クレーンのガーダとは|天井クレーンの主構造部材と横行レールの関係

クレーンのガーダ(主桁)とは

ガーダ(Girder)はクレーンの骨格をなす主要な構造部材で、荷を吊り下げるトロリが走行する「橋」のような役割を持ちます。天井クレーン・橋形クレーン・移動式クレーン等、多くのクレーンで中核となる部材です。日本語では「主桁(しゅけた)」とも呼びます。 ガーダはクレーンの全自重と吊り荷重を受け持ち、たわみや振動に耐える剛性が求められます。試験では「ガーダとトロリの関係」「シングルガーダとダブルガーダの違い」「ガーダの材質・形状」が出題されます。

ガーダの種類と特徴

ガーダは形状・断面・本数によって分類されます。
種類構造の特徴主な用途・特性
シングルガーダ(1本主桁)ガーダが1本。構造が単純で軽量比較的小さいつり上げ荷重・スパン(15m程度まで)の天井クレーン。コスト低め
ダブルガーダ(2本主桁)ガーダが2本。両ガーダの間にトロリが走行大きいつり上げ荷重・スパンの天井クレーン。剛性が高く、たわみが小さい
箱形断面ガーダ鋼板を溶接して閉断面(箱形)に形成現代の主流。剛性が高く、腐食に強い
トラス形ガーダ三角形の骨組みを繋いだ構造軽量化できるが溶接点が多い。製造コスト高め
I形鋼ガーダI形断面の形鋼を使用小型クレーン・ホイストに多用。シンプルで安価

ガーダとトロリの関係

トロリ(荷を巻き上げるための台車)はガーダ上を走行します。トロリの走行方式はガーダの形状によって異なります。
  • 上部走行トロリ:ダブルガーダの上面レール上を走行。トロリの車輪がガーダ上面のレールに乗る形式
  • 下部走行トロリ(下フランジ走行):シングルガーダのI形鋼の下フランジ(下フランジ部分)を走行する形式。ホイスト形電気チェーンブロック等に多い
  • 箱形シングルガーダ(ロープホイスト形):箱形断面ガーダの下フランジにホイストが走行
ダブルガーダは上部走行が主流なため、シングルガーダに比べてフック下高さ(荷が吊れる高さの余裕)を大きく取れます。

ガーダに作用する力

クレーン運転中、ガーダには次の力が作用します。
  • 曲げ応力(たわみ):吊り荷重+トロリ重量がガーダの中央に近いほど、ガーダが下に弓なりに曲がろうとする力が大きくなる
  • せん断力:ガーダの支点付近に集中する力。ガーダの設計でウェブ(腹板)の厚さを決める要因
  • 動的荷重(衝撃荷重):クレーンの走行・横行・急停止・急起動による衝撃。ガーダは静的荷重だけでなく動的荷重にも対応する設計が必要
ガーダの設計基準はクレーン構造規格(厚生労働省告示)に規定されており、スパン・荷重・用途に応じた最小断面が定められています。

ガーダに関連する定期検査

ガーダの健全性はクレーンの安全に直結するため、定期自主検査での確認が重要です。
  • 目視点検:ガーダ全体の亀裂・変形・溶接部の割れの有無を確認
  • たわみ測定:スパンに対するガーダのたわみ量を測定。過大なたわみはガーダの疲労や損傷のサインとなる
  • 走行・横行レールの点検:ガーダ上面レールの摩耗・ゆるみ・変形の確認(トロリが走行するレール)
  • 塗装の確認:ガーダの腐食を防ぐ塗装の劣化を確認し、必要に応じて補修

ガーダの主要な材料

  • SS400・SM490等の構造用鋼材:一般構造用圧延鋼材(SS400)や溶接構造用圧延鋼材(SM490)が使われる。高強度・溶接性が求められる大型クレーンにはSM490以上を使用
  • 高張力鋼(HT鋼):引張強さが大きく軽量化できる。大型造船用クレーンや特殊クレーンで使用

スパンとたわみの関係(試験ポイント)

ガーダのスパンとたわみは重要な試験ポイントです。
  • スパンが長くなるほど、同じ荷重に対するたわみは大きくなる(たわみはスパンの3乗に比例)
  • 許容たわみ量は一般的に「スパン÷888(約1/900)」以下が設計目標値の一例
  • シングルガーダはダブルガーダより剛性が低く、同スパン・同荷重ではたわみが大きい

一問一答(試験対策)

  • Q:ガーダの日本語名称は? A:主桁(しゅけた)
  • Q:シングルガーダとダブルガーダの違いは? A:ガーダが1本か2本か。ダブルは剛性が高く大荷重・長スパンに向く
  • Q:ダブルガーダでトロリが走行するのはガーダのどこか? A:ガーダの上面レール(上部走行)
  • Q:シングルガーダでトロリが走行するのはガーダのどこか? A:ガーダの下フランジ(下部走行)
  • Q:スパンが長くなるとたわみはどうなるか? A:大きくなる(スパンの3乗に比例して増大)

まとめ

ガーダはクレーンの主桁で、シングルとダブルの違い(本数・走行方式・剛性)が試験で頻出です。ガーダに作用する力(曲げ・せん断・動的荷重)、スパンとたわみの関係、材料(SS400・SM490)も基本知識として押さえましょう。ダブルガーダ=上部走行・フック下高さ大、シングルガーダ=下フランジ走行というセットで覚えることがポイントです。 クレーン・デリック運転士の過去問演習にはAI問題演習アプリをご活用ください。

ガーダに関連する法定要件と試験ポイント追加

ガーダ(主桁)は、クレーンの安全に直結する重要構造部材として、設計基準・検査・保守に関する法令上の要件が定められています。

  • クレーン構造規格(厚生労働省告示):ガーダの材料・断面・溶接・たわみ等の最低基準を定めた告示。設計・製造段階での遵守が必要
  • たわみの許容値:スパンの1/888(約0.1%)程度が許容たわみの目安。たわみ過大はガーダの疲労や損傷のサイン
  • 定期自主検査での確認項目:ガーダ本体の亀裂・変形・塗装の剥がれ・溶接部の状態
  • 走行用レールとの関係:ガーダ上のトロリ走行レールは、摩耗・ゆるみ・変形を年次点検で確認。レールの高さズレはトロリの脱線事故につながる

ガーダの補強部材と関連用語

部材名位置・役割
ウェブ(腹板)箱形断面ガーダの側板。せん断力を受け持つ
フランジ(翼板)箱形断面の上下板。曲げ応力を受け持つ
スチフナー(補剛材)ウェブの座屈を防ぐ内部補強リブ
エンドビーム(端梁)ガーダ両端を繋ぎ、走行車輪を支える部材
サドル(くら)ガーダとランウェイガーダの接合部。走行車輪を含む

ガーダの設計上のたわみ計算は「スパン×荷重÷(48EI)」(単純支持梁の中央集中荷重)が基本式ですが、試験では計算式より「スパンが長いほどたわみが大きい」「シングルよりダブルが剛性が高い」という定性的な理解が問われます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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