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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)では、放課後等デイサービスの収支差率を法人形態別に確認することができます。法人形態によって収支差率に大きな差があり、その理由は規模・加算取得・人件費水準の違いにあります。
法人形態別の収支差率一覧
| 法人形態 | 事業所数 | 平均定員 | 平均年収入 | 収支差率 |
|---|---|---|---|---|
| 営利法人 | 191件 | 11人 | 3,277万円 | 12.6% |
| その他 | 30件 | 10人 | 2,948万円 | 6.1% |
| NPO法人 | 37件 | 10人 | 2,788万円 | 4.3% |
| 社会法人(他含む) | 46件 | 11人 | 2,732万円 | ▲2.0% |
調査304事業所の中で営利法人が191件(63%)と最多を占めています。収支差率は営利法人12.6%・社会法人▲2.0%と14.6ポイントの差があります。
社会法人の放デイが赤字になりやすい理由
社会法人(社会福祉法人・学校法人等を含む)の放課後等デイサービスが平均で赤字(▲2.0%)になっている背景には、複数の要因があります。
- 人件費水準が高い:社会福祉法人等は処遇改善加算の算定前から給与水準が比較的高く、人件費率が高くなりやすい。福祉・介護職員の処遇改善加算を取得しても、費用側の人件費も増加するため収支差率の改善効果が出にくい場合がある
- 複数事業を抱える法人の構造:社会福祉法人が放デイを経営する場合、法人全体の管理費が放デイにも按分・配賦される場合がある。単独法人の放デイより費用が多く計上される傾向がある
- 利用者像の違い:社会法人が運営する放デイは、支援ニーズの高い利用者(重度・医療的ケアが必要な児童等)を積極的に受け入れるケースがある。このような利用者は加算収入が高い反面、対応職員の配置コストも高い
営利法人の放デイが収支差率12.6%を出せる理由
営利法人の放デイが収支差率12.6%を実現している理由として、次の要因が考えられます。
- 平均年収入3,277万円と高い:社会法人の2,732万円より545万円多い。同規模(平均定員11人)で収入が多いのは、専門的支援実施加算等の加算を積極的に取得していることが主な理由と考えられる
- 人件費管理の柔軟性:営利法人は人件費の管理(非常勤・パートの活用・シフト管理)を状況に応じて行いやすく、稼働率と職員配置のバランスを取りやすい
- 収益性の高い事業所の集中:191件という最多の事業所数の中に、高収益の事業所が含まれており、平均を引き上げている可能性がある
自法人の収支差率と全国水準の比較
自事業所が社会法人の場合、全国平均(▲2.0%)と比べて自法人の放デイ部門の収支差率がどの位置にあるかを確認することが重要です。
社会法人の放デイが赤字(▲2.0%)であっても、法人全体の他の事業(生活介護・GH等)が黒字で補填できている場合は、法人全体では問題ないケースもあります。ただし、放デイ単体での収支が慢性的に悪化している場合は、事業の見直し(定員変更・加算の追加取得・費用の見直し)が必要です。
令和6年度報酬改定が法人形態別の収支差率に与えた影響
令和6年4月の障害福祉サービス等報酬改定では、放課後等デイサービスの加算体系が整理されました。特に専門的支援実施加算の体系が見直され、専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員等)を配置して個別支援を行う場合の加算が整理されました。
この改定の恩恵を受けやすかったのは、専門職を配置できる規模と資金力を持つ営利法人が多かったと考えられます。一方、社会法人は改定前から人件費水準が高い構造のため、改定の効果が相殺されやすい面があります。
ただし、令和6年改定の詳細な法人形態別の影響については調査データが公表されていないため、あくまで参考的な見立てです。
社会法人の放デイが黒字転換するための確認事項
社会法人の放デイが全国平均▲2.0%という赤字状況から改善するために確認すべき事項を整理します。
- 法人内の管理費按分を見直す:法人全体の管理費(本部費・共通費)を放デイに多く配賦している場合、実態の収支より費用が多く見える状態になる。配賦基準を見直すことで、放デイ単体の収支を適正に把握できる
- 専門的支援実施加算の取得を検討する:既存の職員(保育士・特別支援教育の資格保有者等)が加算要件を満たす可能性がある。要件を確認して取得可能な加算を洗い出す
- 定員と職員配置のバランスを確認する:定員11人に対して常勤職員が多すぎる場合、稼働率が高くても人件費率が高止まりする。非常勤職員との配置比率を見直す余地があるか確認する
法人形態に関わらず確認すべき共通指標
法人形態が何であれ、収支差率の改善に向けて確認すべき指標は共通しています。
- 稼働率:WAM参考値87.8%と比べて低い場合は、利用者確保が最優先
- 人件費率:全国平均64.4%と自事業所を比較し、大きく乖離している場合は職員配置の最適化を検討
- 加算の取得状況:専門的支援実施加算・個別サポート加算等の加算収入が収支差率に直結する
法人形態ごとの全国水準(社会法人▲2.0%・営利12.6%)を参考値として把握したうえで、自事業所の改善ポイントを特定することが有効です。
自事業所の収支差率が自法人形態の全国水準と大きく乖離している場合(社会法人なのに▲10%・営利なのに収支差率1%等)は、収支の悪化がその法人形態の傾向ではなく事業所固有の課題によるものと見なし、稼働率・加算・人件費率の3点から原因を特定します。稼働率と人件費率が全国水準に近いにもかかわらず収支差率が低い場合は、加算の取得状況を詳しく確認することが次のステップです。
放デイの法人形態別収支差率の差(営利12.6%と社会法人▲2.0%で14.6ポイント)は、業界内で最も格差の大きい数値の一つです。同じ「放課後等デイサービス」でも法人形態・規模・加算取得状況によって収支が大きく変わるため、全国水準との比較を通じた現状の把握が経営判断の前提になります。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。法人形態別の詳細は同調査の事業所別集計にもとづきます。

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