通所介護(デイサービス)の収入は、規模区分・時間区分・要介護度の3つの組み合わせで決まる。

通所介護(デイサービス)の収入は、規模区分・時間区分・要介護度の3つの組み合わせで決まる。 福祉事業の開業と運営

通所介護(デイサービス)の収入は、基本的に「利用者1人あたりの報酬単位数×地域単価×1日の利用者数」で決まります。報酬単位数は、事業所の規模区分・1日の提供時間・利用者の要介護度の3つの組み合わせで定まります。この3つの組み合わせは3区分×6区分×5段階で合計90通りあり、開業する事業所がどこに該当するかによって、1日の収入が大きく変わります。

この記事では、通所介護の報酬体系の仕組みを整理し、具体的な数字で計算の手順をたどります。数値はすべて、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する告示・通知等」および厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における地域区分について」をもとにしています。

通所介護の収入は3つの区分の組み合わせで単位数が決まる

通所介護の基本報酬は、次の3つの条件によって決まります。

  • 規模区分:前3か月の月平均延べ利用者数が300人以下(通常規模型)、300人超750人以下(大規模型Ⅰ)、750人超(大規模型Ⅱ)の3区分です。開業当初は通常規模型になります。
  • 時間区分:1日に提供するサービスの時間帯で、3時間以上4時間未満から8時間以上まで6区分あります。最も多いのは6時間以上7時間未満(以下「6〜7時間」)です。
  • 要介護度:要介護1〜5の5段階です。要介護度が高いほど単位数も高くなります。

この3つの組み合わせは90通りあり、同じ規模・時間帯でも要介護度によって1日あたりの基本報酬単位数が違います。

通常規模型・6〜7時間の基本報酬は要介護度で577〜944単位

最も多い通常規模型・6〜7時間の基本報酬(1日・1人あたり)を要介護度別に示します。

通常規模型・6時間以上7時間未満の基本報酬(令和6年4月〜)
要介護度 基本報酬(単位/日) 単価10.00円の場合 単価10.90円の場合(東京特別区)
要介護1 577単位 5,770円 6,290円
要介護2 661単位 6,610円 7,205円
要介護3 756単位 7,560円 8,240円
要介護4 851単位 8,510円 9,276円
要介護5 944単位 9,440円 10,290円

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する告示・通知等」(令和6年4月施行)。当方が数値を整理しました。

要介護5は要介護1の約1.6倍の単位数があります。利用者の要介護度の構成が変わると、事業所全体の収入に大きな影響があります。

規模が大きくなるほど基本報酬単位数は下がる

延べ利用者数が増えて大規模型に移行すると、基本報酬は下がります。6〜7時間の基本報酬を規模区分別に比較すると次のとおりです。

6時間以上7時間未満・要介護別の基本報酬比較(規模区分別)(令和6年4月〜)
要介護度 通常規模型 大規模型Ⅰ 大規模型Ⅱ
要介護1 577単位 548単位(通常比−5.0%) 534単位(通常比−7.5%)
要介護2 661単位 628単位(通常比−5.0%) 611単位(通常比−7.6%)
要介護3 756単位 718単位(通常比−5.0%) 699単位(通常比−7.5%)
要介護4 851単位 809単位(通常比−4.9%) 787単位(通常比−7.5%)
要介護5 944単位 897単位(通常比−5.0%) 873単位(通常比−7.5%)

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する告示・通知等」(令和6年4月施行)。当方が比率を計算しました。

大規模型Ⅰは通常規模型の約5%減、大規模型Ⅱは約7.5%減です。延べ利用者数が月平均300人を超えると規模区分が上がるため、定員が増えて利用者が増えても収入は比例して増えません。

地域区分によって1単位の単価が変わる

通所介護(人件費割合55%)の1単位あたりの単価は、事業所の所在地の地域区分によって異なります。令和6年度改定後の地域区分別の単価は次のとおりです。

通所介護の地域区分別の単価(令和6年度改定後)
級地 主な対象地域 1単位の単価
1級地 東京都特別区 10.90円
2級地 横浜市・川崎市・大阪市・名古屋市・さいたま市など 10.72円
3級地 千葉市・京都市・神戸市・岡山市・仙台市など 10.68円
4級地 相模原市・浜松市・静岡市・広島市など 10.54円
5級地 川口市・宇都宮市・金沢市・岐阜市など 10.45円
6級地 水戸市・長野市・高松市・松山市など 10.27円
7級地 その他の一部 10.14円
その他の地域 上記以外の市区町村 10.00円

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における地域区分について」

東京特別区(1級地・10.90円)と地方部(その他の地域・10.00円)では、同じ単位数でも単価が9%違います。要介護3・6〜7時間の通常規模型なら、756単位を1級地(10.90円)で計算すると8,240円、その他の地域(10.00円)で7,560円で、差額は680円(約9%)になります。

