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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)では、放課後等デイサービスの収支差率について平均値と中央値の両方が公表されています。この2つの数字の差は、放デイの経営の実態を理解するうえで重要です。
平均9.1%・中央値2.7%——6.4ポイントの差が意味すること
令和6年度の放課後等デイサービスの収支差率(調査事業所304件)は次のとおりです。
| 指標 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 収支差率(平均) | 7.6% | 9.1% |
| 収支差率(中央値) | 1.2% | 2.7% |
中央値2.7%は、304事業所を収支差率の低い順に並べたとき、真ん中にいる事業所(152位前後)の値です。半数以上(約150事業所)の収支差率が2.7%以下という意味です。
平均9.1%は、高収支差率の事業所(20〜30%台の事業所が一定数存在する)が平均を引き上げているため、実態の「普通の放デイ」より高い数字になっています。
他のサービスと比べた放デイの位置づけ
| サービス | 平均(R6) | 中央値(R6) |
|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 9.1% | 2.7% |
| 児童発達支援 | 7.8% | 9.7% |
| 生活介護 | 6.3% | 7.9% |
| GH包括型 | 6.9% | 5.3% |
| GH日中型 | 5.1% | 5.9% |
| 就労移行支援 | 6.0% | 4.5% |
| 短期入所 | 2.3% | 2.8% |
放デイは7サービスの中で平均が最も高い(9.1%)一方、中央値は2.7%と低い水準です。これは「収益性が高い事業所と低い事業所の格差が大きい」という放デイの特性を表しています。
参考として、中央値が平均を上回っているサービスは児童発達支援(平均7.8%・中央値9.7%)で、こちらは多くの事業所が比較的均一に高い収支差率を実現していることを示しています。放デイと児童発達支援では収支の分布の形が異なります。
対照的に、児童発達支援は平均7.8%・中央値9.7%で平均より中央値が高く、比較的多くの事業所が高い収支差率を実現していることが分かります。
放デイで収支差率の格差が大きい理由
放課後等デイサービスで収支差率の格差が大きい理由として、次の要因が考えられます。
- 専門的支援実施加算の取得格差:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員等を配置して加算を取得している事業所と、取得していない事業所では1人1日あたりの収入に大きな差が生じる
- 定員規模の差:放デイの調査事業所の平均定員は11人(令和6年度)。定員が大きいほど固定費(賃料・人件費の固定部分)が分散され、収支差率が改善しやすい
- 稼働率の差:WAM参考値の87.8%を大幅に下回る事業所では、固定費の回収ができず収支が悪化する
自事業所の収支差率の位置づけを確認する
自事業所の収支差率が中央値(2.7%)と平均(9.1%)のどちらに近いかによって、経営状況の位置づけが変わります。
- 9%以上:平均を上回る水準。稼働率・加算の取得が効果的に機能している状態。手元資金の確保や職員処遇の改善に資金を回す余裕がある
- 2.7〜9%:平均以下・中央値以上の水準。全体の上半分だが、稼働率の変動や加算要件の変更に対する余裕は限られる
- 2.7%未満:下位50%の水準。人件費率・稼働率・加算の取得状況を順番に確認し、改善の余地がある項目を特定する必要がある
- 0%以下(赤字):令和6年度の調査では放デイの赤字割合は27.3%。改善策が見つからない場合は事業の継続可否を含めた検討が必要
令和5年度から令和6年度の変化
令和6年度の放デイの収支差率は、令和5年度からどう変化したかを確認します。
| 指標 | 令和5年度 | 令和6年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 収支差率(平均) | 7.6% | 9.1% | +1.5pt |
| 収支差率(中央値) | 1.2% | 2.7% | +1.5pt |
| 赤字割合 | 31.3% | 27.3% | ▲4.0pt |
令和6年度は令和5年度と比べて平均・中央値ともに1.5ポイント改善し、赤字割合も4ポイント低下しています。この改善の背景の一つとして、令和6年4月の障害福祉サービス等報酬改定があります。令和6年度改定では放デイの基本報酬や加算体系が見直され、特に専門的支援に係る加算が整理・充実されました。改定の恩恵を受けた事業所では収支が改善した可能性があります。
収支差率2.7%(中央値)の事業所が収支を改善するには
中央値付近の事業所(収支差率2〜4%程度)が収支を改善するための具体的な方向性として、次の2つが代表的です。
加算収入の増加:令和6年度改定後の専門的支援実施加算は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員を配置して個別に支援を行うことで取得できます。加算1単位が100円相当のため、1人1日あたり数百円の収入増加になります。取得要件を確認し、既存の職員で要件を満たせるか確認することが先決です。
稼働率の改善:稼働率87.8%(WAM参考値)を下回っている場合、空き定員分の収入機会を損失しています。学校との連携(放課後の送迎スケジュールの最適化)・相談支援事業所への定期的な空き情報の提供が稼働率改善の基本です。
放デイの収支差率が低い場合に確認すべき順番
- 稼働率の確認:WAM参考値87.8%と比べて低い場合は、利用者確保の取り組みを先に強化する
- 加算の取得状況:専門的支援実施加算・個別サポート加算・関係機関連携加算等、未取得の加算がないか確認する
- 人件費率の確認:全国平均64.4%を大きく上回っている場合は、職員配置の最適化(シフト管理・勤務形態の見直し)を検討する
放デイの収支差率は平均9.1%・中央値2.7%という分布の偏りが大きいサービスです。自事業所が現在の位置からどの方向に改善できるかを、実際の数字で確認することが経営改善の出発点です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標 2023年度決算分。

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