短期入所の支援記録・服薬記録・事故報告は個人情報を含む文書です。基準第41条(第145条で準用)が記録の保管義務を定め、個人情報保護法(平成15年法律第57号)が第三者提供の原則(本人同意)と情報漏えい時の報告義務を課しています。研修では記録の種類・保管年数・SNS漏えいリスク・電子記録の管理方法を確認します。
基準第41条(第145条準用)は記録の種類ごとに保管年数を定めている
基準第41条(第145条で準用)は、指定短期入所サービスの事業者が作成・保管すべき記録の種類と保管期間を定めています。主な記録の保管年数は次のとおりです。(出典:基準(平成18年厚生労働省令第171号・e-Gov法令検索))
| 記録の種類 | 保管年数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 支援記録(日々の支援内容) | 5年 | 基準第41条 |
| 事故報告・苦情対応記録 | 5年 | 基準第41条 |
| 利用者の同意書・契約書 | 5年 | 基準第41条 |
| 従業員の勤務体制に関する記録 | 2年 | 基準第41条 |
表は基準第41条の内容を整理したものです。指定権者によって異なる場合があります。
保管期間の起算点は、サービス提供が終了した日ではなく「当該記録を最後に記録した日」または「利用者の退所の日」のいずれか遅い方から起算する運用が一般的です。解釈通知(障発第1206001号)の内容も確認し、指定権者の案内に従ってください。(出典:解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日))
個人情報の第三者提供は本人同意が原則で、例外は法令上の根拠がある場合に限られる
個人情報保護法(令和3年改正・平成15年法律第57号)は、個人情報を第三者に提供する場合は本人の事前同意が必要と定めています。(出典:個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索))
短期入所で第三者提供が生じる主な場面と取り扱い方針の例は次のとおりです。
| 場面 | 根拠・取り扱い |
|---|---|
| 家族への状況報告 | 利用者本人または法定代理人の同意を契約時に取得する |
| 医療機関への情報提供(救急搬送等) | 生命・身体の保護のために必要で、本人同意が困難な場合は例外(個人情報保護法第27条) |
| 行政機関(指定権者)からの監査資料提出 | 法令に基づく場合は同意不要(個人情報保護法第27条第1項第1号) |
| 研修での事例検討(他施設との事例共有) | 氏名・生年月日・住所等の識別情報を削除した匿名化処理が必要 |
表は一般的な取り扱いを整理したものです。具体的な状況によって異なります。
短期入所で個人情報を含む記録は支援記録・服薬記録・事故報告・連絡ノートが主な対象になる
個人情報を含む記録の種類を把握し、どのように保管・廃棄・閲覧制限すべきかを全員で確認します。
- 支援記録・日誌:利用者の氏名・支援内容・体調が記録される。紙と電子の両方で管理することがある
- 服薬記録・与薬記録:薬の種類・量・服用時刻・利用者氏名が含まれる
- 事故報告書・ヒヤリハット報告書:利用者の個人情報と事故内容が記録される
- 家族との連絡ノート・引継ぎ票:家族の連絡先・家庭での様子・緊急連絡先が含まれる
- アセスメントシート・個別支援計画:診断名・障害状況・生活歴が含まれる
これらの書類は施設内の鍵のかかるキャビネットに保管し、閲覧できる職員を限定します。廃棄は溶解処理またはシュレッダー処理を行い、家庭用ゴミとして出してはいけません。
SNS・スマートフォンでの情報漏えいは氏名・写真・施設名の組み合わせが発端になりやすい
利用者の写真や施設内の状況をSNSに投稿することは、投稿者が「個人を特定するつもりがない」と思っていても情報漏えいになる場合があります。漏えいのリスクが高いパターンを把握しておくことが予防につながります。
- 利用者が映り込んだ施設内の写真を職員が個人SNSに投稿する(施設名タグ・施設の外観が手がかりになる)
- 職員間のグループLINEで利用者の状態・氏名・家族情報を共有する(グループ外への転送リスク)
- 支援記録・引継ぎ票を私物スマートフォンで撮影してメモ代わりにする
- 使用済みの介護記録を持ち帰って自宅で整理する
施設として「利用者の写真撮影・SNS投稿の禁止」「個人情報を含む書類の持ち出し禁止」を就業規則・個人情報取扱規程に明記し、入職時と年1回以上の研修で全員に周知します。
個人情報の漏えいが発生した場合は個人情報保護法に基づく報告義務がある
令和3年改正の個人情報保護法(令和4年4月施行)により、一定の要件を満たす漏えい等が発生した場合は、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化されました。障害福祉サービス事業者も対象です。
報告が必要になる漏えいの例:
- 要配慮個人情報(障害・病歴・医療情報等)を含む漏えい
- 不正アクセス等による漏えい
- 1,000件を超える個人情報が含まれる漏えい
発見から速やかに(目安:3〜5日以内に第一報)個人情報保護委員会に報告します。また、本人(利用者・家族)への通知も必要です。施設としての対応手順(誰が・いつ・どこに報告するか)をマニュアル化し、担当者を決めておくと対応が遅れません。
電子記録のアクセス権限管理とバックアップは情報漏えいと消失の両方を防ぐ
介護記録ソフトや施設のパソコンで支援記録を管理している場合は、アクセス権限の設定と定期的なバックアップが重要です。
- アクセス権限:職員ごとに閲覧・編集できる範囲を設定する(全記録を全員が見られる状態は避ける)
- パスワード管理:共用パスワードを使い回さない。退職者のアカウントは即日削除する
- バックアップ:定期的に外部メディアまたはクラウドにバックアップを取る(災害・機器故障での消失対策)
- 端末管理:施設用パソコンを私的利用しない。施設外への持ち出しには暗号化対策が必要
クラウド型記録システムを利用している場合は、サービス事業者との間で「個人情報の処理委託契約」が結ばれているか確認します。委託先が適切な安全管理を行っているかどうかは、委託元の事業者が責任を持って確認する義務があります(個人情報保護法における委託先の監督義務)。
個人情報保護研修は年1回以上・入職時にも必ず実施する
個人情報保護法は、個人情報取扱事業者(事業者)に対して従業員への教育・啓発を義務づけています。義務回数の明示はありませんが、安全管理措置の一環として年1回以上の研修実施が標準的です。
研修の内容として特に重要なのは次の3点です。
- 自分が日常業務で扱っている個人情報の種類と範囲の理解
- 不適切な取り扱い事例の確認(SNS投稿・持ち出し・口頭での漏えい)
- 漏えいが発生した場合の報告ルートの確認
新入職員には入職時に個別で実施します。年1回の全体研修とは別に、新しいルールや制度改正があった際は随時周知を行います。
事故発生後の報告手順については短期入所の事故報告・苦情対応研修もあわせて確認してください。
研修資料・記録様式のまとめには法定研修・訓練キット(短期入所版)をご利用ください。
この記事は、障害者総合支援法に基づく基準(平成18年厚生労働省令第171号)、解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日)、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の内容を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。所在地の指定権者(都道府県・市)の案内もあわせて確認してください。作成:fufumumu_design


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