機械・流体」
消防設備士の試験では、類によって「基礎的知識」の出題分野が違います。電気系の類(乙種第4類・乙種第7類など)では「電気に関する基礎的知識」が出題されます。一方、第1類(屋内消火栓・スプリンクラー)は水系設備のため、「機械・流体に関する基礎的知識」が出題されます。
消防法施行規則第12条の2では、電気工事士(第1種・第2種)の免状を持つ受験者に対して、「電気に関する基礎的知識」の免除を認めています。しかし、第1類で出題されるのは「機械・流体に関する基礎的知識」です。電気工事士の免除は電気系の基礎にのみ適用されるため、第1類の基礎科目には使えません。
電気工事士を持っていれば消防設備士の試験でも何かしら有利になると思っていた方には誤解が生じやすい部分です。「電工を持っていても、第1類の基礎は免除されない」という点を試験を申し込む前に確認しておいてください。
乙7と第1類の違い
乙種第7類(漏電火災警報器)の基礎的知識は「電気に関する基礎的知識」です。そのため、電気工事士を持っている受験者は乙7の基礎科目(6問)を全問免除できます。電工持ちの方が複数の乙種を取得しようとする際に乙7が選ばれやすい理由のひとつがこれです。なお乙7の電気基礎は5問です。
第1類と乙7を比較すると、電工による免除効果には明確な差があります。乙7の基礎科目(電気5問)は電工で免除できますが、第1類の基礎科目(機械・流体10問)は電工では免除できません。この違いを知らずに「電工があれば消防設備士の基礎は免除できる」と思い込んで第1類を受験すると、準備不足になるリスクがあります。
免除後の試験時間の変化
科目免除によって問題数が減ると、試験時間も短縮されます。消防試験研究センターが公表している試験時間の目安では、問題数に応じた時間が割り当てられています。甲種第1類の場合、試験時間は3時間15分です。免除で問題数が減ると、この時間も短縮されます。
試験時間が短くなること自体は問題数に見合った変化ですが、実技(製図)がある甲種の場合、作図に時間を使うことを考えると、筆記の時間配分は余裕を持って考えておく必要があります。免除を使う場合でも、時間感覚の確認は事前に行っておくことをおすすめします。
免除申請の手続き
科目免除を受けるには、試験の申込み時に必要書類を提出します。手続きの流れは次のとおりです。
まず、受験申請書に「科目免除の申請をする」旨を記載します。次に、免除の根拠になる資格証(消防設備士免状・電気工事士免状など)の写しを添付します。書類に不備があると免除が認められない場合があるため、原本と照合しながら準備します。
申込みが受け付けられると、受験票に「免除あり」の記載がされます。試験当日は免除された科目の回答欄には記入しません。会場でもらう問題冊子に免除科目は掲載されないか、欄に「免除」と記載されている形式になっています(センターや会場によって異なる場合があります)。
なお、申込み後に「やはり免除を使わない」と変更することは基本的にできません。申込み前に使う・使わないを決めておく必要があります。
免除を使う・使わないの判断基準
免除を使う方が有利なケース
法令共通(甲種8問・乙種6問)や基礎的知識(10問)は、それぞれ合格ラインが設定されている科目です。苦手意識がある科目、または点数が安定しにくい科目が免除になるなら、使う価値はあります。特に法令共通は条文の暗記が中心で、他の科目と並行して勉強するのに時間がかかります。すでに別の類の免状を持っていて法令共通の知識が身についているなら、免除申請しておくことで勉強時間を他に振れます。
同じ類の甲乙切替えで「基礎的知識(10問)」が免除になる場合は、合格ラインを設けられた科目がひとつ丸ごとなくなるため、その効果は大きいです。
あえて免除を使わないケース
免除を使わないことを選ぶ受験者もいます。理由として挙げられるのは、「得意科目を使って総得点を上げたい」というケースです。合格基準は「各科目40%以上かつ総合60%以上」ですが、免除を使わずに苦手科目をギリギリ越えて、得意科目で高得点を取ることで総合を底上げする戦略もあります。
また、第1類の「法令(第1類)」や「構造・機能・整備(第1類)」は問題数が多いため、法令共通を免除して残った科目の割合が上がると、それらの科目でのミスが全体に与える影響が増します。そのリスクを嫌う場合には、あえて免除しないという選択肢もあります。
免除が使えない資格との組み合わせを確認する
前述のとおり、電気工事士は第1類では基礎的知識の免除に使えません。「電工+消防設備士(電気系の類)」の組み合わせでは使えるのに、「電工+第1類」では使えないというのは、うっかり見落としやすいポイントです。申込み前に、自分が持っている資格が第1類の試験で何に使えるかを、消防法施行規則第12条の2の条文または消防試験研究センターのWebサイトで確認しておくことをおすすめします。
複数の免除資格を持っている場合の整理
電気工事士と消防設備士(他の類)の両方を持っている場合、第1類の受験では「消防設備士免状による法令共通の免除」のみが適用されます。電気工事士は第1類では使えないため、両方を持っていても免除の対象は変わりません。
一方、乙種第7類を受験するなら、電気工事士による電気基礎の免除と、消防設備士免状による法令共通の免除の両方が使えます。複数の免除を使った場合の乙7の筆記問題数は19問になります(30問から電気基礎5問・法令共通6問を引いた数)。
複数の資格を持っている場合は、受験する類ごとに「どの資格で何が免除できるか」を個別に確認することが重要です。まとめて「全部使える」と思い込まず、一項目ずつ照合してください。
実際の申請でよくある確認ポイント
免除申請に関連して、受験者から問い合わせが多い確認ポイントをまとめます。
まず、免状の写しは「カラーコピーでなければいけないか」という点です。消防試験研究センターの案内では白黒コピーでも可としているケースが多いですが、都道府県のセンターによって案内が異なる場合があります。申込み前に提出先(受験する都道府県のセンター)に確認するのが確実です。
次に、「複数の試験を同日に申し込む場合(ダブル受験)はどうなるか」という点です。異なる類を同日に受験できる場合(センターによって可否が異なります)、各試験の申込書ごとに免除申請の書類を提出します。1通でまとめられるわけではないため、書類の部数も確認が必要です。
最後に、「申込み後に免除をやめることはできるか」という点です。原則として、申込み完了後の変更は受け付けていません。「勉強が進んだから全科目受けたくなった」という場合でも、変更は難しいと考えておいてください。
まとめ:第1類の免除制度の要点
第1類の科目免除について要点を整理します。消防設備士の他の類の免状を持っていれば「法令(共通部分)」が免除されます。同じ種類の免状(甲1・乙1の相互)があれば「法令共通+基礎的知識」が免除されます。電気工事士の免状は、第1類では基礎的知識に使えません。第1類の基礎的知識は「機械・流体」であるためです。
免除は試験の負担を減らす手段ですが、問題数が減ることで1問の重みが上がる点、得意科目で補えなくなる点も考慮して判断してください。申込みのタイミングで一度決めると変更が難しいため、事前に自分の資格状況と照らし合わせて確認しておくことをおすすめします。
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