法定研修キットで記録を効率化する
生活介護の義務研修をまとめた生活介護 法定研修キットでは、研修資料・議事録・年間計画表をセットで提供しています。研修記録の整備にお役立てください。
生活介護では、医療的ケアが必要な利用者を受け入れるケースが増えています。喀痰吸引や経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)は、適切な研修を受けた職員が、登録喀痰吸引等事業者として都道府県に登録した事業所でのみ実施できます(社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2・第48条の5)。この記事では、医療的ケアに関わる研修の種類と事業所の登録手続きを整理します。
生活介護で医療的ケアが必要になる場面
医療的ケアが必要な利用者とは、日常的に医療行為が必要な状態にある人を指します。生活介護では、以下のようなケアが必要な利用者を受け入れることがあります。
- 気管切開を伴い、気管カニューレ内部の喀痰吸引が必要な方
- 自力で痰を出せず、口腔内・鼻腔内の吸引が必要な方
- 経口摂取が困難で、胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養が必要な方
これらの行為は医行為であり、本来は医師・看護師のみが実施できます。ただし、一定の研修を修了した介護職員等が、一定の条件下で実施できるよう、社会福祉士及び介護福祉士法が改正されました(2012年4月施行)。
喀痰吸引等ができる職員の条件(法第48条の2)
介護職員等が喀痰吸引等を実施するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 登録研修機関での「喀痰吸引等研修」を修了していること
- 都道府県から「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けていること
- 事業所が「登録喀痰吸引等事業者」として都道府県に登録していること
- 医師の指示書があること
この4点がそろっていない状態での実施は、法律違反となります。
研修の種類と対象行為の違い
喀痰吸引等研修には、対象となる行為の範囲によって3種類あります。
| 研修の種類 | 対象行為 | 対象者 |
|---|---|---|
| 第1号研修 | 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内)+経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)の全5行為 | 不特定多数の利用者に実施できる |
| 第2号研修 | 第1号研修と同じ全5行為 | 不特定多数の利用者に実施できる(研修の構成が一部異なる) |
| 第3号研修 | 特定の利用者に対して、必要な行為のみ | 特定の利用者のみ(在宅のALS患者など・特定の医療的ケア児者) |
生活介護では複数の利用者に医療的ケアが必要な場合が多いため、第1号または第2号研修を修了した職員を配置することが現実的です。
研修の内容
研修は「基本研修」と「実地研修」で構成されます。
- 基本研修:喀痰吸引等の基礎知識・技術を学ぶ(講義・演習)。第1号・第2号で約50時間
- 実地研修:医師・看護師の指導のもとで実際の利用者に実施する研修。一定の回数(行為ごとに10〜20回程度)が必要
実地研修は、医療機関または事業所内で実施します。事業所内で実施する場合は、指導できる看護師が必要です。
事業所の「登録喀痰吸引等事業者」登録手続き
職員が研修を修了しているだけでは実施できません。事業所が都道府県に登録することが必要です(社会福祉士及び介護福祉士法第48条の5)。
登録に必要な要件
- 医療関係者との連携体制(医師・訪問看護師等との協力体制)があること
- 安全確保のための措置(緊急時対応の手順書・設備の整備)があること
- 認定特定行為業務従事者の名簿を備えていること
- 業務方法書(実施手順書)を作成していること
登録の流れ
- 医師・訪問看護師との連携体制を整える
- 業務方法書(手順書)を作成する
- 都道府県の担当窓口に登録申請書を提出する
- 登録証の交付を受ける
登録窓口・書式は都道府県によって異なります。指定申請と同時または開設前に確認しておきます。
医師の指示書と記録の整備
喀痰吸引等を実施する際は、主治医から指示書を受け取る必要があります。指示書には実施する行為・頻度・注意事項が記載されます。
整備が必要な書類
| 書類 | 目的 | 保管期間の目安 |
|---|---|---|
| 医師の指示書 | 実施する医療的ケアの内容を明示 | 有効期間内は保管・更新のたびに最新版を保管 |
| 業務記録(実施記録) | 実施した行為・時刻・実施者・利用者の状態を記録 | 5年以上 |
| ヒヤリハット報告書 | 実施中に発生した異常・気づきを記録 | 5年以上 |
| 認定証の写し | 実施できる職員の認定状況を確認 | 在職中は保管 |
未登録・未修了のまま実施した場合のリスク
登録のない事業所で、または研修未修了の職員が喀痰吸引等を実施した場合、社会福祉士及び介護福祉士法違反となります。指定の取消しや業務停止処分の対象になる可能性があります。
また、事故が発生した場合、保険対応・損害賠償においても大きな問題が生じます。医療的ケアを提供する前に、登録と研修修了を必ず確認します。
研修費用の目安と登録先
研修費用の目安
- 基本研修(第1号・第2号):30,000〜80,000円程度(登録研修機関によって異なる)
- 実地研修:無料〜数万円(事業所内実施か外部機関利用かによる)
都道府県が研修費用の補助制度を設けている場合があります。各都道府県の障害福祉主管課または社会福祉協議会に確認します。
登録研修機関の探し方
- 都道府県の障害福祉主管課のウェブサイトで「登録研修機関一覧」を検索
- 社会福祉法人・医療法人が運営する登録研修機関に問い合わせる
まとめ
生活介護での医療的ケア(喀痰吸引等)は、研修修了した職員が、登録事業所において、医師の指示書のもとで実施するものです。職員の研修(社会福祉士及び介護福祉士法第48条の2)と事業所の登録(同法第48条の5)はどちらも必須であり、片方だけでは実施できません。医療的ケアの需要は今後も高まる見通しです。必要な体制を早めに整えることが、利用者の受け入れ幅を広げることにつながります。
※本記事は一般的な情報を提供するものであり、具体的な対応については都道府県の担当窓口や行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。法令・通知は改正されることがあります。最新情報は厚生労働省のウェブサイト等でご確認ください。
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