放課後等デイサービスの処遇改善加算。令和8年6月以降の加算率と計算方法。

放課後等デイサービスの処遇改善加算。令和8年6月以降の加算率と計算方法。 放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスの処遇改善加算は、基本報酬と各種加算の合計額に加算率を掛けて算定します。令和8年6月以降の最上位区分(Ⅰイ)の加算率は15.5%です。定員10人・稼働率85%・1単位10円の標準的な事業所では、処遇改善加算で月間約20〜30万円の収入増になりますが、この加算額は職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。この記事では、区分ごとの加算率・算定要件・職員への分配義務を整理します。

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処遇改善加算は基本報酬と各加算の合計に対してかかる

福祉・介護職員等処遇改善加算(処遇改善加算)は、基本報酬と他の加算(加配加算・送迎加算等)の合計額に対して、区分ごとに設定された加算率を乗じて算定します。「利用した児童1人・1日ごと」の各加算単位数の合計に加算率を掛ける形です。

令和8年6月1日以降の放課後等デイサービスの加算率は次のとおりです(出典:厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度報酬改定における改定事項」)。

放課後等デイサービスの処遇改善加算率(令和8年6月〜)
区分 加算率
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰイ) 15.5%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰロ) 16.1%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱイ) 15.2%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱロ) 15.8%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) 14.2%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) 11.9%

「Ⅰイ」と「Ⅰロ」など同じ大区分の中でイ・ロの2区分があるのは、職員への賃金改善の方法(月次定昇型かベースアップ型か)によって区分が分かれるためです。最上位(Ⅰイ)を取るには加算率が最も高い要件を満たす必要がありますが、加算収入も最も大きくなります。

処遇改善加算の収入への影響

処遇改善加算(Ⅰイ・15.5%)を取得した場合の収入増加額を試算します。定員10人・稼働率85%・月22日開所・その他地域(1単位10円)の前提で計算します。

処遇改善加算Ⅰイの月間収入試算(例)
項目 月間金額(概算)
基本報酬(時間区分2・609単位) 約1,141,470円
加配加算(経験5年以上・常勤専従・187単位) 約349,690円
送迎加算(往復・全員) 約201,960円
基本報酬+各加算の合計 約1,690,480円
処遇改善加算Ⅰイ(15.5%) 約261,924円

加算率が15.5%から11.9%(Ⅳ)に下がると、処遇改善加算の月間額は約201,167円になります。ⅠイとⅣの差は月間約61,000円です。年間では約73万円の差になります。

処遇改善加算は職員の賃金改善に充てる義務がある

処遇改善加算として算定した額は、職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。事業所の収益として自由に使えるわけではありません。この点は処遇改善加算の最大の特徴です。

具体的には、毎年度末に「処遇改善加算計画書」と翌年度の「処遇改善加算実績報告書」を指定権者に提出し、職員への分配状況を報告する必要があります。

どの職員に、いくら分配するかは事業所が決められますが、次のような条件が定められています。

  • 処遇改善加算Ⅰ・Ⅱは、賃金改善額の一定割合以上を「月額賃金の改善」に充てる必要がある(月次定昇・ベースアップ等の継続的な賃金改善)
  • 処遇改善加算Ⅲ・Ⅳは、賞与・一時金での分配も認められる場合がある(要件詳細は指定権者に確認)
  • 職種を問わず、当該事業所の職員全体に分配できる(介護職員・支援員だけでなく、事務職員等への分配も可)

処遇改善加算の算定要件(概要)

処遇改善加算は届出が必要で、算定するには要件を満たし、書類を提出する必要があります。主な要件の概要は次のとおりです(詳細は指定権者に確認してください)。

  • 処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ:キャリアパス要件(職位・職責・職務内容に応じた賃金体系の整備、資格や経験に応じた研修機会の確保等)と、ベースアップ等支援加算に相当する賃金改善の実施
  • 処遇改善加算Ⅲ:キャリアパス要件のうち一部の要件を満たすもの
  • 処遇改善加算Ⅳ:職場環境等要件(職場の環境改善・採用促進・定着支援等の取組)を満たすもの

開業直後から最上位(Ⅰイ)を算定するには、キャリアパス規程の整備や賃金体系の文書化が必要です。開業前の準備段階で作成しておくことで、開設初月から算定できます。

処遇改善加算は事業所にとってどのような意味を持つか

処遇改善加算は、表面上は収入の増加に見えますが、その増加分は職員の賃金に回ります。したがって、処遇改善加算を取得することによる事業所の「手元に残る利益」の増加は限定的です。

ただし、処遇改善加算を活用することで職員の給与水準を上げられるため、採用力と定着率の向上につながります。放課後等デイサービスでは人材確保が経営の大きな課題であり、処遇改善加算を最大限に活用して給与を上げることは、採用と定着の観点から重要です。

また、処遇改善加算を取得していると、その分を収支計画書に収入として計上できます。融資申込の際の収支計画書に処遇改善加算を含めると、事業の見通しがより現実的になります。ただし、職員への分配義務がある点は金融機関にも説明しておく必要があります。

収支シミュレーターで処遇改善加算込みの収支を確認する

処遇改善加算の加算率は、取得する区分によって11.9%〜16.1%の幅があります。区分によって月間の収入が数万円変わります。また、稼働率・加算の組み合わせによっても処遇改善加算の額が変わります。

収支シミュレーターでは、処遇改善加算の加算率を入力して月次の収支を試算できます。区分別の加算率を切り替えて比較することで、どの区分を取ることが目標として適切かを確認できます。

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作成者:fufumumu_design 作成日:2026-11-01
本記事の処遇改善加算率は、厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度報酬改定における改定事項」をもとにしています。算定要件の詳細・届出書類は管轄の指定権者にご確認ください。
【出典】
・厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度報酬改定における改定事項」(社保審障害者部会 第155回 資料1)
・平成24年厚生労働省告示第122号(令和8年こども家庭庁告示第5号改正後)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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