障害福祉サービスの定員1人当たり収入の比較、GH日中型395万円・短期入所128万円

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障害福祉サービスの収支差率を比較する際、「定員1人当たり収入」という指標が事業性の違いを理解するのに役立ちます。同じ定員でも、サービスによって1人当たりの収入が大きく異なります。厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)のデータをもとに整理します。

定員1人当たりの収入・費用(7サービス比較)

サービス 平均定員 1人当たり収入(千円) 1人当たり費用(千円) 1人当たり差額(千円) 収支差率
GH日中型 15人 3,952 3,750 202 5.1%
放デイ 11人 2,906 2,640 266 9.1%
生活介護 28人 2,857 2,676 181 6.3%
GH包括型 16人 2,482 2,311 171 6.9%
就労移行支援 14人 2,070 1,945 125 6.0%
児発 13人 1,689 1,558 131 7.8%
短期入所 7人 1,277 1,248 29 2.3%

1人当たり収入が最も高いのはGH日中型(3,952千円=約395万円)で、最も低いのは短期入所(1,277千円=約128万円)です。3倍以上の差があります。

1人当たり収入が高いサービスの特徴

GH日中型(3,952千円/人):GH日中型は入居者への24時間支援(夜間+日中)を提供するため、1人当たりの報酬単価が最も高くなります。夜間支援等体制加算・日中支援加算など複数の加算が積み重なることで、定員15人で年収5,803万円(1人当たり387万円)以上を実現しています。

ただし、費用も1人当たり3,750千円と最大で、差額は1人当たり202千円にとどまります。GH日中型は「高収入・高費用・低差額」の構造です。

放デイ(2,906千円/人):放デイの1人当たり収入2,906千円は、定員11人で年収3,103万円という規模感です。1人当たり費用2,640千円との差額が266千円で、7サービス中で最大の差額です。GH日中型より収入単価は低いですが、費用単価も低いため「差額(収益)」が最大になっています。

1人当たり収入が低いサービスの特徴

短期入所(1,277千円/人):定員7人で年収880万円(1人当たり128万円)という最小規模です。1人当たり費用1,248千円との差額は29千円しかなく、これが収支差率2.3%の低さの直接原因です。1人当たりの差額が29千円しかなければ、空床が1〜2名増えるだけで簡単に赤字に転落する水準です。

児発(1,689千円/人):定員13人で年収2,213万円という規模です。1人当たり収入は低い方ですが、費用も1,558千円と相対的に低く、差額131千円・収支差率7.8%(中央値9.7%)と健全な水準を維持しています。これは放デイと同じく「日中・週数日のサービス」という性質から人件費を抑えやすいことが背景にあります。

1人当たり差額と収支差率の関係

1人当たり差額(収入−費用)は次のように整理できます。

  • 放デイ:266千円/人(7サービス最大)→ 定員11人で年収3,103万円・差額283万円
  • 就労移行支援:125千円/人→ 定員14人で年収2,878万円・差額174万円
  • GH包括型:171千円/人→ 定員16人で年収3,990万円・差額275万円
  • 短期入所:29千円/人(7サービス最小)→ 定員7人で年収880万円・差額20万円

1人当たり差額が小さいサービス(短期入所・就労移行支援)は、稼働率が少し下がるだけで収支差率が急激に悪化します。逆に1人当たり差額が大きいサービス(放デイ・GH包括型)は、稼働率が多少下がっても収支差率への影響を吸収しやすい構造です。

収支差率が高いサービスの1人当たり差額の傾向

収支差率が高いサービスと1人当たり差額の関係を見ると、必ずしも「1人当たり収入が高い=収支差率が高い」ではないことが分かります。

放デイは1人当たり収入2,906千円で7サービス中3番目ですが、収支差率9.1%と最高水準です。その理由は1人当たり費用(2,640千円)との差が266千円と最大であるためです。GH日中型は1人当たり収入3,952千円と最高ですが、費用も3,750千円と高く、差額は202千円(収支差率5.1%)にとどまります。

「1人当たり差額」という視点で整理すると、サービス選択や複合型運営の判断に活用できます。複数サービスを運営している事業所では、どのサービスが1人当たり差額(収益)を最大化しているかを確認することで、経営資源(人員・スペース)の配分を最適化できます。

自事業所の1人当たり収入の確認方法

自事業所の1人当たり収入を計算するには次の式を使います。

定員1人当たり年間収入 = 年間収入 ÷ 定員数

自事業所の1人当たり年収入が全国平均を下回っている場合は、次の要因を確認します。

  • 稼働率が低い:実際の利用者が定員を大きく下回っている場合、平均の「1人当たり収入」の計算分母が実利用者数に近づき、固定費が高くなる。稼働率を全国水準(各サービス80〜88%)に近づけることが優先
  • 加算の未算定:加算を取得することで収入単価が上がり、1人当たり収入が増加する。各サービスで取得可能な加算を洗い出すことが収入向上の基本
  • 定員規模の問題:特に短期入所(平均定員7人)は定員が少なすぎると固定費が収入に対して過大になる。定員拡大が可能かどうかを施設規模・人員配置基準から確認する

1人当たり収入は報酬改定や加算取得の影響を受けやすい指標です。年度末に前年との変化を確認することで、改定・加算変更の影響を把握できます。

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出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。定員・1人当たり収入は同調査の集計値をもとに算出しています。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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