デリックの種類と特徴【スチフレッグ・ガイデリック・ジンポール・クライミング】

この記事ではデリックの種類(スチフレッグデリック・ガイデリック・ジンポール等)の一覧と試験で覚えるポイントを解説します。各デリックの構造・動作原理の詳細は▶ デリックの構造と動作原理【試験出題ポイント】をご覧ください。

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デリックには「スチフレッグデリック」「ガイデリック」「ジンポールデリック」「クライミングデリック」などの種類があります。クレーン・デリック運転士(限定なし)の試験では、各デリックの構造的特徴と用途の違いが問われます。クレーン限定の受験者には出題されません。

出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内・クレーン等安全規則

デリックとクレーンの違い

デリックはクレーンと異なり、マスト・ブーム・ガイロープで構成される荷役機械です。自ら移動する機能を持たず、設置場所に固定して使用します。

デリックは現代の建設現場ではタワークレーンや移動式クレーンに置き換えられつつあり、デリック専用の需要は限定的です。試験科目としては、クレーン・デリック運転士(限定なし)の「クレーン及びデリックに関する知識」に含まれます。

主なデリックの種類と特徴

スチフレッグデリック

最も一般的なデリックの形式です。

  • 垂直のマスト(柱)と、斜めに張り出したブームで構成
  • マストをガイロープでなくスチフレッグ(剛脚)で支えるのが名前の由来
  • 旋回範囲は270°程度(ガイロープが邪魔にならない範囲)
  • 建設現場・工場での荷役作業に使われる

ガイデリック

マストをガイロープ(ワイヤロープのつなぎ)で支えるデリックです。

  • マストの頭部から放射状に複数のガイロープを張ってマストを固定する
  • 360°全方位に旋回できるのが特徴
  • 港湾・船舶での荷役作業に使われることがある
  • 旋回の自由度が高い反面、ガイロープの管理が必要

ジンポールデリック

1本の垂直なポール(柱)とガイロープだけで構成する最も簡単な構造のデリックです。

  • ブームを持たず、ポール1本から荷をつり上げる
  • 構造が単純で組み立て・解体が容易
  • 狭い場所での小規模な荷役作業に使われる
  • 旋回範囲・作業半径は限定的

クライミングデリック

建設中の構造物(鉄塔・高層ビルなど)に取り付け、建設の進捗に合わせて自ら高さを上げていく(クライミングする)デリックです。

  • 鉄骨建方(鉄骨の組み立て)に使われる
  • 建設中の鉄骨フレームに固定し、クライミング機構で徐々に上昇する
  • 高層建築や鉄塔建設で使われてきた

デリックの種類比較

種類 特徴 旋回範囲 主な用途
スチフレッグデリック 剛脚でマストを支える 約270° 建設・工場の荷役
ガイデリック ガイロープでマストを支える 360° 港湾・大型荷役
ジンポールデリック ポール1本・ブームなし 限定的 狭所・小規模荷役
クライミングデリック 建設中の構造物に取り付け・自己上昇 — 鉄塔・高層ビル建設

試験での出題傾向

デリックの問題は、クレーン・デリック運転士(限定なし)の「クレーン及びデリックに関する知識」で出題されます。クレーン限定・床上運転式クレーン限定には出題されません。

出題パターンは次のとおりです。

  • 各デリックの特徴を説明する記述が正しいか誤りかを判断する
  • 360°旋回できるデリックはどれか(→ガイデリック)
  • クライミングデリックはどのような用途に使われるか

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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内およびクレーン等安全規則に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

デリックの傾斜角指示計(インクリノメーター)

デリックには「傾斜角指示計」(クレーン等安全規則第42条)の設置が義務付けられています。これはジブの傾斜角を示す計器で、ジブ角度によって定格荷重が変わるため、過負荷を防ぐために必要です。クレーンの「アネモメーター(風速計)」と混同しないようにしてください。

デリックの定期自主検査と届出

デリックもクレーンと同様に定期自主検査(月次・年次)が義務付けられています。また、つり上げ荷重2t以上のデリックは設置届・変更届・解体届が必要です(クレーン等安全規則第97条)。

手続き 対象 提出先
設置届 つり上げ荷重2t以上のデリック 労働基準監督署長
変更届 構造に変更を加えた場合 労働基準監督署長
解体届 解体する場合 労働基準監督署長

出典:クレーン等安全規則第97〜100条

試験での出題ポイント(整理)

デリックの問題は「限定なし」受験者のみに出題されます。クレーン限定・床上運転式クレーン限定の受験者は学習不要です。出題頻度は高くないものの、各デリックの特徴を一度整理しておくと確実に得点できます。

  • 「360°旋回できるデリックはどれか」→ガイデリック
  • 「剛脚でマストを支えるデリックはどれか」→スチフレッグデリック
  • 「鉄骨建方で建設中の構造物に固定して上昇するデリックはどれか」→クライミングデリック
  • 「ブームを持たず、ポール1本で構成されるデリックはどれか」→ジンポールデリック

クレーンとデリックの定義(法令上の違い)

クレーン等安全規則第1条は、クレーンとデリックをそれぞれ次のように定義しています。

  • クレーン:荷をつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置。原動機を備えたもの。
  • デリック:マスト・ブーム等を使い、ワイヤロープ(またはチェーン)で荷をつり上げる機械装置。原動機を備えたもの。

デリックはクレーンと異なり「水平運搬」を目的としていないこと、そしてマストとブームの組み合わせを基本構造とすることが特徴です。

デリックの試験での重要度

デリックの問題は、クレーン・デリック運転士(限定なし)受験者のみ対象です。クレーン限定・床上運転式クレーン限定の受験者には出題されません。限定なし受験者は「クレーン及びデリックに関する知識」の10問の中に1〜2問程度デリック関連の問題が含まれることが多いため、各デリックの代表的な特徴を1〜2点ずつ覚えておけば得点できます。

出題頻度の高い知識:ガイデリックは360°旋回可能、スチフレッグデリックは剛脚支持・約270°旋回、クライミングデリックは鉄骨建方・自己上昇型。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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