放課後等デイサービスの虐待防止研修では、①虐待の5つの種類を、事業所で起こりやすい場面の例で確かめる、②「虐待かもしれない」と思った時点で通報の義務があることと、事業所の報告の流れを伝える、③職員が自分の支援を振り返る、の3つを押さえるのが基本です。国の手引きには、職員全員で20分程度で読み合わせができる別冊もあります。研修は年1回以上、新しく入った職員には必ず行います。児童発達支援も同じです。
厚生労働省の令和6年度の調査では、障害福祉の施設・事業所で職員による虐待と認められた1,267件のうち、放課後等デイサービスは157件(12.4%)でした。一方で、虐待が認められた施設・事業所でも、7割近くが職員への研修をしていました。この記事では、国の手引きと調査結果の原文をもとに、形だけで終わらない研修の中身と進め方を整理します。
放課後等デイサービスでは、職員による虐待はどのくらい認められていますか
令和6年度に、障害福祉の施設・事業所の職員による虐待と認められたのは全国で1,267件で、そのうち放課後等デイサービスは157件(12.4%)でした。事業所の種類別では、共同生活援助・障害者支援施設に次いで3番目に多い数です。
| 事業所の種類 | 虐待が認められた件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 共同生活援助 | 401件 | 31.6% |
| 障害者支援施設 | 243件 | 19.2% |
| 放課後等デイサービス | 157件 | 12.4% |
| 生活介護 | 143件 | 11.3% |
| 就労継続支援B型 | 99件 | 7.8% |
| 児童発達支援 | 24件 | 1.9% |
| 合計(全種類) | 1,267件 | 100.0% |
出典:厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月) p.22 表45(件数の多い種類と児童発達支援を抜き出したもの)。報告書のPDF
報告書の本文は、次のように書いています。「「共同生活援助」が31.6%と最も多く、次いで「障害者支援施設」が19.2%、「放課後等デイサービス」が12.4%、「生活介護」が11.3%、「就労継続支援B型」が7.8%の順であった。」(出典:厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月) p.22)
この割合は件数の内訳で、サービスごとの事業所の数の違いは考えに入っていません。この数字だけで、ほかのサービスより虐待が起きやすいとは言えません。それでも、令和6年度の1年間に放課後等デイサービスで157件が認められた、ということは、研修の前提として知っておきたい数字です。
虐待の種類は、施設・事業所全体(1,267件)で見ると、身体的虐待が最も多く、心理的虐待が続きます(放課後等デイサービスだけの内訳ではありません)。「「身体的虐待」が51.6%と最も多く、次いで「心理的虐待」が47.3%、「性的虐待」が11.1%であった。」(出典:厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月) p.23)(1つの事例に複数の種類が当てはまることがあるため、合計は100%を超えます。)
研修をしている事業所でも、虐待が起きているのはなぜですか
調査では、虐待が認められた施設・事業所(障害福祉の全サービス)の69.4%が、職員への虐待防止研修を実施していました。研修をしたかどうかより、研修で伝わったかどうかが問われている、と当方は読んでいます。
「「職員に対する虐待防止に関する研修の実施」割合が69.4%、「虐待防止委員会の開催、従業者への検討結果の周知」割合が59.7%、「管理者の虐待防止に関する研修受講」割合が57.1%、「通報義務の履行」割合が51.5%であった。」(出典:厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月) p.26)
同じ調査で、市区町村などの職員が判断した虐待の発生要因は、次のとおりでした(複数回答)。
「「教育・知識・介護技術等に関する問題」が67.5%で最も多く、次いで「倫理観や理念の欠如」が60.2%、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が58.7%であった。」(出典:厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月) p.26)
知識や技術の不足、倫理観、ストレスと感情のコントロールが上位に並んでいます。研修で扱う中身も、法律の説明だけでなく、この3つに届く内容にする必要があります。
虐待防止研修では、何を扱えばよいですか
国の手引きは、研修の種類として5つの型を挙げています。1回の研修にすべてを入れる必要はなく、年間の研修計画の中で組み合わせます。
| 手引きが挙げる研修の型 | 手引きが挙げる内容の例(原文) |
|---|---|
| 1 管理職を含めた職員全体の、虐待防止や人権意識を高める研修 | 「障害者虐待防止法等関係法律や通知、指定基準等の理解」、「過去の虐待事件の事例を知る」 |
| 2 職員のメンタルヘルスのための研修 | 「怒りの感情と上手に付き合い、怒りの感情への対処法を身につけるための研修として、アンガーコントロールがあります。」 |
| 3 障害特性を理解し、適切に支援できる知識と技術の研修 | 「行動障害の背景、理由を理解するアセスメントの技法」、「自閉症の支援手法(視覚化、構造化等)」 |
| 4 事例検討 | 「事例検討は、個別支援計画の内容を充実強化するための研修として有効です。」 |
| 5 利用者や家族等を対象にした研修 | 「障害者福祉施設の利用者や家族等に対する障害者虐待防止法の理解や早期発見のための研修を実施」 |
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)「考えられる研修の種類」
