計画相談支援の設備基準は、「必要な広さの区画と設備・備品を備えること」という定性的な規定のみで、具体的な面積数値は省令に記載されていません。他の障害福祉サービスと異なり、計画相談支援は事業所に利用者が来ることなく相談支援専門員が利用者のもとを訪問するサービスです。そのため設備基準はシンプルで、相談室・事務スペース・書類保管設備があれば実質的に満たせることが多いです。ただし、相談室は個人情報保護の観点から「プライバシーが確保できる区画」が求められます。
省令に定める設備基準の内容
計画相談支援の設備基準は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第28号)第21条に定められています。
同条は次のように規定しています。
「指定計画相談支援事業者は、指定計画相談支援を行うために必要な広さを有する区画を設けるとともに、指定計画相談支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。」
(平成24年厚生労働省令第28号第21条)
この条文が示すのは「必要な広さの区画を設けること」「必要な設備・備品を備えること」という定性的な要件です。面積の数値基準は省令には定められておらず、自治体ごとに運用基準・指導基準が異なる場合があります。開業前に申請先の窓口で確認することが確実です。
「必要な区画」とは何を指すか
省令が求める「区画」とは、計画相談支援の業務を行うための専用スペースのことです。他のサービスの事業所と同一建物・同一フロアにある場合でも、業務を行うための専用区画が確保されていれば基準を満たすとされることが多いです。
ただし、相談を行う場面では利用者・家族の個人情報を扱います。相談中の会話が外部に漏れない環境(個室・または仕切りによるプライバシーの確保)が求められます。自治体によっては「相談室を個室とすること」を求める指導基準を設けている場合もあります。申請先の担当窓口で確認してください。
事業所に必要な設備・備品の例
省令は「必要な設備及び備品等」と規定するのみで、具体的なリストは示していません。実務上、計画相談支援事業所で一般的に必要とされる設備・備品の例は次のとおりです。
| 区分 | 設備・備品の例 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 相談スペース | 机・椅子(相談支援専門員用・来客用)・仕切り・個室 | 相談業務・プライバシー確保 |
| 情報通信 | 電話・ファクシミリ・パソコン・インターネット接続環境 | 利用者・関係機関との連絡・記録作成 |
| 書類管理 | 書類棚・鍵付きキャビネット | 個人情報の保管・管理(鍵付きが望ましい) |
| 来客対応 | 応接スペース(簡易的なものでも可) | 利用者家族・関係機関との面談 |
| その他 | コピー機・スキャナー(他事業所との共用可) | 書類の複製・送付 |
計画相談支援は訪問型のサービスであるため、事業所のスペースは相談支援専門員が作業・書類管理を行うための場所が中心です。他サービス(例:就労支援・放課後等デイサービス)のように広い作業室や訓練設備は必要ありません。
計画相談支援の特徴:事業所に利用者が来ない
計画相談支援は、相談支援専門員が利用者の自宅・入所施設・日中活動の場などを訪問してサービス等利用計画の作成・モニタリングを行うサービスです。他の障害福祉サービスと異なり、利用者が事業所に来ることは通常ありません。
このため、設備基準が定める「区画」は訪問業務のベースとなる事務所スペースとしての役割が中心です。事業所の規模は相談支援専門員の人数と業務量に見合ったものであれば足り、広大な面積は必要ありません。
他のサービス事業所と同一事務所での運営
計画相談支援の事業所は、他の指定障害福祉サービス事業所(例:就労移行支援・生活介護等)と同一の建物・フロアに設置することができます。ただし、業務を行うための区画が明確に確保されており、他のサービスの業務と混同されない状態になっていることが必要です。
また、相談支援専門員は「専ら指定計画相談支援の職務に従事する者でなければならない」(省令第28号第3条第2項)が、「指定計画相談支援事業所の管理上支障がない場合は、同一敷地内の他の事業所等の職務に従事することができる」とも規定されています。兼務が認められる範囲については申請先の担当窓口に確認してください。
テナント物件で開業する場合のチェックポイント
計画相談支援を事務所用テナントで開業する場合のチェックポイントは次のとおりです。
- 賃貸借契約の使用目的:「事務所」「福祉事業」等の目的での使用が認められていること。居宅用物件での事業利用は認められないことが多い
- プライバシー確保:相談中の会話が隣室・通路に漏れない環境。間仕切り・個室があるか確認
- 鍵付き収納:利用者の個人情報(計画書・アセスメント票等)を施錠保管できる書類棚・キャビネットの設置が可能かを確認
- 通信環境:電話・インターネット(光回線・有線LAN等)の引き込みが可能か確認
- アクセス:相談支援専門員が外出・帰宅しやすい立地かどうか(訪問型のため移動が多い)
個人情報保護と書類の管理
計画相談支援では、利用者の障害の状況・医療情報・家族構成・経済状況等の個人情報を多く扱います。書類の管理には特に注意が必要です。
計画相談支援の記録の保存義務は、サービス提供が完了した日から5年間です(省令第28号の該当条文・自治体によっては省令上の規定と異なる場合があるため確認が必要)。計画書・モニタリング記録・アセスメント票等は、鍵付き書庫または電子的管理(アクセス制限付き)で保管してください。
設備基準違反のリスク
設備基準を満たしていない事業所は、運営指導(実地指導)での指摘対象となります。改善勧告・公示・指定取消の対象となる可能性があります(障害者総合支援法第49条〜第51条)。
特に問題になりやすいのは次の点です。
- 相談スペースが他の用途と混在しており、個人情報保護が確保されていない
- 書類の施錠管理ができていない(棚の鍵がない・電子データのアクセス制限なし)
- 事業所の区画が不明確で、複数サービスの記録が混在している
よくある質問
- 自宅の一室を事業所として使うことはできますか?
- 自治体によって対応が異なります。相談室としてのプライバシー確保・書類保管・連絡設備が整っていれば認められる場合と、専用の事務所スペースを求める場合があります。申請先の担当窓口に事前相談をしてください。
- 事務所の面積に最小基準はありますか?
- 省令には面積の数値基準は定められていません。「必要な広さの区画」という定性的な規定のみです。実際に業務が支障なく行える広さかどうかを自治体が確認します。相談支援専門員1〜2名の場合、10〜20平方メートル程度の事務スペースで開業している事業所が多いようです(自治体の指導基準によって異なる)。
- 他の障害福祉サービス事業所と同一フロアに設置できますか?
- 業務を行うための区画が明確に確保されていれば、同一フロアへの設置は可能です。事前に申請先の担当窓口に確認してください。
- 設備基準を満たしているかどうかは、申請前に確認できますか?
- 申請前の事前相談(事前協議)を利用することで、物件が設備基準を満たすかどうかを担当者に確認できます。本申請前に必ず事前相談を行うことをお勧めします。
まとめ
計画相談支援の設備基準(平成24年厚生労働省令第28号第21条)は、「必要な広さの区画と必要な設備・備品を備えること」という定性的な規定です。具体的な面積数値は省令には定められておらず、自治体によって運用基準が異なります。事業所に利用者が来ないサービス特性上、相談スペース・情報通信環境・個人情報の施錠保管設備が整っていれば、比較的小規模な事務所でも開業できます。開業前に申請先の担当窓口で設備基準の適否を事前確認してください。
計画相談支援の開業・収支の試算は、以下のシミュレーターをご活用ください。

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