放課後等デイサービスの収入は、どう計算するか。時間区分・稼働率・単位数の仕組み。

放課後等デイサービスの収入は、どう計算するか。時間区分・稼働率・単位数の仕組み。 放課後等デイサービス・児童発達支援

放課後等デイサービスの収入は、「利用した児童の人数×時間区分の単位数×1単位の単価」で計算します。月の収入は、この1日あたりの金額に営業日数を掛けた値が基本です。時間区分・地域区分・稼働率の3つを押さえると、収入の見通しが立てられます。

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基本報酬は、利用した児童1人・1日ごとに単位数が積み上がる

放課後等デイサービスの基本報酬は、利用した児童1人・1日ごとに算定します。事業所全体で「1日いくら」という計算ではなく、その日に来た児童の人数分だけ単位数が積み上がる仕組みです。加算も同様に、利用した児童1人・1日ごとに加わります(告示第122号原文「障害児について算定する」より)。

したがって月の基本報酬は、次のように計算できます。

月の基本報酬(円)
 = 1日の利用児童数(人)× 時間区分の単位数 × 1単位の単価(円)× 営業日数

「1日の利用児童数」は、定員と稼働率で決まります。「時間区分の単位数」は1日の利用時間によって3区分に分かれます。「1単位の単価」は事業所の所在地(地域区分)によって異なります。それぞれを順に説明します。

時間区分は、1日の利用時間で3つに分かれる

令和6年度の報酬改定で、放課後等デイサービスの基本報酬は1日の利用時間に応じた3区分になりました(定員10人以下)。以下の単位数は、平成24年厚労省告示第122号(令和8年こども家庭庁告示第5号で改正)の原文で確認した値です。

時間区分 利用時間 単位数(定員10人以下) 主な場面
区分1 30分以上2時間未満 574単位 授業終了後に短時間利用
区分2 2時間以上3時間未満 609単位 授業終了後の一般的な利用
区分3 3時間以上 666単位 学校休業日(夏休み・土日祝等)

学校がある平日は区分1・2が多く、夏休みや土日祝日は区分3になります。同じ定員・同じ稼働率でも、休業日の割合が高いほど単位数が大きくなるため、収入が増える傾向があります。

なお、定員11人以上の事業所は単位数が異なります。本記事では定員10人以下の値を使います。また、主として重症心身障害児を通わせる事業所は別の単価体系になります。

1単位の単価は、地域区分によって10.00円〜11.20円の幅がある

放課後等デイサービスは、障害児支援の「人件費割合60%」区分に該当します。1単位あたりの単価は、事業所のある地域(地域区分)によって以下のとおりです(出典:カイポケ「【2024年度報酬改定】放デイ・児発など障害児支援サービスの地域区分」)。

地域区分 1単位の単価 対象の例
1級地 11.20円 東京都特別区など
2級地 10.96円 一部の政令市など
3級地 10.84円
4級地 10.72円
5級地 10.60円
6級地 10.36円
7級地 10.18円
その他 10.00円 多くの地方都市・町村

自分の事業所がどの地域区分に該当するかは、指定権者(都道府県・政令市・中核市)の案内または厚生労働省の告示で確認できます。1級地と「その他」では1単位あたり1.20円の差があり、月間の利用のべ人数が大きくなるほど収入への影響も大きくなります。

稼働率が、月間の収入の大きさを決める

定員に対して実際に利用する児童の割合が稼働率です。定員10人で稼働率80%なら、1日の利用児童数は8人です。稼働率が上がるほど月間の収入が増えます。

「その他」地域、定員10人、時間区分2(609単位)の平日を例に、稼働率別の1日の基本報酬を計算すると次のとおりです。

稼働率 1日の利用児童数 1日の基本報酬(目安)
70% 7.0人 42,630円
80% 8.0人 48,720円
85% 8.5人 51,765円
90% 9.0人 54,810円
100% 10.0人 60,900円

計算式:1日の利用児童数 × 609単位 × 10.00円。

月間の基本報酬は、この1日あたりの金額に営業日数を掛けます。平日(時間区分2)が月20日、学校休業日(時間区分3・666単位)が月4日の場合、稼働率85%・「その他」地域なら次のようになります。

  • 平日分:8.5人 × 609単位 × 10.00円 × 20日 = 1,035,300円
  • 休業日分:8.5人 × 666単位 × 10.00円 × 4日 = 226,440円
  • 月間基本報酬合計:約1,261,740円

加算・処遇改善加算を加えると、実際の月間報酬はこれより多くなります。

加算は、利用した児童1人・1日ごとに積み上がる

加算は、基本報酬と同じく「利用した児童1人・1日ごと」に算定します(告示第122号原文「1日につき所定単位数を加算する」)。事業所全体で1日いくらではなく、その日に来た人数分だけ上乗せされます。主な加算の単位数は次のとおりです。