手引きは、まず法律の基本を全職員で読み合わせることを求めています。「「障害者福祉施設、障害福祉サービス事業所における障害者虐待防止法の理解と対応」(別冊)を使って、法人の全職員が職場単位等で必ず読み合わせによる学習を行い、障害者虐待防止法に関する基本的な理解を得てください。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))「20分程度で読み合わせをすることができますので、必ず行うようにします。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)) 厚生労働省の障害者虐待防止の「通知・関連資料等」のページでは、手引きと並んで「【別冊】職場内虐待防止研修用冊子」が公開されています。この冊子は、表紙で次のように説明しています。「すべての職員(支援員、事務員、調理員、運転手等の職種や、正規職員、非常勤職員等、雇用条件に関わらず)が共通に読み合わせをするための冊子です。」(出典:厚生労働省「【別冊】職場内虐待防止研修用冊子」) 研修の準備に時間がとれない事業所は、この冊子の読み合わせを年間計画の最初に置くと、始めやすくなります。
当方の整理では、上の調査で発生要因の上位だった「ストレスや感情のコントロール」には2の型が、「知識・技術」には3と4の型が対応します。毎年同じ法律の説明だけを繰り返すより、年ごとに型を変えていくほうが、調査が示した要因に合っています。
5つの虐待を、放課後等デイサービスの場面でどう説明しますか
法律の定義を読み上げるだけでは、自分の支援と結びつきにくくなります。手引きは、定義ごとに具体的な行為の例を挙げているので、事業所で起こりやすい場面に当てはめて説明するのが近道です。
まず、障害者虐待防止法の対象には、障害児通所支援事業が入っています。手引きは、対象となる事業を並べた一覧の中に「障害児通所支援事業」を挙げたうえで、次のように書いています。「これらの事業に従事する人たちが、次の行為を行った場合を「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待」と定義しています。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)) 法律でいう障害者には、18歳未満も含まれます。「また、ここでいう障害者には18歳未満の者も含まれます。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
5つの種類の定義は、次のとおりです(手引きが引用する法律の定義)。
- 「身体的虐待:障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。」
- 「性的虐待:障害者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。」
- 「心理的虐待:障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的な言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」
- 「放棄・放置:障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、他の利用者による1から3までに掲げる行為と同様の行為の放置その他の障害者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。」
- 「経済的虐待:障害者の財産を不当に処分することその他障害者から不当に財産上の利益を得ること。」
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)
しつけや指導のつもりでも、同じ行為は虐待にあたります。「しつけや指導と称して行われる上記の行為も虐待です。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
次の表は、放課後等デイサービスで日常的にある場面と、手引きが挙げている行為の例を並べたものです。場面の分け方は当方の整理で、例の文は手引きの原文です。
| 場面 | 手引きが挙げる行為の例(原文) | 種類 |
|---|---|---|
| トイレ・着替えの介助 | 「排泄介助の際、「臭い」「汚い」などと言う。」 | 心理的虐待 |
| トイレ・着替えの介助 | 「排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下(上)半身を裸にしたり、下着のままで放置する。」 | 性的虐待 |
| おやつ・食事 | 「食事の際に、職員の都合で、本人が拒否しているのに口に入れて食べさせる、飲み物を飲ませる。」 | 身体的虐待 |
| おやつ・食事 | 「排泄の失敗や食べこぼしなどを嘲笑する。」 | 心理的虐待 |
| 活動・約束ごと | 「「これができたら外出させてあげる」「買いたいならこれをしてからにしなさい」などの交換条件を提示する。」 | 心理的虐待 |
| 活動・約束ごと | 「その利用者以外の利用者だけを集めて物事を決める、行事を行う。」 | 心理的虐待 |
| 呼び方・声かけ | 「本人の意思に反して呼び捨て、あだ名などで呼ぶ。」 | 心理的虐待 |
| 子ども同士のトラブル | 「他の利用者に暴力を振るう障害者に対して、何ら予防的手立てをしていない。」 | 放棄・放置 |
| 写真・動画 | 「利用者の顔に落書きをして、それをカメラ等で撮影し他の職員に見せる。」 | 心理的虐待 |
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)(行為の例)
研修では、表の例を読んだあと、「自分たちの事業所で、似たことが起こりそうな場面はどこか」を話し合うと、自分の支援と結びつきます。「〜したら〜してあげる」という声かけのように、よかれと思ってしている関わりも例に入っているので、日ごろの支援を見直すきっかけになります。
性的虐待とスマートフォンについて、研修で何を伝えますか
手引きは、放課後等デイサービスを利用する子どもへの性的虐待の事案が報告されていることを、はっきり書いています。
「成人の障害者に対して行われる事案もありますが、放課後等デイサービス等を利用する障害児に対して行われる事案も報告されています。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
