放課後等デイサービスの専門的支援加算。資格者の配置要件。
放課後等デイサービスの専門的支援加算は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの専門資格を持つ支援員を配置・従事させた日に、1日あたり222単位を算定できる加算です(令和6年度報酬改定後の参考値)。1日に配置できる人数上限があり、算定は1日1名分が上限です。対象となる資格の種類・専従・兼務の考え方・運営指導での確認ポイントを、障害者総合支援法に基づく報酬告示(平成18年厚生労働省告示第523号等)に基づいて整理します。
※単位数・算定条件は令和6年度改定後の報酬告示に基づく参考値です。最新の告示・解釈通知は厚生労働省公式資料で必ず確認してください。
専門的支援加算の目的と背景
放課後等デイサービスは、障害のある子どもが学校の授業終了後や長期休暇中に利用する支援サービスです。利用する子どもには身体障害・知的障害・発達障害・重複障害など様々な状態が混在しており、一般の指導員だけでなく、専門的な知識を持った支援員が関わることで、支援の質が大きく向上します。
令和3年度の報酬改定では、放課後等デイサービスの「基本報酬の二元化」(重症心身障害のある児童向けと、それ以外の児童向けへの区分)とあわせて、専門的支援加算が整備されました。令和6年度改定でも引き続き算定できます。根拠となる告示は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号等・児童デイサービス部分)です。
対象となる資格の一覧
専門的支援加算の対象となる職員の資格は以下のとおりです。
| 職種・資格 | 主な支援内容 |
|---|---|
| 理学療法士(PT) | 運動機能・姿勢・歩行訓練 |
| 作業療法士(OT) | 日常生活動作・手指操作・感覚統合 |
| 言語聴覚士(ST) | 言語・コミュニケーション・摂食嚥下 |
| 心理指導担当職員(心理士等) | 心理的アセスメント・行動支援・保護者カウンセリング |
| 視覚障害の専門支援職員(視覚障害教育の教員免許等) | 点字・歩行訓練・見え方の評価 |
| 聴覚障害の専門支援職員(聴覚障害教育の教員免許等) | 手話・補聴器活用・コミュニケーション支援 |
「心理指導担当職員」については、公認心理師・臨床心理士などが対象になりますが、具体的な資格の範囲は指定権者の解釈に依ることもあります。採用時は指定権者に対象資格を確認してください。
算定要件:「配置した日」に算定する仕組み
専門的支援加算は、対象資格を持つ職員が「その日に事業所に配置されて支援に当たった日」に算定できます。単に採用・雇用しているだけでは算定できません。実際に出勤し、利用児童の支援に関わった記録が必要です。
専従と兼務の考え方
専門的支援加算を算定するためには、対象職員がその日に「専門的支援を行う職員として」従事していることが必要です。具体的には以下の点が実務上のポイントです。
- PT・OT・STが訓練・評価・支援記録作成に従事した日が算定対象
- 単に送迎業務のみに従事した日は算定対象外になる可能性がある
- 管理者業務との兼務は認められているが、「専門職として支援した」実態が記録で確認できることが必要
- 非常勤職員でも算定できる(常勤専従である必要はない)
パート・週2〜3日勤務のPT・OTを採用して配置日のみ算定するというケースは実務上よく見られます。ただし「配置した日に専門的支援を行った」という記録(支援記録・勤怠記録)が必要です。
1日に複数の専門職がいる場合
1日に対象資格を持つ職員が複数いても、算定できるのは1日1名分(222単位)が上限です。PT・OT・STの3名が同じ日に出勤していても、加算は222単位のみです。複数名配置しても加算が増えるわけではない点に注意してください。
令和6年度改定での変更点
令和6年度報酬改定では、放課後等デイサービス全体の報酬体系が大きく見直されました。主な変更点は以下のとおりです。
基本報酬の再編
令和6年度改定で放課後等デイサービスの基本報酬は、「児童指導員等加配加算」の一部が基本報酬に組み込まれる形で再設計されました。改定の方向は「支援の質の向上に向けた専門職の配置を基本報酬で評価する」というものであり、専門的支援加算も引き続き体系として維持されています。
