訪問介護の利用者1人あたりの月収入はいくらか。身体介護と生活援助の組み合わせ別に試算する。

訪問介護の利用者1人あたりの月収入は、訪問の種類・回数によって変わります。身体介護30〜60分を週3回(月12回)受け入れると、その他地域で46,440円です。毎日1回(月30回)なら116,100円です。利用者1人あたりの単価を上げると損益分岐点が下がり、事業所全体の経営安定につながります(出典:令和6年厚生労働省告示第86号)。

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1回あたりの基本報酬の単価一覧(その他地域・10.00円)

基本報酬の単位数と1回あたりの収入です(令和6年厚生労働省告示第86号・その他地域・10.00円)。

サービス種別 単位数 1回の収入
身体介護 20分未満 163単位 1,630円
身体介護 20〜30分 244単位 2,440円
身体介護 30〜60分 387単位 3,870円
身体介護 1時間以上(延長なし) 567単位 5,670円
生活援助 20〜45分 179単位 1,790円
生活援助 45分以上 220単位 2,200円
通院等乗降介助 97単位 970円

身体介護1時間以上は、1時間を超えた後の30分ごとに82単位(820円)が追加されます。

利用者1人あたりの月収入。よく使われるパターン別の試算

週の訪問パターンと組み合わせ別に、1人あたりの月収入を試算します(その他地域・10.00円)。月8回・12回で計算しています(1か月を約4週として)。

パターン 月訪問回数 月収入(その他)
身体介護30〜60分 週2回 8回 3,870×8 = 30,960円
身体介護30〜60分 週3回 12回 3,870×12 = 46,440円
身体介護30〜60分 毎日 30回 3,870×30 = 116,100円
身体介護1時間以上 週3回 12回 5,670×12 = 68,040円
生活援助45分以上 週2回 8回 2,200×8 = 17,600円
身体30〜60分×週3+生活45分以上×週2 12+8=20回 46,440+17,600 = 64,040円

加算や地域区分による単価の上乗せは含まない基本報酬のみの試算です。実際の収入はこれに加算額と単価区分が加わります。

全国平均と比べると、どの訪問パターンが標準的か

令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算)によると、訪問介護の全国平均は次の通りです。

  • 月収入: 約316万円
  • 延べ訪問回数: 853.3回/月
  • 訪問1回あたり収入: 3,855円

1回あたり3,855円という数字は、身体介護30〜60分(387単位・その他地域=3,870円)とほぼ一致します。全国的に見て「身体介護30〜60分」が平均的な訪問種別です。月収入316万円を853.3回で割ると1回3,704円になりますが、加算込みで3,855円です。

利用者1人あたりの月収入と損益分岐点の関係

利用者1人あたりの月収入が上がるほど、採算が取れる最低利用者数(損益分岐点)が下がります。

月の固定費が200万円の事業所を例に試算します。

利用者1人あたりの月収入 損益分岐点(固定費200万円の場合)
30,960円(身体介護30〜60分・週2回) 2,000,000÷30,960 ≒ 65人
46,440円(身体介護30〜60分・週3回) 2,000,000÷46,440 ≒ 44人
64,040円(身体週3+生活週2) 2,000,000÷64,040 ≒ 32人
116,100円(身体介護30〜60分・毎日) 2,000,000÷116,100 ≒ 18人

これはあくまで目安の試算です。変動費(訪問に直接かかる人件費)を含めた本格的な損益計算は、事業所ごとの費用構造によります。

週3回以上の利用者を増やすと安定しやすい

訪問介護の収益を安定させる上で重要なのは、週に何回来てもらえるかです。週1〜2回の利用者は合計30〜40人いても月収入が少ない一方、週3〜4回の利用者が20〜25人いれば月100万円近い収入になります。

ケアマネからの紹介を受ける際に、重度・複数回訪問が必要な利用者を優先して受け入れる方針を持つと、収入が安定しやすくなります。ただし重度の利用者にはスタッフのスキルと体制整備も伴います。

全国平均の収支差率9.6%(令和7年度介護事業経営概況調査)は業界としては良い水準ですが、利用者1人あたりの訪問頻度が低いと費用に収入が追いつかないことがあります。

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参照した資料
令和6年厚生労働省告示第86号(指定居宅サービス等に要する費用の額の算定に関する基準)。令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算・訪問介護・全国平均)。損益分岐の試算は固定費200万円を前提とした例示であり、実際の収支は事業所の費用構造によります。数値は令和8年10月時点。試算はその他地域(10.00円)基準。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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