「近年の特徴として、携帯電話やスマートフォンのカメラ機能を悪用し、わいせつ行為を撮影し記録に残したり、SNS等を通してわいせつな画像を送付させるといった悪質な犯行もみられています。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
防ぐための取組として、手引きは次のような対策を挙げています。研修では、これらが事業所のルールとしてどう決まっているかを、あわせて説明します。
- 「職員と利用者が二人きりになる場面や死角になる場面場所を極力作らないこと」
- 「勤務中は個人の携帯電話やスマートフォンの携行を禁止し不当な撮影を防止すること」
- 「職員採用時に支援の現場に試しに入ってもらって気になる行動がないか確認すること」
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)「性的虐待防止の取組」
送迎の車内や個別の支援、トイレの介助など、放課後等デイサービスには、職員と子どもが1対1になりやすい場面があります。どの場面を、どう複数の目で見るかを、研修の中で具体的に確かめておくことが大切です。
「虐待かもしれない」と思ったとき、職員はどう動けばよいですか
虐待の事実がはっきりしなくても、疑いを持った時点で市町村に通報する義務があります。研修で最も確実に伝えたいのは、この点と、事業所の中での報告の流れです。
「虐待を受けたのではないかと疑いを持った場合は、事実が確認できなくても通報する義務があることを意味しています。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
事業所の中だけで確かめて終わらせると、通報義務に反することになります。手引きは、内部で言い換えて終わらせた事例にも触れています。
「市町村に通報することなく、施設の中だけで事実確認を進め、事態を収束させてしまうと通報義務に反することとなるため」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
「「不適切な支援」という言葉に言い換えて内部の職員指導のみで終わらせたり、事実を隠蔽しようとして通報義務を果たさなかったりした事例」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
上司に報告しても通報されないときは、職員が自分で通報します。通報したことを理由に、解雇などの不利益な扱いを受けないことも、法律に定められています。ただし、うその通報と、過失による通報は、この保護から除かれます(障害者虐待防止法第16条第3項。手引きに載っている条文:「第一項の規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)」)。
- 「上司や管理責任者に報告したにもかかわらず、通報がされなかったときにはうやむやにせず自ら通報すべきです」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
- 「通報等をしたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いを受けないこと(第16条第4項)。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
研修資料には、事業所の虐待防止の担当者の名前、「かもしれない」と思ったときに最初に報告する人、市町村の通報先の窓口名と電話番号を、必ず書き込んでおきます。いざというときに職員が迷わないための、研修の中で一番実用的な部分です。
研修の最後に、どうやって振り返りますか
手引きには、職員が自分の支援を振り返るためのセルフチェックリストが載っています(全国社会福祉協議会の検討委員会が作成したもの)。研修の最後に、各自で記入する時間をとると、話を聞くだけで終わらずに済みます。項目の一部を紹介します。
- 「利用者の人格を尊重し、接し方や呼称に配慮している。」
- 「利用者への説明はわかり易い言葉で丁寧に行い、威圧的な態度、命令口調にならないようにしている。」
- 「利用者の意見、訴えに対し、無視や否定的な態度をとらないようにしている。」
- 「他の職員のサービス提供や利用者への対応について問題があると感じることがある。」
- 「上司と日々のサービス提供に関わる相談を含め、コミュニケーションがとりやすい雰囲気である。」
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)に掲載の「職員セルフチェックリスト」(社会福祉法人全国社会福祉協議会「障害者の虐待防止に関する検討委員会」平成23年3月版)。全項目は手引きの原文でご確認ください。
後半の項目は、個人の振り返りというより、職場の風通しを映すものです。「問題があると感じることがある」「相談しにくい」という答えが多ければ、それ自体が虐待防止委員会で話し合う材料になります。手引きも、相談しにくい雰囲気が虐待の背景になった例を挙げています。「上司に相談しにくい雰囲気、また『相談しても無駄』という諦めがあった」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
研修を行うときに、気をつけることは何ですか
手引きは、研修を行うときの留意点を3つ挙げています。
| 留意点 | 手引きの原文 |
|---|---|
| 1 研修の対象 | 「福祉職に限らず、給食調理、事務、運転、宿直管理等の業務を担う職員も広い意味での支援者と言えます。」 |
| 2 研修の組み合わせ | 「職場内研修(OJT)と職場外研修(OffJT)の適切な組み合せにより実施することです。」 |
| 3 計画と見直し | 「年間研修計画の作成と見直しを虐待防止委員会で定期的に行うことです。」 |
出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)「研修を実施する上での留意点」
手引きの考え方では、放課後等デイサービスの送迎の運転を担当する職員や、短時間のパートの職員も、研修を行うことが望まれる対象に入ります。「関係職員に対して研修を実施することが望まれます。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)) 手引きは、新任職員とパートの従業者について、特に注意が必要だとしています。「特に新任職員やパート(短時間労働)の従業者等については、障害分野での業務について理解が不十分である場合が多く」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
