就労定着支援の利用者が転職した場合。継続要件・就労定着率への影響。

就労定着支援の利用者が転職した場合。継続要件・就労定着率への影響。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援の利用者が転職した場合、転職先も一般就労であれば就労定着支援の利用を継続することができます。就労定着率の計算への影響・転職中(一時的な失業)の扱い・記録と対応の実務を整理します。

転職先が一般就労であれば就労定着支援は継続できる

就労定着支援の目的は「一般就労の継続を支援すること」であり、特定の就労先への定着だけを支援するものではありません。解釈通知では、転職(一般就労から別の一般就労への移動)は「一般就労の継続」として扱われ、就労定着支援の支援対象から外れるわけではありません。

転職自体は就労定着支援の利用終了事由ではないため、転職した場合も引き続き支援を行うことが省令・解釈通知の趣旨に沿った対応です。転職後の新しい職場での定着を支援することが、就労定着支援員の重要な役割の一つです。

転職先が「一般就労」でない場合は就労定着支援の対象外

転職先の種類によっては、就労定着支援の対象外となる場合があります。

転職先の種類と就労定着支援の継続可否
転職先 就労定着支援の継続 理由
一般企業・特例子会社・公的機関(正社員・契約社員・パート等) 継続可 「一般就労」の継続に当たる
就労継続支援A型 継続不可 「一般就労」ではなく障害福祉サービス内の就労に当たる
就労継続支援B型 継続不可 雇用契約がなく「一般就労」に当たらない
転職活動中(一時的な失業) 原則対象外(詳細は次節で説明) 就労していない期間は「一般就労の継続」ではない

就労継続支援A型への転職は「障害福祉サービスへの移行」であり、就労定着支援の支援対象から外れます。この場合、利用契約の終了手続きが必要です。

転職中(一時的な失業・職探し期間)の扱い

転職の過程で一時的に無職になる期間(退職から再就職まで)の取り扱いは、解釈通知において明確な規定がなく、運用には指定権者による確認が必要です。一般的な考え方として以下のように整理できます。

  • 転職の意思があり、再就職活動中である場合:一時的な失業期間中も支援の継続が認められる場合があります。ただし、報酬算定については就労している状態でない期間は算定できないとされる場合があります
  • 就労意欲がなく、事実上の離職が長期化している場合:「一般就労の継続」の状態でなくなるため、就労定着支援の支援対象外と判断される可能性があります

転職中の利用者への対応については、指定権者(都道府県・政令市等)に個別に確認することをお勧めします。

就労定着率の計算への影響

就労定着率は「前年度に利用を終了した者のうち、3月31日時点で就労を継続している者の割合」で計算されます。転職した場合の扱いは以下のとおりです。

  • 転職先が一般就労であり、3月31日時点で就労継続している場合:「就労継続者」としてカウントされます(就労定着率の分子に含まれます)
  • 転職後に就労継続支援A型・B型へ移行した場合:「就労継続」には当たらないため、就労定着者として扱われない可能性があります。詳細は解釈通知・指定権者に確認が必要です
  • 転職活動中で3月31日時点に就労していない場合:就労継続者として扱われず、定着率の分子に含まれません

転職の支援記録:何を、どう記録するか

利用者が転職した場合は、以下の内容を支援記録に残しておくことが重要です。

転職時の支援記録の記載内容
記録項目 記載内容
転職の経緯 転職の理由(自己都合・会社都合・キャリアアップ等)・前就労先の退職日
転職先の情報 新しい就労先の業種・雇用形態・勤務条件(記録できる範囲で)
転職時の本人の状況 転職に際しての体調・本人の意向・不安点
転職後の対応方針 新しい就労先での支援の継続方法・企業連携の開始予定

転職前の就労先との企業連携は転職をもって終了し、新しい就労先との企業連携を改めて開始します。新しい担当者への挨拶・情報共有から企業連携を構築し直すことが必要です。

転職後の収支への影響

転職した利用者が一般就労を継続している限り、報酬算定上の扱いは変わりません(利用者1人あたりの月額報酬単位数は就労先が変わっても同じです)。ただし、転職中に一時的な無就労期間がある場合は、その期間中の報酬算定ができない可能性があります。

就労定着率の維持という観点では、転職は適切に支援することで「就労継続」につなげられる場面です。転職自体を問題視するのではなく、転職先での定着を新たな目標として支援することが重要です。

就労定着支援の収益構造と就労定着率の関係については、就労定着支援 収支シミュレーター(無料)で試算できます。就労定着率区分が変わると月次収入にどう影響するかを確認できます。

参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知)
  • 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号による改定版)

この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。報酬は改定されることがありますので、最新の告示を確認してください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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