短期入所の非常災害対策。運営規程の記載義務と避難訓練の実施要件。
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短期入所の事業者は、省令171号第123条第7号により、運営規程に「非常災害対策に関する事項」を記載する義務があります。さらに、非常災害に関する具体的な計画の策定と避難訓練の実施が、同省令第70条(第125条による準用)で求められています。宿泊を伴うサービスの特性上、火災・地震・水害などへの対応は事業運営の基本要件です。この記事では、記載義務の内容と実務上の整備ポイントを解説します。
非常災害対策の根拠規定(2つの条文)
短期入所における非常災害対策は、2つの条文から義務が生じます。
省令171号第123条第7号(運営規程への記載義務)
第123条は運営規程に定める10項目を列挙しており、その第7号が「非常災害対策に関する事項」です。運営規程とは事業所の運営の基本方針を文書化したものであり、指定申請時に提出が必要です。「非常災害対策に関する事項」として、少なくとも次の内容を運営規程に記載します。
- 非常災害の種類(火災・地震・水害・停電等)
- 非常災害時の連絡先(消防署・警察・市町村等)
- 非常災害時の利用者の安全確保・避難誘導の方針
- 避難訓練の実施に関する事項(頻度・方法)
省令171号第70条(具体的な計画・訓練の実施義務)
第70条(第125条により短期入所に準用)は、非常災害に関する具体的な計画・連絡体制・訓練の実施を義務として規定しています。主な内容は次のとおりです。
- 消火・避難・その他の訓練の定期的実施
- 非常災害に関する具体的な計画の策定
- 市町村・地域住民等との連携体制の整備(努力義務)
避難訓練の実施要件
実施頻度
「定期的に」実施することが求められており、少なくとも年2回以上が目安とされています(消防法施行規則第3条も参照)。短期入所は宿泊サービスであるため、夜間・休日など職員が少ない状況を想定した訓練も取り入れることを検討してください。
訓練の種類
実施すべき訓練には次の種類が含まれます。
- 消火訓練:消火器の操作・初期消火の対応手順
- 避難訓練:利用者の避難誘導経路・集合場所の確認
- 通報訓練:消防署への通報手順の確認(119番通報・施設内の緊急連絡)
消防計画(消防法第8条に基づく)との連動が求められます。事業所が所在する建物の管理者・消防署と連携して消防計画を策定し、それと整合した避難訓練を実施してください。
記録の作成と保管
訓練を実施した際は、次の内容を記録し保管します。
- 実施日時・参加者(職員・利用者の人数)
- 訓練の種類・内容・所要時間
- 訓練中に確認された課題・改善事項
- 次回訓練への申し送り
指定権者による運営指導(実地指導)では、訓練記録の提示を求められることがあります。記録様式をあらかじめ用意しておくと整備が簡単です。
非常災害時の連絡体制の整備
運営規程への記載事項と合わせて、実際に機能する連絡体制を文書化しておくことが重要です。
連絡先リストの整備
- 消防署・警察(緊急時)
- 市町村障害福祉担当窓口
- 都道府県の指定機関
- 職員の緊急連絡先(夜間・休日対応)
- 利用者の保護者・家族の緊急連絡先
- 協力医療機関
利用者個別の避難支援計画
短期入所では、車椅子使用者・医療的ケアが必要な利用者・認知症等により避難誘導が困難な利用者など、個別に支援が必要な方が利用します。利用者ごとに次の点を確認し、避難支援計画を個別支援計画に組み込むことを推奨します。
- 自力避難が可能か・介助が必要か
- 必要な医療的配慮(酸素・吸引器等の持ち出し手順)
- 避難先での支援継続のための情報連携
BCP(業務継続計画)との関係
令和3年度の省令改正により、障害福祉サービス事業者に業務継続計画(BCP)の策定が義務付けられました(令和6年3月31日までの経過措置あり)。BCPは「自然災害・感染症等が発生した場合に事業所がサービスを継続するための計画」であり、非常災害対策(避難・安全確保)をより広い視点で整理したものです。
BCPには次の内容を含めます。
- 平時の備え(物資の備蓄・建物の耐震確認・情報バックアップ等)
- 緊急時の対応方針(利用者・職員の安全確保・サービスの縮小・中断の判断基準)
- 中断後の業務再開の手順
BCPの策定は運営規程への非常災害対策の記載義務と重複する部分が多いため、一体的に整備することで作業を効率化できます。
運営規程への具体的な記載例
運営規程の「非常災害対策に関する事項」の記載例(最小限の内容)を示します。
「非常災害(火災・地震・水害等)が発生した場合、管理者は直ちに消防署・警察に通報するとともに、職員は利用者の安全を確保し、事前に定めた避難経路に従って避難誘導を行う。非常時の連絡先リストおよび避難経路図を事業所内に掲示し、消火・避難・通報の訓練を年2回以上実施する。」
記載はこれを最低限として、事業所の実態(物件の構造・想定される利用者像)に合わせた具体的な内容にしてください。
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第70条・第123条第7号・第125条。当ページは法令の解説を目的としており、法的助言ではありません。最新の内容は指定権者(都道府県・市町村)および消防署にご確認ください。作成:2026年11月。


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