回数と記録は、どうなっていますか
虐待防止の研修は年1回以上で、新しく入った職員には必ず行います。実施した内容は記録に残します。
- 「定期的な研修を実施(年1回以上)するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要である。」(出典:こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和6年改正の新旧対照表))
- 「また、研修の実施内容について記録することが必要である。」(出典:こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和6年改正の新旧対照表))
研修は、基準の条文で義務になっています(放課後等デイサービスには第71条で準用されます)。「当該指定児童発達支援事業所において、従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。」(出典:指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)) 委員会・研修・担当者の措置をしていない場合は、報酬が1%減らされる減算の対象になります。「障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所等について、虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%を減算)が創設されました。」(出典:厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月))
身体拘束・感染症・BCPなど、ほかの義務の研修・訓練の回数は、放課後等デイサービスの研修は、何が義務で、年に何回かで一覧にしています。運営指導で実際に何が指摘されているかは、放課後等デイサービスの運営指導、何を指摘されているかにまとめました。
60分の研修にするなら、どんな流れになりますか
上の内容を、1回60分の研修にまとめる場合の流れの例です。時間の配分は当方の案で、国の決まりではありません。
| 時間 | 内容 | 使うもの |
|---|---|---|
| 5分 | 研修の目的と、事業所の担当者・報告の流れの確認 | 事業所の決まりごと(担当者・報告先・市町村の窓口) |
| 15分 | 虐待の5つの種類と、しつけや指導のつもりでも虐待になること | 手引きの定義 |
| 20分 | 事業所で起こりやすい場面の例を読み、似たことがないか話し合う | 上の場面の表 |
| 10分 | 「かもしれない」で通報する義務、内部で終わらせないこと、通報者の保護 | 手引きの該当部分 |
| 10分 | セルフチェックリストの記入と、理解の確認(確認テストなど) | チェックリスト・確認テスト |
欠席した職員には、後日、同じ資料で受講してもらい、理解の確認までを記録に残します。資料を配るだけ、動画を見せるだけでは、理解できたかが分からないため、確認テストやレポートで確かめるのが確かなやり方です(自治体の考え方は、上の研修の義務の記事で紹介しています)。
研修資料・確認テスト・記録を、まとめて用意するには
当方で、放課後等デイサービス・児童発達支援の研修を回すための道具「法定研修・訓練キット」を作りました。虐待防止のテーマでは、この記事で紹介した手引きの定義・場面の例・通報の流れを、事業所の担当者名や通報先を入れた研修資料として作れます。起こりやすい場面を選んで資料に加えることもでき、確認テスト、受講記録、欠席者のフォロー、虐待防止委員会の議題案までそろっています。職員は自分のスマホで受講でき、テストの結果を記録に取り込めます。
「虐待防止」のテーマは、記録や印刷まで無料で使えます。今年度の虐待防止研修の資料づくりに、そのままお使いください。法定研修・訓練キットを開く
開業を考えている方は、あわせてこちらもどうぞ:放課後等デイサービスの開業 収支シミュレーター/児童発達支援の開業 収支シミュレーター
この記事の出典
- 厚生労働省「令和6年度『障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果報告書」(令和7年12月)
- 厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)
- 厚生労働省「【別冊】職場内虐待防止研修用冊子」
- こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和6年改正の新旧対照表)
- 指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)
作成:fufumumu_design(放課後等デイサービス・児童発達支援の開業向け収支シミュレーターと、法定研修・訓練キットの作成者)。2026年9月26日に、各出典の原文を確認して作成しました。調査の数字は、報告書の本文と表で確かめています。基準・通知の運用の最終的な確認は、指定権者(都道府県・市)の案内でお願いします。引用した国の資料は、当方が引用・整理したもので、各機関が作成したものではありません。当方は、行政書士・弁護士などの専門家ではありません。
あわせて読みたい:放課後等デイサービスの3つの委員会、何を年に何回、議事録に何を残すか。虐待防止・身体拘束・感染対策を条文と通知で比べました(児童発達支援も)
あわせて読みたい:就労継続支援B型の虐待防止。職員による虐待1,267件のうちB型は7.8%、原因で多いのは知識・技術の不足(作業・工賃の場面の例と防ぎ方)
福祉事業の開業・運営のツールと記事の一覧:訪問介護・訪問看護・障害者グループホーム・放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援B型の、収支シミュレーター・経営診断・法定研修キットとサービス別の記事(無料で試せます)


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