飲食店の季節変動と閑散期対策。12月・3月が繁忙期、1〜2月が閑散期。月商20%減で月次損益が47万円から5万円に下がる。

飲食店の季節変動と閑散期対策。12月・3月が繁忙期、1〜2月が閑散期。月商20%減で月次損益が47万円から5万円に下がる。 飲食店の開業

飲食店の売上には月ごとの波があります。一般的に12月・3月・11月が繁忙期、1月・2月・7〜8月が閑散期とされています。公庫の記入例(洋風居酒屋)の「軌道後月商322万円」は年間平均の数字であり、閑散期は月商が240〜260万円程度(損益分岐点前後)まで下がる場合があります。閑散期の資金繰りをあらかじめ計画に組み込んでおかないと、繁忙期は黒字なのに閑散期に資金が不足するケースに陥ります。

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居酒屋・ダイニング系の月ごとの売上の波

居酒屋・ダイニングバー系の業態は、忘年会・新年会・歓送迎会の需要があるため月ごとの売上の差が大きくなりやすいです。

月 売上傾向 主な要因
1月 低め(閑散期) 正月明けの自粛・接待需要の減少
2月 低め(閑散期) 寒さ・外食需要の低迷
3月 高め(繁忙期) 歓送迎会の需要が高い
4月 やや高め 歓迎会・新社会人の外食増加
5月 やや低め 連休明けの反動・GWの対応(業態により変動)
6月 普通 梅雨・特筆すべき需要なし
7〜8月 やや低め〜低め 猛暑・夏休みでビジネス街の客減少。家族向け業態は上がる
9月 普通〜やや高め 残暑が明けると外食需要が回復
10〜11月 高め(繁忙期) 秋の外食需要・忘年会の早期予約が入り始める
12月 最高(繁忙期) 忘年会の集中。居酒屋・宴会系は年間最大の繁忙月

上記は一般的な傾向であり、立地・ターゲット客層・業態によって異なります。たとえば観光地の飲食店では夏(7〜8月)が繁忙期になることもあります。

閑散期の売上低下が月次損益に与える影響

月商322万円(軌道後平均)の店舗が1・2月の閑散期に売上が20%下がった場合の損益を試算します。

月商の水準 限界利益(65%) 固定費(161.7万円) 月次損益
322万円(軌道後) 209.3万円 161.7万円 +47.6万円
280万円(-13%) 182.0万円 161.7万円 +20.3万円
257万円(-20%) 167.1万円 161.7万円 +5.4万円(かろうじて黒字)
240万円(-25%) 156.0万円 161.7万円 -5.7万円(赤字)
200万円(-38%) 130.0万円 161.7万円 -31.7万円(赤字)

月商が322万円から20%落ちると月次損益は47.6万円から5.4万円まで下がります。ここからさらに生活費・税金・社会保険が重なると、実質的な手元資金は急速に減ります。繁忙期に稼いだ利益を閑散期のための準備資金として留保しておくことが重要です。

閑散期の資金繰り対策3つ

閑散期の売上低下に備えた3つの対策を整理します。

第1は「繁忙期の黒字を閑散期の資金として積み立てる」ことです。12月・3月の繁忙期は月次の損益が大幅にプラスになります。この黒字を全額生活費に使わず、閑散期の2〜3か月分の運転資金(固定費相当額)を積み立てておきます。

積み立ての目安:閑散期1か月の赤字見込み額 × 2〜3か月分。月に5〜10万円の赤字が見込まれるなら10〜30万円の積み立てが目安です。

第2は「閑散期に向けた固定費の調整」です。最も調整しやすいのは人件費です。閑散期にアルバイトのシフトを減らすことで、固定費に近い人件費を変動費的に使うことができます。ただし、シフトを減らしすぎると人材の流出につながるため、最低限の稼働を保つラインを事前に決めておきます。

第3は「閑散期向けのメニュー・施策」です。閑散期に特化したメニュー(限定メニュー・お得なコース)や、外食需要が少ない業態向けの施策(テイクアウトの強化・デリバリーへの対応)を閑散期前に準備しておきます。

季節変動を収支計画に組み込む方法

年次の収支計画では、月商を年間一定(322万円×12か月)で計算するのではなく、月ごとの売上変動率を組み込んで試算することをおすすめします。

月 売上変動率の目安(居酒屋・ダイニング系) 月商(322万円を基準とした場合)
1月 -25〜-30% 225〜241万円
2月 -15〜-25% 241〜273万円
3月 +10〜+20% 354〜386万円
12月 +30〜+50% 419〜483万円

上記は業態・立地・顧客構成によって大きく異なります。開業後は毎月の売上を記録し、自店の季節変動パターンを把握することで、翌年の仕込み量・シフト・仕入れ計画がより正確になります。

開業後の月次収支の管理方法については、飲食店の月次経営指標は3つで詳しく説明しています。開業前の資金繰り計画は飲食店の開業 収支シミュレーターで試算できます。

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本記事の数値は公庫の創業計画書記入例(洋風居酒屋・2025年4月版)をもとに計算しています。季節変動率の目安は業態・立地・顧客構成によって異なります。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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