就労定着支援は、一般就労後最長3年間利用できます。3年間のサービス期間が終了した後、利用者・事業所ともにどう対応するかは、就労定着支援の収益モデルと利用者の就労継続の両方に関わる重要なテーマです。3年満了時の手続き・終了後の支援体制の選択肢・サービス終了を見越した運営の準備を整理します。
就労定着支援の利用期間は最長3年。延長はできない
就労定着支援は、一般就労後から最長3年間利用できます(省令第171号)。この3年間の期間は、個人の状況にかかわらず延長することができません。
- 3年間の起算点:就労定着支援の利用開始日(一般就労後に就労定着支援の利用契約を結んだ日)から3年目の同じ日が、サービス終了日です
- 3年未満での終了もある:利用者が離職・転職(就労定着支援の対象外の就労になる等)した場合や、本人の希望によって3年未満でサービスを終了することもあります
- 転職して再就職した場合:就労定着支援の利用中に転職した場合、新しい就労先での就労定着支援の継続は可能です。ただし、就労定着支援の利用期間の通算は最長3年であり、転職しても3年の期間がリセットされるわけではありません(解釈通知・指定権者に確認してください)
就労定着支援の3年満了後:主な選択肢
就労定着支援の3年間が終了した後の支援体制の選択肢は、利用者の状況によって異なります。
| 選択肢 | 内容 | 向いている方 |
|---|---|---|
| 障害者就業・生活支援センターへの移行 | 都道府県が指定する「なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)」が就労・生活面の相談を継続的に受け付けます。費用は無料です | 就労継続はできているが、定期的な相談窓口が引き続き必要な方 |
| 企業内のサポート体制での自立 | 産業医・企業の障害者担当・EAP(従業員支援プログラム)等、企業内・近接する支援を活用して自立した就労を維持します | 3年間の支援を経て職場への適応が進み、外部支援の頻度が下がっている方 |
| 医療機関・地域支援の活用 | 主治医・精神保健福祉士・地域生活支援センター等の医療・地域福祉の資源を活用します | 体調管理のサポートが主な課題となっている方 |
| 相談支援専門員(特定相談支援)によるフォロー | 就労定着支援終了後も、サービス等利用計画を担当している相談支援専門員が就労状況のモニタリングを継続する場合があります | 複数の障害福祉サービスを並行利用している方 |
就労定着支援終了後に「なかぽつ」に移行するケースが最も一般的です。なかぽつは就労定着支援とは異なり、就労定着率による報酬区分がなく、継続的に関わる窓口として機能します。就労定着支援事業所がなかぽつと普段から関係を構築しておくと、終了時の引き継ぎがスムーズになります。
3年満了前にやっておくべき準備
就労定着支援の3年間が終了する前に、利用者とともに以下の準備を進めることが重要です。
- 終了後の支援体制の確認(3〜6か月前から):どの支援機関(なかぽつ・医療機関等)につなぐかを利用者・家族と話し合い、希望に応じた支援体制を検討します
- 企業担当者への引き継ぎ(終了3か月前):就労定着支援員が担当していた企業との連絡調整を、終了後は誰が担うかを企業担当者と確認します。企業内で対応できる場合は体制を整えてもらい、外部機関への引き継ぎが必要な場合は事前に打ち合わせます
- なかぽつへの引き継ぎ(終了前から並行支援も可):なかぽつへの移行が決まった場合は、可能な限り終了前になかぽつの担当者と利用者の三者面談を実施し、情報を引き継ぎます
- 利用者への終了後の連絡先の周知:就労定着支援が終了した後に困ったときに連絡できる機関(なかぽつ・相談支援事業所等)を利用者に文書で伝えておきます
就労定着率への影響:3年満了時の集計タイミング
就労定着支援の報酬区分(区分1〜7)は、前年度の就労定着率に基づいて毎年4月に更新されます。3年満了の利用者が増える時期は、就労定着率の集計にも影響します。
- 3年間雇用を継続した利用者:就労定着率の計算上「定着」として算入されます。長期定着者が増えるほど就労定着率が高くなり、翌年度の報酬区分が改善します
- 3年満了前に離職した利用者:離職時点で「非定着」として算入されます。離職が増えると就労定着率が低下し、翌年度の報酬区分が下がる可能性があります
- 算定対象者の確認:就労定着率の算定対象となる利用者の範囲・計算方法の詳細は解釈通知に定められています。開業初年度〜2年目は就労定着率の実績が積み上がる途中であるため、指定権者と算定方法を事前に確認することをお勧めします
終了後も「元利用者」との関係継続がなぜ重要か
就労定着支援が終了した利用者が引き続き安定した就労を続けている場合、長期就労実績として就労定着支援事業所のノウハウの証明になります。また、就労定着支援の利用終了者を「ピアサポーター」として採用するルートも実務上あります(詳細は「就労定着支援のピアサポート実施加算」の記事を参照)。
終了後も良好な関係を保つことで、元利用者が他の障害者に就労定着支援を紹介するルートにもなります。紹介・口コミは集客コストの低い有力な利用者獲得チャネルです。
就労定着支援事業所の収益:3年満了が重なる時期の対策
開業から3年後は、初期に利用を開始した利用者が一斉に満了を迎えます。この時期に新規利用者の獲得が追いついていないと、契約者数が急減して収益が落ちるリスクがあります。
- 新規利用者の安定獲得が必要:開業から1〜2年目から就労移行支援事業所・A型・B型との連携を積み上げ、新規利用者の紹介ルートを確立しておくことが重要です
- 利用者数の分散:開業時に大量の利用者を同時に獲得した場合、3年後に一斉終了が重なる「崖」が生じます。開業後も安定的に少しずつ新規利用者を追加していく体制が理想的です
- 就労定着率の維持:3年満了前に離職者が増えないよう、満了が近づいた利用者への支援を丁寧に継続することが、就労定着率(翌年度の報酬区分)の維持につながります
| タイミング | 主な行動 |
|---|---|
| 3年前(開業時) | 新規利用者獲得ルートを複数整備(就労移行支援・A型・B型との連携) |
| 1〜2年目 | 連携先を広げ、定期的な新規利用者の追加を継続する |
| 3年目(満了期が近づく) | 満了利用者の引き継ぎ準備・新規利用者の補充状況を確認 |
| 3年満了後 | 引き継ぎ完了・就労定着率の集計・翌年度区分の確認 |
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参考・出典
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)
- 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知)
この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。報酬は改定されることがありますので、最新の告示を確認してください。
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