児童発達支援の個別支援計画。作成手順と記載内容。

児童発達支援の個別支援計画。作成手順と記載内容。

児童発達支援の個別支援計画は、平成24年厚生労働省令第15号(指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)の規定に基づき、児童発達支援管理責任者(児発管)が作成します。作成の流れはアセスメント→計画原案の作成→保護者への説明・同意の取得→計画の交付→モニタリングの5ステップです。モニタリングは利用開始後6か月以内・その後は6か月ごとに実施することが原則で、利用開始時や計画変更後は3か月以内の実施が求められます。運営指導では計画の作成日・保護者の署名・モニタリング記録の保存が重点確認されます。

個別支援計画の作成義務の根拠

指定児童発達支援事業者は、平成24年厚生労働省令第15号(以下「省令第15号」)に基づき、個別支援計画を作成する義務があります。省令第15号の指定児童発達支援に関する章(第69条等。具体的な条文番号は改正の状況に応じて指定権者に確認してください)では、支援の提供にあたって個別支援計画を作成・実施し、定期的に見直しを行うことが義務づけられています。

作成者は児童発達支援管理責任者

個別支援計画を作成するのは「児童発達支援管理責任者(児発管)」です。管理者や生活支援員・保育士が代わりに作成することは認められておらず、児発管が直接アセスメントを行い、計画に署名する必要があります。

児発管は、所定の実務経験と研修(基礎研修・実践研修)を修了した者が担います。令和4年度以降の改定で研修体系が見直されており、資格要件・更新要件は最新の告示・通知を確認することが必要です。

個別支援計画の作成手順

ステップ1:アセスメント

利用開始前に、児発管が保護者と面談し、以下の情報を収集します。

  • 子どもの発達状況(言語・認知・運動・社会性等の発達水準)
  • 日常生活の様子(食事・排泄・着替え等のセルフケアの状況)
  • 行動上の特性(こだわり・感覚過敏・コミュニケーションの特性等)
  • 保護者の意向・希望(どのような支援をしてほしいか)
  • 家庭環境・生活リズム・通園・通学の状況
  • 医療機関からの情報(診断名・服薬・医療的ケアの有無等)

アセスメントには、相談支援事業所が作成した「障害児支援利用計画」も参照します。障害児支援利用計画に記載された支援の方向性と、個別支援計画の内容が連動していることが重要です。

ステップ2:計画原案の作成

アセスメントの結果をもとに、以下の内容を含む計画原案を作成します。

  • 子どもの氏名・生年月日・障害の状況
  • 長期目標(おおむね1年程度で達成を目指す目標)
  • 短期目標(おおむね3〜6か月で達成を目指す具体的な目標)
  • 支援の内容(各目標に対応した具体的な活動・支援方法)
  • 支援の頻度・時間
  • 担当職員
  • 保護者への支援内容(家庭での関わり方等)
  • 通園・通学機関との連携内容

計画原案の作成後、サービス担当者会議(関係機関・保護者が参加する会議)を開催することが推奨されていますが、会議の招集が難しい場合は担当者への照会(電話・書面)での意見収集でも可とされています。

ステップ3:保護者への説明と同意の取得

計画原案を保護者に説明し、同意を得ます。同意は計画書の署名欄への記名・押印(または署名)で確認します。「口頭での同意のみ」は運営指導で指摘される項目です。

説明の際は専門用語を避け、保護者が理解できる言葉で行います。子どもの発達段階に応じて、本人へも分かりやすく説明します。

ステップ4:計画の交付と保存

同意を得た計画書は、保護者に交付するとともに事業所でも保存します。保存期間は、サービス提供終了の日から5年間が原則(省令第15号の記録保存規定)とされています。

ステップ5:モニタリング(計画の見直し)

計画を実施した後、定期的にモニタリングを行い、支援目標が適切かどうかを確認します。

モニタリングの頻度

通常のモニタリング頻度

省令第15号及び解釈通知では、モニタリングの実施頻度について「少なくとも6か月に1回以上」実施することが示されています。モニタリング後に計画を変更した場合は、再度保護者への説明・同意が必要です。

