訪問介護の収入は、基本報酬(身体介護・生活援助の単位数)に加算を上乗せすることで増やすことができます。どの加算を取得するかは、事業所の収益に直接影響します。
この記事では、訪問介護で算定できる主な加算の種類・加算率・取得のポイントを一覧で整理します。
時間帯加算:夜間・早朝・深夜の訪問で単価が上がる
訪問時間帯によって、基本報酬に一定の割合が加算されます(令和6年厚生労働省告示第86号)。
| 加算の種類 | 時間帯 | 加算率 |
|---|---|---|
| 早朝加算 | 6時〜8時 | 基本報酬の25%加算 |
| 夜間加算 | 18時〜22時 | 基本報酬の25%加算 |
| 深夜加算 | 22時〜翌6時 | 基本報酬の50%加算 |
時間帯の定義(早朝6時〜・夜間18時〜・深夜22時〜)は複数の専門情報源で確認した参考値です。老企第36号原文に時刻の明記はなく、告示の単位数表に由来するため、詳細は指定権者に確認してください。
夜間・早朝の訪問に対応できる体制を整えると、1訪問あたりの単価を25%引き上げられます。夜間対応が担えるヘルパーの確保が条件です。
2人介護加算:2人で訪問すると200%
2人の訪問介護員が同時に1人の利用者にサービスを提供する場合(2人介護)は、基本報酬の200%(2倍)を算定できます。重度の利用者で体位変換・移乗などに2人の介助が必要な場面が対象です。
同一建物減算:集合住宅等で訪問する場合は減算になる
同一建物(集合住宅・サービス付き高齢者向け住宅等)に居住する複数の利用者に訪問介護を行う場合は、移動コストが低いとみなされ減算が適用されます(令和6年改定で見直し)。
| 区分 | 減算率 |
|---|---|
| 同一建物に居住する利用者へのサービス(一般) | 基本報酬の10%減算 |
| 同一建物に居住する利用者へのサービス(月50人以上) | 基本報酬の15%減算 |
| 同一建物以外(隣接する建物等) | 基本報酬の12%減算 |
開業時に集合住宅に隣接した事業所を構える場合は、この減算の適用を念頭に置いておく必要があります。
特定事業所加算:体制を整えることで単価が恒常的に上がる
一定の体制要件・人材要件・重度者対応要件を満たすことで取得できる加算です。取得すれば全訪問の単価が一定率上がります。
| 区分 | 加算率 | 主な要件の概要 |
|---|---|---|
| 特定事業所加算I | 基本報酬の20% | 人材要件(資格割合・サ責実務経験)2つとも+体制要件+重度者対応要件 |
| 特定事業所加算II | 基本報酬の10% | 人材要件どちらか1つ+体制要件+重度者対応要件 |
| 特定事業所加算III | 基本報酬の10% | 人材要件どちらか1つ+体制要件 |
| 特定事業所加算IV | 基本報酬の3% | 体制要件のみ |
| 特定事業所加算V(中山間地域等) | 基本報酬の3% | 中山間地域等への継続的サービス提供。I〜IVのいずれかと唯一の併算定可 |
区分I〜IVは同時算定不可(排他)です。区分Vのみ、I〜IVのいずれか1つと併算定できます。新規開業事業所は前年度の実績要件がないため、開業初年度は区分IVから取得することが多いです。詳細な要件は訪問介護の特定事業所加算とはで整理しています。
初回加算・緊急時訪問介護加算
| 加算の種類 | 加算額 | 内容 |
|---|---|---|
| 初回加算 | 200単位/月 | 新規に訪問介護計画を作成してサービスを開始した月に加算。サ責が初回訪問に同行する場合も対象 |
| 緊急時訪問介護加算 | 100単位/回 | 利用者・家族からの要請を受けて、ケアプランに位置付けていない緊急の訪問を行った場合に加算 |
処遇改善加算:最も影響が大きい加算
処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的とした加算です。基本報酬と他の加算の合計に、加算率を掛けた金額を算定します。訪問介護の加算率は介護分野の中でも高く設定されています(令和8年老発0313第6号別紙)。
| 区分 | 加算率(令和8年6月以降) |
|---|---|
| 処遇改善加算Iイ | 27.0% |
| 処遇改善加算Iロ | 28.7%(令和8年度特例要件あり) |
| 処遇改善加算IIイ | 24.9% |
| 処遇改善加算IIロ | 26.6%(令和8年度特例要件あり) |
| 処遇改善加算III | 20.7% |
| 処遇改善加算IV | 17.0% |
加算Iロ・IIロはケアプランデータ連携等の特例要件を満たすことが必要です。詳細は訪問介護の処遇改善加算、令和8年6月改定で何が変わったかで整理しています。
処遇改善加算で増えた収入はヘルパーへの賃金改善に充当する義務があります。事業所の利益として自由に使える収入ではない点に注意が必要です。
加算を組み合わせた場合の収入への影響
例として、身体介護30〜60分(387単位)を地域その他(10.00円)で提供する場合の単価を比較します。
| 条件 | 1回の報酬(目安) |
|---|---|
| 加算なし(基本報酬のみ) | 3,870円 |
| 夜間加算(+25%)あり | 4,838円 |
| 特定事業所加算IV(+3%)あり | 3,986円 |
| 特定事業所加算I(+20%)あり | 4,644円 |
処遇改善加算は上記の金額にさらに上乗せされますが、職員への賃金改善に使うため事業所の手取り収入とは異なります。
加算の取得状況を織り込んで収支を試算する
訪問介護 開業向け収支シミュレーター(https://fufumumu-design.com/houmon-kaigo-keikaku/)では、特定事業所加算の区分・夜間・早朝加算の有無・処遇改善加算の率を入力することで、加算込みの収入・費用・収支を36か月分試算できます。加算取得前後の損益分岐点の違いも確認できます。
あわせて読みたい:訪問介護の特定事業所加算とは。要件をわかりやすく整理します。
あわせて読みたい:訪問介護の処遇改善加算、令和8年6月改定で何が変わったか。
この記事で確認した根拠
- 指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造(令和6年厚生労働省告示第86号)
- 処遇改善加算率(令和8年老発0313第6号別紙)
- 指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(老企第25号)
すでに訪問介護を運営中の事業所向けに、法定研修の資料セットも用意しています。
▶ 訪問介護 法定研修キット(管理者・従業員向け研修資料一式)


コメント