放課後等デイサービスの安全計画、何を書くか。令和6年4月から義務、国の記載例を放デイ向けに読み替える(研修・訓練・保護者への周知も/児童発達支援も)

放課後等デイサービスの安全計画、何を書くか。令和6年4月から義務、国の記載例を放デイ向けに読み替える(研修・訓練・保護者への周知も/児童発達支援も) 放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスの安全計画は、令和6年4月1日から義務です。事業所ごとに、設備の安全点検、子どもや職員への安全指導、職員の研修と訓練を、年度が始まる前に1年分の予定として決めます。計画は職員と保護者に知らせ、研修と訓練を定期的に行い、定期的に見直します。国は記載例を2つ示していますが、どちらも保育所向けの言葉(園庭・午睡など)が残っているため、放課後等デイサービスに合わせて読み替える必要があります。児童発達支援も同じです。

この記事では、基準の条文、こども家庭庁の事務連絡とその別添の記載例、令和6年の安全管理のガイドラインの原文をもとに、安全計画に書くことと、ひな形の読み替え方を整理します。

安全計画は、いつから義務になりましたか

令和5年4月1日から努力義務として始まり、令和6年4月1日から義務になりました。こども家庭庁の事務連絡は、次のように書いています。

「令和5年4月1日から1年間は努力義務とし、令和6年4月1日から義務化」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.1)

基準の条文(第40条の2)は、4つのことを求めています。条文は児童発達支援について書かれたもので、放課後等デイサービスには第71条で準用されます。

条文が求めること(原文)
策定と実行(第1項) 安全点検・安全指導・研修と訓練などの計画を事業所ごとに作り、「当該安全計画に従い必要な措置を講じなければならない。」
職員への周知と研修・訓練 「指定児童発達支援事業者は、従業者に対し、安全計画について周知するとともに、前項の研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。」
保護者への周知 「通所給付決定保護者に対し、安全計画に基づく取組の内容等について周知しなければならない。」
見直し 「指定児童発達支援事業者は、定期的に安全計画の見直しを行い、必要に応じて安全計画の変更を行うものとする。」

出典:指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)(第40条の2第1項〜第4項)

安全計画には、何を書くのですか

安全計画は、1年分の安全の取組の予定表です。事務連絡は、年度が始まる前に年間スケジュールとして決めるよう書いています。

「事業所等は、安全確保に関する取組を計画的に実施するため、各年度において、当該年度が始まる前に、事業所の設備等の安全点検や、事業所外での活動等を含む事業所等での活動、取組等における従業者や児童に対する安全確保のための指導、従業者への各種訓練や研修等の児童の安全確保に関する取組についての年間スケジュール(安全計画)を定めること。」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.3)

事務連絡が例として挙げる取組を、中身ごとにまとめると、次の4つになります。

まとまり 事務連絡が挙げる取組の例(原文)
1 安全点検 「点検先は事業所内のみならず、散歩コースや公園など定期的に利用する場所も含むこと」
1 マニュアル 「これらをマニュアルにより可視化して常勤職員だけでなく非常勤職員、補助者も含め、事業所等の全従業者に共有すること」
2 児童・保護者への安全指導 「保護者に対し、安全計画及び事業所等が行う安全に関する取組の内容を説明・共有すること」
3 研修・訓練 「救急対応(心肺蘇生法、気道内異物除去、AED・エピペン®の使用等)の実技講習を定期的に受け、事業所内でも訓練を行うこと」
3 研修・訓練 「不審者の侵入を想定した実践的な訓練や119番の通報訓練を行うこと」
4 再発防止 「ヒヤリ・ハット事例の収集及び要因の分析を行い、必要な対策を講じること」

出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.3〜5

事務連絡は、これらが例示であることも明記しています。「なお、当該内容は例示であって、地域や各事業所等の特性に応じ、独自に取り組む安全対策等を行うことを否定するものではない点に留意されたい。」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.3)

ひな形(記載例)は、どこにありますか

国が示している記載例は、2つあります。

どちらを使う場合も、注意があります。2つとも、保育所の安全計画の形をもとにしているとみられ、放課後等デイサービスに合わない言葉が残っています(当方の見立てです)。たとえば、事務連絡の記載例には、年齢の区分として「乳児・1歳以上3歳未満児」の欄があり、ガイドラインの作成例には、「園舎破損個所点検」、「園庭鍵の点検」、「毛虫駆除」といった安全点検の記入例や、「午睡」のマニュアルの欄があります。

