エステサロンのスタッフ給与。正社員・パートの相場と、社会保険を含めた会社の実質コスト。

エステサロンのスタッフ給与。正社員・パートの相場と、社会保険を含めた会社の実質コスト。 エステサロンの開業

エステサロンでスタッフを雇用する場合、時給制パートなら時給1,100〜1,400円台、正社員なら月給20〜28万円程度が市場の目安です。給与にプラスして社会保険料の事業主負担(給与の約15%)が固定費に加わるため、「手取り25万円」のスタッフを雇うと会社の実質負担は月約28.75万円になります。人件費の設計を誤ると損益分岐点が計画より高くなります。

スタッフを雇った場合の損益分岐点を確認したい方は、こちらからどうぞ。
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雇用と業務委託の人件費の違い

スタッフに仕事を依頼する方法は「雇用(正社員・パート)」と「業務委託」の2種類です。雇用と業務委託では、費用の構造が異なります(業務委託と雇用の収支の違いはこちら)。この記事では「雇用」を選んだ場合の給与設計と人件費の計算に絞ります。

雇用と業務委託の人件費の構造比較
項目 雇用(正社員・パート) 業務委託
費用の名称 給与・賞与 業務委託報酬
社会保険の事業主負担 あり(給与の約15%) なし
有給休暇・労基法の適用 あり なし(委託契約の範囲)
業務の指揮命令 可能 原則不可(実態が指揮命令なら偽装請負)
雇用保険 あり(週20時間以上) なし

エステサロンスタッフの給与の市場相場

エステサロンのスタッフ給与は、地域・経験年数・雇用形態によって異なります。以下は一般的な採用市場での目安です(当方の確認範囲での参考情報)。

エステサロンスタッフの給与の目安
雇用形態 給与・時給の目安 備考
正社員(未経験・研修あり) 月給18〜22万円 施術スキル習得期間中
正社員(経験者・即戦力) 月給22〜30万円 固定客持ち・資格保有者はさらに上
パート・アルバイト 時給1,100〜1,400円 地域の最低賃金+100〜200円が多い
インセンティブ込みの歩合 基本給15〜18万円+売上歩合 歩合率は施術売上の10〜20%前後が多い

上記は採用市場の目安であり、当方の独自調査ではありません。実際の相場は地域・サービス内容・店舗規模によって異なります。採用前にハローワーク・求人サイトで地域の相場を確認することを推奨します。

給与以外に発生する「人件費の実態」

スタッフを雇うと、給与以外の費用が発生します。「月給25万円のスタッフを1人雇う」場合の会社の実質負担をまとめます。

月給25万円のスタッフを正社員で雇用する場合の会社の月次コスト
費用項目 月額(目安) 備考
給与 250,000円 税引き前・額面
健康保険料(事業主負担) 約12,974円 協会けんぽ・東京都・2025年度 標準報酬月額260,000円(等級26)×9.98%÷2
厚生年金保険料(事業主負担) 約23,790円 標準報酬月額260,000円×18.3%÷2
雇用保険料(事業主負担) 約2,375円 事業主負担率0.95%(一般事業・2025年度)×250,000円
労災保険料(事業主全額負担) 約750円 料率0.3%(サービス業一般)
合計(会社の実質負担) 約289,889円 給与250,000円+社会保険等39,889円

健康保険・厚生年金の標準報酬月額は給与額に応じた等級で決まります。上記は給与250,000円の場合の概算です。実際の保険料率・計算は年金事務所・社会保険労務士に確認してください。

「月給25万円のスタッフを1人雇う」と、会社の月次コストは実質約29万円です。年間換算で約348万円の人件費が固定費に加わります。

パートを雇用した場合の週別コスト

パートタイムスタッフを雇う場合、週の勤務時間によって社会保険の加入義務が変わります。

パートの週勤務時間と社会保険・コストの違い
週勤務時間 月給(時給1,200円×4.33週) 社会保険の扱い 会社の実質負担
週15時間(月65時間) 約78,000円 雇用保険のみ(週20時間未満のため) 約78,750円
週20時間(月87時間) 約104,000円 雇用保険加入(週20時間以上) 約104,988円
週30時間(月130時間) 約156,000円 社会保険加入(週30時間以上・または特定条件) 約174,840円

社会保険の加入基準は従業員数・事業所の規模によって異なります。週20時間以上で社会保険加入義務が生じるのは2024年10月以降・51人以上の事業所が対象です。従業員50人以下のサロンは週30時間以上が社会保険加入の基準になります。最新の要件は年金事務所・社会保険労務士に確認してください。

人件費が損益分岐点に与える影響

1人サロン(固定費23万円)の損益分岐点の月商は約27.7万円です(粗利率83%)。月給25万円のスタッフ1人を雇うと、固定費は月約51万円(23万円+会社負担28.7万円)になります。

スタッフ雇用による損益分岐点の変化(粗利率83%)
体制 固定費(月) 損益分岐点の月商 損益分岐点の日次客数(客単価12,000円)
1人サロン(オーナーのみ) 23万円 約27.7万円 約0.9人/日
パート1人(週20時間・月10.5万円) 約33.5万円 約40.4万円 約1.3人/日
正社員1人(月給25万・会社負担約29万) 約52万円 約62.7万円 約2.1人/日

正社員を1人雇うと、損益分岐点の月商が27.7万円から62.7万円に跳ね上がります。ベッド1台・1日3回転(月商90万円)なら、損益分岐を超えた後の利益は大きくなりますが、月商が62.7万円を下回る立ち上がり期は毎月赤字が続きます。

スタッフ雇用と売上拡大のセットで考える

スタッフを雇う目的は「施術人数を増やして売上を伸ばすこと」です。スタッフを雇う前に、次の2点を確認します。

  1. 増加した固定費を賄える売上が現実的に見込めるか:正社員1人を雇うと固定費が約29万円増えます。粗利率83%で換算すると、月商を約34.9万円(29÷0.83)増やさなければ赤字幅が拡大します。ベッドを1台増やして月90万円の売上増が見込める場合にのみ、正社員雇用が収支に貢献します。
  2. 雇用後の試用期間中の資金を確保しているか:スタッフが即戦力になるまでの期間(3〜6か月)は、スタッフの施術分の売上が少ない一方で給与は発生します。この期間の追加コストを手元資金から賄える計画が必要です。

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この記事は、fufumumu_design(当方)が公表資料をもとに整理した情報です。記載の内容は情報提供を目的としており、労務・社会保険の相談・代行は行っていません。給与水準・保険料率は採用時点の相場・法令で変わります。社会保険労務士などの専門家に確認されることをお勧めします。最終確認:2026年10月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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