より頻繁なモニタリングが求められる場合

以下の場合は、6か月を待たずに早期にモニタリングを実施することが求められます。

  • 利用を開始した直後(開始後3か月以内が目安)
  • 子どもの状態が大きく変化した場合(進学・転園・診断名の変更等)
  • 支援目標の達成状況に大きな変化があった場合
  • 保護者から計画の見直しを求められた場合

モニタリングを実施した際は、モニタリング記録(実施日・確認した内容・変更の有無・次回モニタリング予定日)を作成して保存します。

児童発達支援特有の記載内容

発達状況と発達段階の記録

成人向けの障害福祉サービスと異なり、児童発達支援の個別支援計画では子どもの発達段階(言語理解・表出・認知機能・身体機能・社会性等)を具体的に記録します。標準化されたアセスメントツール(例:子ども版の発達チェックリスト等)を活用することで、支援の効果を数値や段階で確認しやすくなります。

保護者の意向の記載

児童発達支援では、支援の当事者は子どもですが、日常的な関わりは保護者が担います。個別支援計画には「保護者が求めていること」を具体的に記載し、事業所の支援と家庭での取り組みが連動するよう計画を立てます。

通園・通学機関との連携

子どもが保育所・幼稚園・認定こども園・小学校等に通っている場合、個別支援計画にその機関との連携方法を記載します。担任教員や保育士と情報交換を行い、支援の方向性を共有することで、子どもの一貫した発達支援が実現します。

保育所等訪問支援を利用している場合は、訪問支援の内容と個別支援計画が整合しているかも確認します。

医療的ケアが必要な子どもへの記載

気管切開・人工呼吸器・経管栄養等の医療的ケアが必要な子どもの場合、個別支援計画にケアの種類・手順・緊急連絡先(主治医・家族)・禁忌事項を記載します。医療的ケア児加算を算定するための体制(看護師の配置・医師との連携等)と計画内容が一致していることが重要です。

障害児支援利用計画との関係

障害児支援利用計画は、相談支援専門員(障害児の場合は相談支援事業所)が作成する計画で、複数の支援(通所・訪問・日常生活支援等)を包括的にコーディネートするものです。個別支援計画(事業所が作成)は、障害児支援利用計画の目標・方針と整合していなければなりません。

新規利用者のアセスメント時には、相談支援事業所が作成した障害児支援利用計画を参照し、支援方針の共有を図ります。計画を変更した際は、相談支援専門員に変更内容を報告します。

個別支援計画の様式

個別支援計画の様式(書式)は法令に定められておらず、事業所が独自に定めることができます。厚生労働省や各都道府県が様式例を公開していますので、それをベースに自事業所の支援内容に合わせてカスタマイズする方法が一般的です。

様式に必ず含めるべき事項は以下のとおりです。

  • 子どもの氏名・生年月日・障害の状況
  • 計画の作成日・作成者(児発管)の氏名
  • 保護者の署名・同意日
  • 長期目標・短期目標
  • 支援の内容・頻度・担当者
  • モニタリングの予定日

運営指導での確認ポイント

計画の作成日と支援開始日

個別支援計画は、サービスを提供する前(または提供開始後できるだけ早い時期)に作成するものです。支援開始後かなり後になってから計画を作成していた場合、指摘対象となります。

保護者の署名・同意の確認

計画書に保護者の署名・同意日が記録されているかを確認されます。署名のない計画書は同意を得ていないと判断されます。

モニタリングの実施記録

6か月以内ごとのモニタリングが実施されており、その記録が保存されているかを確認されます。「計画は作成したがモニタリング記録がない」というケースは指摘対象です。

障害児支援利用計画との整合性

相談支援事業所が作成した障害児支援利用計画の目標・方針と、事業所の個別支援計画の内容が整合しているかを確認されます。「利用計画と個別支援計画の方針が矛盾している」という場合は、調整が必要です。

計画の保存期間

個別支援計画の保存期間(5年間)が守られているかを確認されます。古い計画書でも廃棄せず保存しておくことが必要です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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