訪問介護の運営指導で研修・訓練に関して確認されることは、「実施した記録があるか」「記録の内容が基準を満たしているか」の2点です。
「どんな記録を残せばいいか」「どの研修が義務になっているか確認したい」という管理者向けに、運営指導の場面で見られる研修記録の種類と内容を整理します。
運営指導で確認される研修・訓練の種類
訪問介護の運営指導では、次の研修・訓練が実施済みかどうかが確認されます。
| テーマ | 研修 | 訓練 | 委員会 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 虐待防止 | 年1回以上 | — | 少なくとも年1回以上 | 第37条の2 |
| 身体拘束の適正化 | 年1回以上 | — | — | 第23条 |
| 感染症・食中毒 | 年1回以上 | 年1回以上 | おおむね6か月に1回以上 | 第31条第3項 |
| BCP(業務継続計画) | 年1回以上 | 年1回以上 | — | 第30条の2 |
| 非常災害 | — | 定期的に | — | 第30条(勤務体制の確保等) |
これら5つのテーマは、指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)が根拠で、訪問介護事業所に直接適用されます。
記録に残す内容の基準
運営指導では記録の「有無」だけでなく「内容」も確認されることがあります。記録として最低限含める項目として次のものが挙げられます。
- 実施日(日付が分かること)
- 研修テーマ(どのテーマの研修か)
- 実施時間(何時から何時まで・または何分間)
- 実施内容(使用した資料を添付するか、内容の概要を文章で)
- 参加者の確認(氏名・確認印・サインのいずれか)
- 実施責任者(管理者または担当者の氏名)
「研修を実施した」という事実だけを1行で書いた記録では、内容の確認ができません。使用した資料のコピーを記録に添付しておくと、実施した内容の説明がしやすくなります。
記録の保存期間
研修・訓練・委員会の記録の保存期間は、実施日から2年間です(指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準 第37条第2項)。
保存期間が切れた記録を廃棄することは問題ありませんが、指導が入るタイミングによっては「直近2年分の記録がない」と問題になる場合があります。定期的に整理しながら2年分を確保しておきます。
新規採用時の研修記録
虐待防止・身体拘束・感染症の研修は、定期研修に加えて、新規採用時にも実施する義務があります。BCPの研修も新規採用時に実施することが望ましいとされています。新規採用時の研修記録も残します。
入職時のオリエンテーション資料に各テーマの内容を含め、確認した記録を残す形が効率的です。採用の都度個別に実施する方法と、定期研修に近いタイミングで入職者を含めて実施する方法があります。
「研修計画」があるかどうかも確認されることがある
運営指導では、研修の実施記録だけでなく「研修計画書(年間計画)」の有無が確認されることがあります。必須書類ではない自治体もありますが、「どのテーマをいつ実施するか」を年度初めに計画書として整理しておくと、実施漏れの防止にもなります。
研修計画書に含める項目の例として、次のものが挙げられます。
- 研修テーマ(義務の5テーマ+事業所独自のテーマ)
- 実施予定月
- 形式(座学・訓練・テストなど)
- 担当者(研修を主導する職員の氏名)
運営指導の前に確認するチェックポイント
運営指導の通知が来たタイミングで、研修記録について次のポイントを確認します。
- 直近1年間で義務のある研修・訓練を必要な回数実施しているか
- 実施記録(日付・テーマ・参加者・内容)が残っているか
- 委員会の記録(開催日・出席者・議題・決定事項)が残っているか
- 指針(虐待防止指針・感染症対策指針・BCP)が整備されているか
- 記録の保存期間(2年間)が切れていないか
「1年間の中で実施した研修が1テーマ1回しかない」という場合でも、各テーマの最低回数(年1回以上)は満たしていることになります。ただし、感染症委員会(おおむね6か月に1回以上=年2回以上)は別途確認が必要です。
委員会は「実施した記録」が必要
感染症対策の委員会はおおむね6か月に1回以上、虐待防止の委員会は少なくとも年1回以上の開催が義務です。「委員会を開いた」という口頭の説明だけでは不十分で、開催の記録が必要です。
委員会の記録に含める項目として次のものが挙げられます。
- 開催日時
- 出席者の氏名(または人数)
- 議題(何を話し合ったか)
- 決定事項・確認事項(どう対応するか・次回の方針など)
「議題なし・特に問題なし」だけの記録でも、開催した事実と出席者が分かれば記録として機能します。
運営指導で指摘されやすいポイント
他の事業所の運営指導で研修・訓練に関してよく見られる指摘として、次のようなものがあります。
- 感染症の「訓練」がない:感染症は研修(年1回以上)と訓練(年1回以上)が別の義務です。研修だけ実施して訓練が未実施というケースが多いです
- 感染症・虐待防止の委員会記録がない:感染症の委員会はおおむね6か月に1回以上(年2回以上)、虐待防止の委員会は少なくとも年1回以上の記録が必要です
- 新規採用時の研修記録がない:定期研修とは別に、採用時の研修記録が必要です
- 記録に参加者が分からない:研修に誰が参加したかが確認できない記録は、出席確認ができないと判断されることがあります
- 身体拘束適正化の研修記録がない:虐待防止と混同して「虐待研修をやったから大丈夫」と考えているケースがあります。身体拘束は別のテーマとして年1回以上の研修が必要です
指針の整備が前提になる
研修・訓練を実施するための前提として、虐待防止・感染症対策・BCPの各「指針」を整備することが義務です。指針とは、事業所として各テーマにどのように取り組むかを文書化したものです。
研修はその指針の内容を職員に周知する機会でもあります。指針を作成してから研修を実施する流れが基本です。
訪問介護向け法定研修キットで記録を管理する
訪問介護向け法定研修・訓練キット(https://fufumumu-design.com/kenshu-kit-houmon/)では、研修資料・確認テスト・受講記録をブラウザ上で管理できます。職員がスマートフォンから受講結果を提出する機能もあり、参加者の確認記録をまとめやすくなっています。
有料版(14,800円買い切り)では、義務のある5テーマ+追加7テーマの計12テーマすべてを利用できます。委員会の議題案・運営指導パック・記録様式も含まれています。
義務の全体像はこちら:訪問介護の法定研修、何を何回やればいいか。
この記事で確認した根拠
- 指定居宅サービス等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第23条・第30条・第30条の2・第31条第3項・第37条の2・第37条第2項


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