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障害福祉サービスは、収入の多くが人件費に使われる労働集約型のサービスです。厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)の7サービスの人件費率(給与費率)を比較しました。
人件費率は「給与費 ÷ 収入 × 100」で計算される指標で、収入のうち何割が人件費に使われているかを示します。
令和6年度決算のサービス別人件費率
| サービス | 人件費率(R6) | 収支差率・中央値(R6) | 赤字割合 |
|---|---|---|---|
| 短期入所 | 69.2% | 2.8% | 41.8% |
| 生活介護 | 69.1% | 7.9% | 25.3% |
| 児童発達支援 | 68.0% | 9.7% | 28.1% |
| 共同生活援助(日中型) | 66.1% | 5.9% | 34.7% |
| 就労移行支援 | 64.2% | 4.5% | 39.9% |
| 放課後等デイサービス | 64.4% | 2.7% | 36.2% |
| 共同生活援助(包括型) | 61.7% | 5.3% | 32.6% |
出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)
人件費率が高いサービスと低いサービスで何が違うか
人件費率が最も高い短期入所(69.2%)と最も低いグループホーム包括型(61.7%)には7.5ポイントの差があります。この差は、職員配置の密度と収入構造の違いから来ています。
短期入所が高い理由:夜間の利用者対応のために夜勤職員の配置が必要です。夜勤手当を含む人件費が発生する一方、収入は利用者ごとの日額報酬で、空き日は収入ゼロです。人件費は固定的に発生するため、稼働率が下がると人件費率が上がります。
GH包括型が低い理由:グループホームは居住系のサービスで、利用者が施設に住んでいるため、稼働率が高く安定しやすいサービスです。稼働率が高い(入居率85.7%・WAM参考値)状態が続けば収入が安定し、人件費率が低くなります。また、世話人・夜間支援員の月給(常勤23〜25万円程度)が他のサービスの職種と比べて相対的に低いことも影響しています。
人件費率が収支差率と連動するとは限らない
表を見ると、人件費率が最も高い短期入所(69.2%)は収支差率の中央値が2.8%と低く、赤字割合も41.8%と最高です。一方、人件費率が2番目に高い生活介護(69.1%)は収支差率の中央値が7.9%と高く、赤字割合25.3%は最も低い水準です。
つまり「人件費率が高い=収支が悪い」とは一概に言えません。人件費率が高くても、収入をそれ以上に確保できていれば収支差率は高くなります。生活介護では加算の種類が多く、適切に取得することで収入を底上げできる構造があります。
人件費率が全国平均より高い場合に確認すること
自事業所の人件費率が同サービスの全国平均より高い場合、原因は大きく2つに分けられます。
- 給与水準が高い:職員の給与が全国平均より高い。経験・資格・地域差が影響する。これ自体は問題ではなく、それに見合う収入があるかどうかが重要
- 収入が少ない(稼働率が低い):給与総額は標準的でも、収入が少ないために分母が小さくなり、人件費率が高く見える。この場合は稼働率の改善が先決
どちらが原因かを切り分けるには、「職員1人あたり収入」を確認することが有効です。職員1人あたり収入が全国平均と同程度なら、稼働率は標準的であり、給与水準に問題がある可能性があります。職員1人あたり収入が低ければ、稼働率が低い(利用者が少ない)ことが主因です。
人件費率の分母は「収入」であることに注意
人件費率は収入を分母にするため、同じ給与総額でも収入が変わると数字が変動します。利用者が増えて収入が増えれば人件費率は自動的に下がります。逆に、加算の取りこぼしがあると収入が実力より少なくなり、人件費率が高く見えることがあります。
加算の取得漏れがないかを定期的に確認することで、収入を改善し、人件費率を下げることができます。
人件費率が全国平均と同じでも黒字になるとは限らない
人件費率が全国平均と同程度であっても、収支差率が低い場合があります。これは人件費以外の支出(減価償却費・借入利息・委託費等)が多い場合です。
特に開業から数年は、設備投資の減価償却費が大きく発生します。減価償却費は現金の支出ではないため、手元資金には影響しないように見えますが、収支差率を下げます。人件費率を見るだけでなく、収支差率全体と手元資金の水準を合わせて確認することが重要です。
サービスごとの収支差率と人件費率の関係
以下は令和6年度の人件費率と収支差率(中央値)の組み合わせをまとめたものです。
| サービス | 人件費率 | 収支差率(中央値) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 生活介護 | 69.1% | 7.9% | 人件費高・収支差率高→加算収入で補完 |
| 児童発達支援 | 68.0% | 9.7% | 人件費高・収支差率最高→規模小・効率的 |
| 短期入所 | 69.2% | 2.8% | 人件費最高・収支差率低→夜勤コスト重荷 |
| GH包括型 | 61.7% | 5.3% | 人件費低・居住系で稼働率安定 |
人件費率が同程度でも収支差率が大きく違うのは、加算の取得状況・稼働率・規模・運営形態など複数の要因が絡むためです。自事業所の診断では、同じサービスの全国値と比べることが基本です。
令和6年度の人件費率は令和5年度からどう変化したか
令和5年度から令和6年度にかけての人件費率の変化は、調査に掲載されていないため直接比較はできません。ただし、令和6年4月の介護職員処遇改善加算の制度改定(処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の3加算一本化)により、加算の取得方法が変わりました。この改定が人件費率に影響した可能性がありますが、具体的な変化の方向・大きさは調査データから確認できません。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。数字は当方が原典データを読み取り・整理したもので、厚生労働省が作成したものではありません。

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