放課後等デイサービスの医療的ケア研修。たんの吸引・経管栄養と研修の義務。

放課後等デイサービスの医療的ケア研修。たんの吸引・経管栄養と研修の義務。 放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスで医療的ケアが必要な子ども(医療的ケア児)を受け入れる場合、職員は喀痰吸引等研修(第3号研修)の修了が必要です。令和3年施行の「医療的ケア児支援法」により、放デイを含む障害児通所支援事業者は医療的ケア児の受け入れを努力義務とされています。この記事では、放デイで行える医療的ケアの範囲・職員に必要な研修・受け入れ体制の整備方法を整理します。

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放デイで職員が行える医療的ケアの範囲

医療的ケアは本来、医師・看護師のみが行える医行為です。ただし、一定の研修を修了した介護福祉士・介護職員等は、以下の「特定行為」に限って実施できます(社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2・喀痰吸引等制度)。

介護職員が研修修了後に実施できる特定行為(喀痰吸引等)
特定行為 説明
口腔内の喀痰吸引 口から吸引チューブを入れて痰を吸引する
鼻腔内の喀痰吸引 鼻から吸引チューブを入れて痰を吸引する
気管カニューレ内の喀痰吸引 気管切開の部分(カニューレ内)の痰を吸引する
胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養 胃・腸に設置したろう孔から栄養を注入する
経鼻経管栄養 鼻から胃へのチューブを通して栄養を注入する

これらの行為は、医師の指示書・看護師による確認のもとで行う必要があります。研修を修了しただけでは実施できず、登録喀痰吸引等事業者として都道府県に登録した事業所でのみ実施できます。

職員が受けるべき研修は「喀痰吸引等研修(第3号研修)」

放デイで医療的ケア児を受け入れる場合、担当職員は「喀痰吸引等研修」を修了する必要があります。研修には3種類あり、放デイで多くの場合使われるのは第3号研修です。

喀痰吸引等研修の種類と対象範囲の違い
種類 実施できる対象者 行為の範囲
第1号研修 不特定多数の利用者 喀痰吸引3種・経管栄養2種(全5行為)
第2号研修 不特定多数の利用者(喀痰吸引のみ) 口腔内・鼻腔内の喀痰吸引のみ(2行為)
第3号研修 特定の利用者(1人ずつ認定) その利用者に必要な行為のみ(1〜5行為)

第3号研修は、特定の子ども(例:「Aさんの胃ろうによる経管栄養」)に限定して資格を取得する研修です。カリキュラムは基本研修(知識)と実地研修(医療機関での実技)で構成されます。費用・受講期間は都道府県・実施機関によって異なります(目安:3〜6か月・3万〜5万円程度)。

受け入れ体制の整備。看護師の配置と医師の指示書が必要

放デイで医療的ケア児を受け入れるには、喀痰吸引等の実施を支援する看護師の配置が必要です。看護師は「サービス提供時間中に連絡できる体制」を確保することが最低限求められます(訪問型ではなく常駐は必須でない場合もありますが、都道府県の取扱いによります)。

受け入れ開始前に整備する主な書類を示します。

  • 医師の指示書:実施する行為ごとに、主治医から指示書を取得する。指示書は定期的(6か月ごと等)に更新する。
  • 看護師との連携に関する取り決め:緊急時の連絡・実地確認のスケジュールを書面で合意する。
  • 個別の安全確保・緊急時対応計画:痰の貯留量・チューブの状態・異常時の対応手順を個別に作成する。
  • 保護者への説明と同意:実施する行為の内容・担当者・緊急時の連絡先を説明し、同意書を取得する。

医療的ケア加算の算定要件

医療的ケア児の受け入れに関連して、令和3年度の報酬改定で「医療的ケア区分」が設けられました。スコア(医療的ケアの種類・頻度)に応じて区分1〜3が決まり、基本報酬が高くなる仕組みです。

スコア算定の対象となる医療的ケアの例(一部)を示します。

  • 気管切開の管理(カニューレ内吸引を含む)
  • 人工呼吸器の管理
  • 胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養の管理
  • 導尿・ストーマの管理

医療的ケア区分の判定は、医師が作成する「医療的ケア判定スコア」に基づきます。区分が高いほど基本報酬が高くなる反面、看護師・医療的ケア経験のある職員の配置が求められます。詳細は都道府県・市区町村の担当窓口に確認してください。

研修の内容として取り上げるべき4つのポイント

医療的ケアに関する研修では、次の4点を職員全員が理解できるよう整理します(実施担当者に限らず)。

  1. 何が「医療的ケア」に当たるか:研修を受けていない職員が行えない行為(医師法・保健師助産師看護師法上の医行為)の範囲を理解する。
  2. 緊急時の対応手順:チューブ事故(誤嚥・抜去)・気道閉塞が起きたときの初動を共有する。
  3. 記録の書き方:実施した行為の時刻・量・子どもの様子を記録する。記録は日常的な看護師との連携にも使う。
  4. 保護者への報告:通常と違う状態(痰の量の増加・体調の変化)があった場合の連絡のタイミングと方法を決めておく。

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作成者:fufumumu_design 作成日:2026-11-01
【出典】
・社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2(喀痰吸引等業務)
・厚生労働省「喀痰吸引等制度について」(第1〜3号研修の概要・登録事業者の要件)
・医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号・令和3年9月18日施行)
・厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(医療的ケア区分・判定スコア)
本記事の内容は情報提供を目的としたものです。受け入れ体制の整備・加算算定については、都道府県・市区町村窓口にご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

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