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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)の7サービスの人件費率(人件費÷収入)を比較すると、短期入所69.2%・生活介護69.1%が最高で、GH包括型61.7%が最低です。7.5ポイントの差はサービスの特性・規模・職種配置の違いから生まれています。
7サービスの人件費率ランキング
| 順位 | サービス | 人件費率 | 年収入(千円) | 人件費(千円) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 短期入所 | 69.2% | 8,802千円 | 6,091千円 |
| 2位 | 生活介護 | 69.1% | 79,388千円 | 54,885千円 |
| 3位 | 児発 | 68.0% | 22,131千円 | 15,057千円 |
| 4位 | GH日中型 | 66.1% | 58,030千円 | 38,375千円 |
| 5位 | 放デイ | 64.4% | 31,025千円 | 19,983千円 |
| 6位 | 就労移行支援 | 64.2% | 28,784千円 | 18,476千円 |
| 7位 | GH包括型 | 61.7% | 39,901千円 | 24,602千円 |
短期入所が69.2%でトップになる理由
短期入所(平均年収880万円)は7サービス中で最も規模が小さいサービスです。収入が少ないにもかかわらず、人員配置基準(利用者2〜6人に対して支援員1人以上の夜間対応・看護師の配置等)を満たすために最低限の職員を置かなければならず、人件費率が自然に高くなります。短期入所の人件費率69.2%は「規模が小さいサービスほど人件費率が上がりやすい」という経済的な構造を示しています。
生活介護が69.1%で高い理由
生活介護は平均年収7,939万円と大規模ですが、利用者支援に要する人員が多い(障害支援区分4〜6の重度利用者が多く、介護・生活支援・送迎等で多くの職員が必要)ため、人件費率が高くなります。生活介護の定員28人(平均)を支援するには、支援員・サービス管理責任者・看護職員等を複数名配置する必要があり、人件費の絶対額(54,885千円)は7サービス中最大です。
GH包括型が61.7%で最低になる理由
GH包括型は平均年収3,990万円で、7サービスの中で2番目に高い「その他費用率」(25.9%)を持ちます。住居運営コスト(家賃・食費・光熱費等)というGH特有の費用がその他費用に含まれるため、人件費率が相対的に低くなります。つまり、GH包括型の人件費率が低いのは「人件費が少ない」のではなく、「住居費用という他の大きな費目がある」からです。
人件費率と収支差率の関係
7サービスの人件費率と収支差率の関係を見ると、単純な逆相関にはなっていません。
| サービス | 人件費率 | 収支差率 |
|---|---|---|
| 放デイ | 64.4% | 9.1% |
| 就労移行支援 | 64.2% | 6.0% |
| GH包括型 | 61.7% | 6.9% |
| 生活介護 | 69.1% | 6.3% |
| 短期入所 | 69.2% | 2.3% |
人件費率が低い放デイ(64.4%)は収支差率9.1%と高いですが、人件費率が低いGH包括型(61.7%)は収支差率6.9%にとどまっています。一方、人件費率が高い生活介護(69.1%)は収支差率6.3%と健全な水準を維持しています。これは「人件費率だけで収支差率は決まらない——その他費用の水準・稼働率・収入単価のすべてが組み合わさって収支差率になる」ことを示しています。
自事業所の人件費率を全国平均と比較する際は、同じサービス種別の全国平均(上表)と比較することが重要です。異なるサービス間での比較は、費用構造が異なるため参考値にとどめてください。
人件費率が全国平均を超えている場合の確認事項
自事業所の人件費率が同じサービスの全国平均を3〜5ポイント以上超えている場合は、次の2つの要因を確認することが有効です。
要因1:給与水準が高い:職員1人あたりの給与(月給)が全国平均より高い場合、人件費率が上がります。厚生労働省の概況調査には職種別月額給与のデータもあり、自事業所の給与水準と全国平均を比較できます。給与水準が高い場合は、処遇改善加算が適切に取得・分配されているかを確認します。
要因2:職員1人あたりの収入(生産性)が低い:稼働率が低い・定員が少ない等の理由で職員1人が稼ぐ収入が少ない場合も人件費率が上がります。放デイの全国平均では職員1人あたり年収入520万円程度(31,025千円÷6.0人)が目安です。自事業所でこれを大幅に下回る場合は稼働率の向上が優先課題です。
人件費率の改善は「給与水準の引き下げ(職員の定着に悪影響)」ではなく「稼働率の向上により職員1人あたり収入を増やす」方向で取り組むことが、中長期的に有効です。人件費率の目標水準として「全国平均±3ポイント以内」を目安にすることが合理的な経営管理の起点になります。
人件費率の計算と「費用ベースの人件費率」との違い
本記事で使用している人件費率は「人件費÷収入」で計算しています(放デイ19,983千円÷31,025千円=64.4%)。これとは別に「人件費÷費用合計」という費用ベースの人件費率を使う場合もあります(放デイの場合:19,983千円÷28,194千円=70.9%)。
2つの指標を混同すると、全国平均との比較が正確に行えません。本記事の全国平均値(短期入所69.2%・生活介護69.1%等)は「収入ベース」のため、自事業所の計算時も「人件費÷収入」で計算して比較してください。福祉医療機構(WAM)の参考指標は費用ベース(労働分配率)で示されているケースもあるため、比較する際は計算方法を確認することが重要です。
自事業所の人件費率が全国平均を3〜5ポイント以上超えている場合、まず「収入ベースの計算になっているか」を確認した上で、要因分析(給与水準か、職員1人あたり収入か)を進めることが正確な経営診断につながります。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。

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