加算を積み上げると1日の収入が増える

基本報酬に加えて、要件を満たせば加算が算定できます。主な加算の単位数は次のとおりです。

通所介護の主な加算(令和6年4月〜)
加算の種類 単位数 主な算定要件
入浴介助加算Ⅰ 40単位/日 入浴の介助を行った場合
入浴介助加算Ⅱ 55単位/日 個浴等・利用者の居宅での入浴の自立を目指す個別入浴計画が必要
個別機能訓練加算Ⅰイ 56単位/日 機能訓練指導員(専従1名以上)
個別機能訓練加算Ⅰロ 76単位/日 機能訓練指導員(専従2名以上)
個別機能訓練加算Ⅱ 20単位/月 Ⅰイ/Ⅰロに加えて算定。科学的介護推進体制加算と組み合わせ可
中重度者ケア体制加算 45単位/日 要介護3以上の利用者が一定割合・看護職員の確保等
サービス提供体制強化加算Ⅰ 22単位/回 介護福祉士80%以上・勤続10年以上の介護福祉士等が一定割合
サービス提供体制強化加算Ⅱ 18単位/回 介護福祉士50%以上・勤続7年以上の介護福祉士等が一定割合
サービス提供体制強化加算Ⅲ 6単位/回 介護福祉士40%以上
送迎加算Ⅱ 54単位/片道 利用者の送迎を行った場合
送迎加算Ⅰ 184単位/片道 居宅内介助等(着替え・車いすへの移乗等)を含む送迎

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する告示・通知等」(令和6年4月施行)。加算の要件は簡略記載です。算定に際しては、正式な省令・告示・通知を確認してください。

入浴介助加算Ⅰ(40単位)と送迎加算Ⅱ(往復108単位)を組み合わせると、1人1日あたり148単位が加算されます。要介護3・6〜7時間(756単位)の利用者に対してこれらを算定すると、合計904単位(7,560円→9,040円)になります。

処遇改善加算は報酬合計の4.9〜14.8%が加算される

介護職員等処遇改善加算(令和6年6月〜一本化後)は、基本報酬と加算の合計に対して一定の割合を乗じて算定します。通所介護の処遇改善加算の区分と加算率は次のとおりです。

介護職員等処遇改善加算の加算率(通所介護・令和6年6月〜)
区分 加算率
処遇改善加算Ⅰ 14.8%
処遇改善加算Ⅱ 12.0%
処遇改善加算Ⅲ 10.6%
処遇改善加算Ⅳ 7.2%
処遇改善加算Ⅴ 4.9%

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」処遇改善加算の見直し(令和6年6月施行)。

処遇改善加算Ⅱ(12.0%)を算定する場合、月の報酬合計が300万円であれば、加算分は36万円です。処遇改善加算は介護職員の賃金原資に充てることが要件とされており、事業所の利益として使えるわけではありませんが、介護職員の採用・定着の観点からも算定することが重要です。

定員20名・稼働率80%の事業所の月収入を計算する

具体例として、通常規模型・6〜7時間・その他の地域(単価10.00円)の事業所(定員20名、稼働率80%)の月収入を試算します。利用者の要介護度は要介護1が15%、要介護2が30%、要介護3が30%、要介護4が20%、要介護5が5%の構成とします。

加重平均の基本報酬単位数を計算すると次のようになります(当方の計算)。

要介護度構成による加重平均基本報酬の計算
要介護度 構成比 基本報酬(単位) 加重平均への寄与
要介護1 15% 577 86.6単位
要介護2 30% 661 198.3単位
要介護3 30% 756 226.8単位
要介護4 20% 851 170.2単位
要介護5 5% 944 47.2単位
加重平均 100% — 729.1単位

1日あたりの利用者数:定員20名×稼働率80%=16名

入浴介助加算Ⅰ(40単位)と送迎加算Ⅱ(往路54単位+復路54単位=108単位)を算定する場合:

月収入の試算(定員20名・稼働率80%・月22日営業の場合)
項目 計算 金額
1日・1人あたりの基本報酬 729.1単位 × 10.00円 7,291円
1日・1人あたりの加算合計 (40 + 108) × 10.00円 1,480円
1日・1人あたりの報酬合計 7,291 + 1,480 8,771円
1日の売上(16名分) 8,771円 × 16名 140,336円
月の基本+加算合計(22日) 140,336円 × 22日 3,087,392円
処遇改善加算Ⅱ(12.0%) 3,087,392円 × 12.0% 370,487円
月の収入合計 3,087,392 + 370,487 約345万円

当方の計算です。既定値はシミュレーターの初期値(要介護度構成・稼働率・加算取得状況)を使用しています。実際の収入は利用者数・要介護度構成・加算取得状況・地域区分によって大きく異なります。

稼働率が80%から70%に下がると、1日の利用者数は16名から14名になり、月収入は約302万円(約43万円の減少)となります。稼働率1%の差が月約1.7万円の収入差になります。

時間区分が長くなるほど基本報酬が高い

通常規模型・要介護3の利用者で、時間区分別の基本報酬を比較すると次のようになります。

通常規模型・要介護3の時間区分別基本報酬(令和6年4月〜)
時間区分 基本報酬(単位/日) 単価10.00円の場合
3時間以上4時間未満 479単位 4,790円
4時間以上5時間未満 507単位 5,070円
5時間以上6時間未満 733単位 7,330円
6時間以上7時間未満 756単位 7,560円
7時間以上8時間未満 876単位 8,760円
8時間以上 917単位 9,170円

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する告示・通知等」(令和6年4月施行)。当方が数値を整理しました。

5時間以上6時間未満から6時間以上7時間未満に変わると単位数は733→756で微増ですが、4時間以上5時間未満から5時間以上6時間未満に変わると507→733と大きく上がります。サービス提供時間を延ばすことが収入増につながる場合がありますが、職員配置や利用者の負担(食事代・おむつ代等)との兼ね合いもあります。


通所介護の収入シミュレーションを、定員・稼働率・要介護度構成・加算の取得状況を変えながら確認したい場合は、当サイトの収支シミュレーターをお使いください。

→ 通所介護(デイサービス)の開業 収支シミュレーター

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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