加算の種類 単位数(1人・1日) 主な算定要件
児童指導員等加配加算(経験5年以上・常勤専従) 187単位 専門職員を1人以上配置して届出
児童指導員等加配加算(常勤専従) 152単位 同上
児童指導員等加配加算(経験5年以上・常勤換算) 123単位 同上
児童指導員等加配加算(児童指導員等・常勤換算) 107単位 同上
児童指導員等加配加算(その他の従業者) 90単位 同上
専門的支援体制加算 123単位 専門職員の配置と届出
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位 常勤職員の35%以上が有資格
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位 常勤職員の25%以上が有資格
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) 6単位 非常勤も含め25%以上が有資格
医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位 看護職員が来所して対応
医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位 看護職員が来所・医療的ケア実施
医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位 重度の医療的ケア児への対応
送迎加算 54単位/片道 送迎を実施

出典:カイポケのサービスコード表ダウンロードページより取得したPDF(houdei_basic2.pdf)、および告示第122号原文。

例として、稼働率85%・定員10人(1日8.5人利用)の事業所が加配加算(123単位)と送迎加算(片道54単位×往復2回)を算定する場合、月20日の1か月間で加算による収入増加分は次のようになります。

  • 加配加算:8.5人 × 123単位 × 10.00円 × 20日 = 209,100円
  • 送迎加算(往復):8.5人 × 108単位 × 10.00円 × 20日 = 183,600円
  • 加算合計:392,700円

基本報酬(先の計算では平日分1,035,300円)と合わせると、加算を取るかどうかで月間収入に大きな差が出ます。どの加算を取れるかは開業計画の段階で確認しておくことが重要です。

処遇改善加算は、報酬全体に対して一定の割合で加わる

処遇改善加算は、基本報酬と各種加算の合計に対して、加算率を掛けて計算します。令和8年6月以降の放課後等デイサービスの加算率(区分別)は次のとおりです(出典:厚労省・こども家庭庁「令和8年度報酬改定における改定事項」加算率の表)。

区分 加算率(令和8年6月〜)
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰイ) 15.5%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰロ) 16.1%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱイ) 15.2%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅱロ) 15.8%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) 14.2%
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) 11.9%

処遇改善加算は、職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。加算を取ることで収入は増えますが、その分は人件費として職員に還元します。

令和8年6月以降に新規指定を受ける事業所は、基本報酬が約1.8%少なくなる

令和8年6月1日以降に新たに指定を受ける放課後等デイサービス事業所は、基本報酬に「982/1000」の減算が適用されます(出典:厚労省・こども家庭庁「令和8年度改定事項について(報告)」p21-25)。これは、新規事業所の急増に対する臨時の措置です。

加算には適用されず、基本報酬のみが対象です。先の計算例(定員10人・稼働率85%・その他地域)では、月間基本報酬が1,261,740円から約1,238,988円に減少する計算になります(差額:約22,752円/月)。

重症心身障害児を対象とする事業所、離島・中山間地域の事業所などは配慮措置の対象になる場合があります。詳細は指定権者に確認してください。収支シミュレーターでは、「令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所」のチェック欄で反映できます。

全国平均は年間収入約3,161万円、収支差率は5.8%

厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」第26表(放課後等デイサービス・令和4年度決算・有効回答485事業所)によれば、1事業所あたりの年間収入の平均は約3,161万円、年間支出の平均は約2,978万円で、収支差率は5.8%です。

項目 全国平均(1事業所・年間)
収入 約3,161万円
支出 約2,978万円
収支差 約183万円
収支差率 5.8%
定員(平均) 10人
サービス換算職員数(平均) 5.0人

月換算では収入が約263万円になります。先に計算した基本報酬(約126万円)と加算(約39万円)を合わせた月間報酬(約165万円)との差は、定員規模・稼働率・加算の取り方の違いによるものです。全国の事業所が定員10人でこの収入水準にあることを参考に、自事業所の計画と比べてみてください。

なお、1事業所あたりの月平均費用額は約219万円(1事業所あたりの月平均給付費・国保連への請求額ベース)という数字もあります(出典:厚労省・こども家庭庁「障害福祉サービス等の最近の動向について」社会保障審議会障害者部会第149回)。こちらは調査方法が異なりますが、収入の水準の参考になります。

収入の見通しをシミュレーターで確認する

この記事で説明した計算(時間区分・地域区分・稼働率・加算・処遇改善加算・新規指定の減算)は、放課後等デイサービス収支シミュレーターに入力欄として用意しています。定員・稼働率・加算の組み合わせを変えながら、月間・年間の収入と収支の試算ができます。

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作成者:fufumumu_design 作成日:2026-11-01
当記事の数字・算定条件は、下記の一次資料を当方で確認・整理したものです。算定の適否は指定権者にご確認ください。

出典

  • 平成24年厚労省告示第122号(令和8年こども家庭庁告示第5号改正後)「児童福祉法に基づく指定通所支援等の費用の額の算定基準」
  • はぐめいと「【法改正】令和6年4月以降、児童発達支援と放課後等デイサービスの基本報酬の時間区分の考え方」
  • conobell「放デイの時間区分と報酬単価表」
  • カイポケ「【2024年度報酬改定】放デイ・児発など障害児支援サービスの地域区分、1単位あたりの単価とは?」
  • カイポケ サービスコード表(houdei_basic2.pdf)
  • 厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度報酬改定における改定事項」(社保審障害者部会 第155回 資料1)
  • 厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度改定事項について(報告)」p21-25
  • 厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」第26表(放課後等デイサービス)
  • 厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会第149回)
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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