放課後等デイサービスで使うときの読み替えの例を、表にしました。左の列は記載例の言葉、右の列は当方の読み替えの案です。

記載例にある言葉・欄 放課後等デイサービスでの読み替えの例(当方の案)
園舎・園庭 事業所の室内・活動スペース、送迎の乗り降りをする場所
散歩コース・園外活動 公園や外出先への移動、学校からの迎えの経路
午睡 (多くの事業所では不要)休息の時間がある場合は、その見守り
乳児・1歳以上3歳未満児/3歳以上児 小学生・中高生など、利用する子どもの年代や障害特性ごとの区分
プール・水遊び 水遊びや外出先の水辺の活動がある場合
バス送迎(実施している場合のみ) 送迎車の運行(乗り降りの所在確認と、置き去りを防ぐ装置の使用)

記載例をそのまま埋めるより、自分の事業所の1日の流れ(学校への迎え、到着、おやつ、活動、外出、送り)を書き出し、その中で事故が起きやすい場面から予定を立てるほうが、使える計画になります。ガイドラインも、事業所ごとに合った計画を作るよう書いています。「それぞれの事業所等に合った安全計画を各事業所等で作成する。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

安全点検は、年に何回ですか

基準に回数の定めはありませんが、こども家庭庁の令和6年の通知は、少なくとも毎学期1回(年3回)以上の点検が重要だとしています。

「事業所等の設備等の安全点検については、安全計画やマニュアルの策定時のみならず、少なくとも毎学期1回(年3回)以上の頻度で定期的に点検を行うことが重要である。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

「安全点検の際には、事前に、活動や事業所等の状況に応じたチェックリストを活用し、一人ではなく複数名で点検することが望ましい。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

ガイドラインは、見えにくい場所や、子どもの目線での確認も挙げています。「見えるところだけではなく見えない死角(例:棚の中、冷蔵庫、洗濯機等)の確認や、こどもの目線やこどもの特性に合わせた確認を行う。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

研修と訓練は、何をすればよいですか

基準は、安全計画の研修と訓練を「定期的に」行うことを求めていますが、回数の定めはありません。中身について、こども家庭庁の令和6年の通知は、実践的な研修と訓練を求めています。

「安全計画やマニュアルを体得できるよう、例えば、読み合わせをする、指差し確認をする、ロールプレイング等の実践的な研修や訓練を行うなどといった取組が重要である。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

「地方自治体が行う研修や訓練(オンラインで共有されている事故予防に資する研修動画も含む。)については、常勤・非常勤にかかわらず、事業所等の全職員が受講することが重要である。」(出典:こども家庭庁「障害児支援における安全管理について」(令和6年7月4日 こ支障第169号・別紙1「障害児支援の安全管理に関するガイドライン」を含む))

事務連絡の「取組と実施時期例」は、年度始めに各種訓練の年間スケジュールを決めることと、職員を採用したときにも研修の機会を設けることを挙げています。

年間の訓練の組み合わせの例です(当方の案)。事務連絡は、安全計画の訓練の例として避難訓練も挙げていますが、非常災害の避難訓練は、別の条文(第40条)でも義務になっています。避難訓練の回数は、放課後等デイサービスの避難訓練は、年に何回かで整理しています。

時期の例 訓練・研修 ねらい
4月 安全計画とマニュアルの読み合わせ(全職員) 新年度の職員・利用児童に合わせて役割を確認
5〜6月 救急対応(心肺蘇生・AED・エピペン等) 実技で手順を確かめる
夏休み前 外出・水辺の活動の注意点、送迎の所在確認 長期休みの活動が増える前に
秋 不審者対応・119番通報 役割分担と通報の言い方を練習
冬〜年度末 ヒヤリ・ハットの振り返りと計画の見直し 翌年度の安全計画に反映

保護者には、何を知らせればよいですか

安全計画に基づく取組の内容を、保護者に知らせることが義務です。事務連絡は、通所を始めるときなどに説明し、公表しておくことが望ましいとしています。

「事業所での安全計画に基づく取組の内容等を通所開始時等の機会において説明を行うなどにより周知しなければならない。」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.2)

「安全計画及び事業所等が行う安全に関する取組の内容について、公表しておくことが望ましいこと」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.4)

契約時の重要事項の説明に安全の取組を1枚加え、年度の初めに最新の内容を配ると、周知したことを示しやすくなります(当方の案です)。

送迎の所在確認も、安全計画に関係しますか

関係します。送迎での所在確認と、送迎車の見落とし防止装置は、安全計画とは別の条文(第40条の3)で義務になっています。事務連絡も、安全計画の留意事項の中で、あわせて触れています。解釈通知は、次のように書いています。

