デリック 3種類の構造と違い【スチフレッグ・ガイデリック・ジンポール】

この記事ではスチフレッグデリック・ガイデリック・ジンポールの構造・動作原理と試験での出題ポイントを詳しく解説します。デリックの種類一覧と覚え方は▶ デリックの種類一覧【試験対策】をご覧ください。

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デリックには「スチフレッグデリック」「ガイデリック」「ジンポールデリック」「クライミングデリック」の4種類があり、それぞれ構造・用途・特徴が異なります。スチフレッグはマスト・2本のスチフレッグ・ブームで構成、ガイデリックはワイヤロープのガイで支持する形式です。クレーン・デリック運転士の試験では各種の違いが頻出テーマです。

出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内

デリックとは

デリックは、マスト(支柱)とブーム(作業腕)を組み合わせた吊り上げ機械です。クレーンと異なり、原動機(電動機等)を備えず、ワイヤロープと滑車(シーブ)を介して動力を伝達する構造が基本です。

スチフレッグデリック

スチフレッグデリックは、マストの両側に「スチフレッグ」と呼ばれる2本の斜材を設けて支持する方式のデリックです。

スチフレッグデリックの構造

  • マスト:垂直に立てた支柱
  • スチフレッグ:マストを両側から支える2本の斜材(剛性支持)
  • ブーム:マスト下部を支点として斜め上方向に伸びる作業腕

スチフレッグデリックの特徴

  • 旋回範囲が制限される(スチフレッグの設置方向に制約がある)
  • 構造が比較的シンプルで安定性が高い

ガイデリック

ガイデリックは、マストを複数のワイヤロープ(ガイ)で四方から引っ張って支持する形式のデリックです。

ガイデリックの構造

  • マスト:垂直に立てた支柱
  • ガイ:マストを支える複数のワイヤロープ(通常4〜6本)
  • ブーム:マスト下部を支点とする作業腕

ガイデリックの特徴

  • 旋回範囲が広い(全周回転可能)
  • ガイの設置に広いスペースが必要
  • 大型構造物の建設現場で使用される

ジンポールデリック

ジンポールデリックは、最もシンプルな形式のデリックで、1本のマスト(ジンポール)に直接ブームを取り付けた構造です。

ジンポールデリックの特徴

  • 構造が最もシンプル
  • 小型・軽量で設置が容易
  • 旋回範囲は制限される

クライミングデリック

クライミングデリックは、建物の躯体(骨組み)に沿って自力で上昇(クライミング)できる形式のデリックです。高層建物の建設など、作業面が上昇するにつれてデリック自体も移動が必要な現場に使用されます。

クライミングデリックの特徴

  • 建物の骨組みを利用して固定・移動する
  • 高層ビル建設で使用される
  • 上昇のたびに設置工事が必要

4種類のデリック比較

種類 マスト支持方式 旋回範囲 特徴
スチフレッグデリック 2本のスチフレッグ(斜材) 制限あり 安定性高い
ガイデリック 複数のワイヤロープ(ガイ) 全周回転可 広いスペースが必要
ジンポールデリック ガイ(ジンポール自体) 制限あり 最もシンプル・小型
クライミングデリック 建物躯体に固定 制限あり 高層建設で上昇移動

試験での出題ポイント

  • 「スチフレッグデリック:2本のスチフレッグ(斜材)でマストを支持・旋回制限あり」
  • 「ガイデリック:ワイヤロープ(ガイ)でマストを支持・全周回転可」
  • 「ジンポールデリック:最もシンプルな構造・1本のポールに直接ブームを付ける」
  • 「クライミングデリック:建物躯体に固定して上昇移動・高層建設向け」

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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内および出題基準に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

デリックとクレーンの法令上の違い

クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)では、デリックを次のように定義しています。

「マスト又はブームを持ち、ワイヤロープを用いて荷をつり上げることを目的とする機械装置であって、原動機を別置きにして使用するもの」

クレーンとの大きな違いは「原動機(電動機等)を機体に内蔵しない」点です。デリックはウインチ(原動機一体の巻上機)を本体とは別の場所に設置し、ワイヤロープで動力を伝達します。

つり上げ荷重2t以上のデリックに必要な手続き

つり上げ荷重2t以上のデリックを設置する場合、クレーン等安全規則に基づいて次の手続きが必要です。

  • 設置届:設置工事開始30日前までに所轄労働基準監督署長に届け出る(クレーン等安全規則第97条)
  • 落成検査:設置工事完了後、労働基準監督署の検査を受ける
  • 検査証の交付:落成検査合格後、デリック検査証が交付される
  • 定期自主検査:年次(1年以内ごと1回)・月次(1か月以内ごと1回)に実施し記録する

各種デリックの主な使用場面

種類 主な使用場面 選ばれる理由
スチフレッグデリック 製鉄所・造船所等の重量物揚重 安定性が高く大荷重に向く
ガイデリック 土木・建設工事・港湾荷役 全周旋回で広い作業範囲をカバー
ジンポールデリック 設備据付・建設現場での軽量物揚重 設置スペースが小さく仮設に向く
クライミングデリック 高層ビル建設 建物の骨組みに沿って自力上昇できる

試験問題のよくある出題パターン

クレーン・デリック運転士試験の「クレーン知識」科目では、デリックについて次のような問い方がよく出ます。

パターン1:「〇〇デリックの説明として正しいものはどれか」

スチフレッグ・ガイ・ジンポール・クライミングの各特徴を正確に区別できるようにします。特に「旋回できるかどうか」「マストの支持方法」がポイントです。

パターン2:「デリックに当てはまる記述はどれか(クレーンとの混同問題)」

「原動機を別置きする」「ワイヤロープで動力伝達」という点はデリック特有の特徴です。クレーンとの違いを整理しておきます。

パターン3:「次の記述のうち誤っているものはどれか」

誤りの選択肢としてよく使われるパターン:

  • ガイデリックは旋回できない(誤:全周旋回可能)
  • スチフレッグデリックは全周旋回できる(誤:旋回範囲に制限がある)
  • デリックは原動機を機体に内蔵している(誤:別置き)

デリックの安全規則上の義務(関係法令科目との連携)

デリックはクレーン等安全規則の「デリック編」に規定されています。関係法令科目でもデリック固有のルールが出題されることがあります。

  • デリック運転士の免許:クレーン・デリック運転士免許(限定なし)を持っていれば、デリックも操作できる
  • 作業主任者:つり上げ荷重5t以上のデリック作業にはデリック運転士作業主任者が必要
  • 過負荷の禁止:定格荷重を超えてデリックを使用することは禁止(クレーン等安全規則第107条)
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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