「障害児の乗降時の際に、点呼等の障害児の所在を確実に把握することができる方法により、障害児の所在を確認しなければならないこととしたものである。」(出典:こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和6年改正の新旧対照表))

「通所用の自動車を運行する場合は、当該自動車にブザーその他の車内の障害児の見落としを防止する装置を装備し、当該装置を用いて、降車時の1の所在確認を行わなければならないこととしたものである。」(出典:こども家庭庁「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和6年改正の新旧対照表))

装置の義務は、すべての車ではありません。沖縄県の組合の資料は、対象の車を次のように書いています。「障がい児の送迎を目的とした自動車(運転席を含め、3列シート以上の座席を有する自動車)を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の障がい児の見落としを防止する装置を備え、これを用いて所在の確認を行わなければならないが設置をしていない。」(出典:中部広域市町村圏事務組合(沖縄県)「令和7年度 集団指導(障害児通所支援事業)運営指導での主な指摘事項と周知事項について」 p.17) 自分の車が対象かは、指定権者の案内で確かめてください。安全計画の研修や訓練に、送迎の乗り降りの確認を入れておくと、2つの義務をまとめて確かめられます。

運営指導では、どんなことが指摘されていますか

沖縄県の組合(中部広域市町村圏事務組合)の資料は、安全計画について、次のように指摘しています。

「安全計画の策定等について、以下の取り組みが必要だが、一部又は全部が行われていない。」(出典:中部広域市町村圏事務組合(沖縄県)「令和7年度 集団指導(障害児通所支援事業)運営指導での主な指摘事項と周知事項について」 p.15)

続けて、策定、職員への周知と研修・訓練、保護者への周知、見直しの4つを挙げています。計画を作っただけで、研修・訓練や保護者への周知、見直しが抜けていると、指摘の対象になります。加算の要件に安全計画が関わる場合もあります。熊本県の資料は、放課後等デイサービスの通所自立支援加算について、次のように書いています。「個別支援計画及び安全計画への位置付けが必要です。」(出典:熊本県「令和7年度 集団指導 基準・報酬・運営指導結果等(障害児通所支援・入所支援事業)」 p.89)

見直しは、いつ、どうすればよいですか

事務連絡は、安全計画をPDCAサイクルの観点から定期的に見直すよう書いています。「管理者等は、PDCAサイクルの観点から、定期的に安全計画の見直しを行うとともに、必要に応じて安全計画の変更を行うものとする。」(出典:こども家庭庁支援局障害児支援課 事務連絡「障害児通所支援事業所等における安全計画の策定に関する留意事項等について」(令和5年7月4日・大阪府のページで公開) p.2) 事故やヒヤリ・ハットがあったときは、そのつど点検やマニュアルに反映します。「発生した事案の分析と再発防止策を検討し、安全点検やマニュアルに反映するとともに、職員・保護者に周知する」(出典:こども家庭庁 事務連絡(令和5年7月4日)別添資料4「事業所等が行う児童の安全確保に関する取組と実施時期例」(大阪府のページで公開) p.1)

見直しの記録には、見直した日、変えた点と理由、職員と保護者に知らせた日を残しておくと、運営指導で説明しやすくなります(当方の案です)。研修や、ほかの訓練の回数は、放課後等デイサービスの研修は、何が義務で、年に何回かで一覧にしています。

安全計画の研修を、ほかの研修とまとめて回すには

当方で作った「法定研修・訓練キット」には、安全計画のテーマがあり、この記事で紹介した国の資料の原文をもとにした研修資料・確認テスト・受講記録と、訓練の記録を作れます(安全計画のテーマは有料版の機能です)。無料版では、虐待防止のテーマの研修資料・確認テスト・受講記録・委員会の議題案を、記録や印刷まで使えます。法定研修・訓練キットを開く

この記事の出典

作成:fufumumu_design(放課後等デイサービス・児童発達支援の開業向け収支シミュレーターと、法定研修・訓練キットの作成者)。2026年9月27日に、各出典の原文を確認して作成しました。事務連絡と別添資料は、こども家庭庁が発出したものを大阪府のページで公開している版で読んでいます。指定権者(都道府県・市)が独自の様式や運用を示している場合は、そちらを確認してください。引用した国・自治体の資料は、当方が引用・整理したもので、各機関が作成したものではありません。当方は、行政書士・弁護士などの専門家ではありません。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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