単位数・算定要件の確認の必要性
令和6年度改定では専門的支援加算の単位数も見直されています。本記事の222単位という数字は令和6年度の参考値ですが、改定内容の詳細は「指定障害福祉サービス等の報酬基準」の告示本文と、厚生労働省が発出する「報酬算定に係る留意事項について」(Q&A)で必ず確認してください。
月収への影響:週5日・月20日算定の場合の試算
週5日営業・月20日開所の事業所で、対象資格を持つ職員を毎営業日配置・算定した場合の試算です。地域区分を「その他(1単位10円)」として計算します。
| 算定日数 | 単位数/日 | 月額収入増加(目安) |
|---|---|---|
| 月20日(全営業日) | 222単位 | 222単位×20日×10円=44,400円/月 |
| 月10日(週2〜3日配置) | 222単位 | 222単位×10日×10円=22,200円/月 |
月20日算定で約4万4千円の収入増加です。PT・OTのパート採用コスト(時給1,800〜2,500円×週数時間)との損益分岐点を計算したうえで配置を検討する必要があります。週2〜3日のパート勤務でも月2万円以上の加算が入るため、少人数の専門職配置でも収支改善につながるケースがあります。
採用・配置の実務
求人での訴求ポイント
PT・OT・STは病院・クリニック・訪問リハビリの求人と競合します。放課後等デイサービスの強みは「子どもの成長を長期的に見られること」「地域での子育て支援に貢献できること」「フレキシブルな勤務時間(学校が終わる14時以降のシフト)」です。「放課後デイ×PT」での求人媒体活用や、リハビリ専門学校・養成校への求人票送付が効果的です。
業務委託(外部専門職)での算定
直接雇用ではなく業務委託・派遣で専門職を配置して算定できるかどうかは、告示・解釈通知の確認が必要です。「実際に指導支援の実施に当たる従業者」として配置されているかどうかが判断基準になります。業務委託の場合は、契約書・業務内容・委託料を書面で整備し、指定権者に算定可否を事前確認することをお勧めします。
支援記録の整備
専門的支援加算を算定する日ごとに、対象職員が「何の専門支援を誰に行ったか」を記録することが必要です。記録のフォーマットは規定されていませんが、以下の情報を含む記録が運営指導で求められます。
- 支援実施日
- 支援を行った職員の氏名・資格
- 支援を受けた利用児童の氏名
- 支援の内容(訓練の内容・評価結果・次回の目標等)
- 支援時間
「専門職が在籍しているが、支援記録が個別支援計画とリンクしていない」「記録が集団活動の日誌のみで個別支援の記録がない」というケースは、運営指導で算定根拠として認められないリスクがあります。
個別支援計画との連携
専門的支援加算の算定は、個別支援計画の内容と整合している必要があります。個別支援計画に「PTによる運動機能訓練を週○回実施する」など専門的支援の内容・頻度が明記されていることが望ましいです。計画にない支援を記録だけで行っていると、「計画と実施が乖離している」として指摘対象になります。
運営指導での確認ポイント
職員の資格証の確認
算定している専門職の国家資格証(PT・OT・STであれば厚生労働省発行の免許証)が事業所に保管されているかを確認されます。コピーで管理していることが多いですが、採用時に原本確認・コピー保管を行うことが必要です。
配置日と算定日の一致
勤怠記録・タイムカードと加算の算定日が一致しているかを確認されます。「出勤していない日に算定している」というケースは不正請求です。算定日は必ず出勤記録と紐付けて管理してください。
1日複数名の重複算定
複数の専門職が同日に配置されているのに、複数名分の加算を算定していないかを確認されます。1日1名分上限の規定を遵守しているかが確認されます。
支援記録の内容
「専門的支援を行った」という記録の中身が薄くないかを確認されます。「PT実施」のみの記録では不十分で、何をどう行ったかの具体的な内容が必要です。
まとめ:専門的支援加算を算定するための3ステップ
- 対象資格を持つ職員を採用・確保する:直接雇用・業務委託・派遣のいずれかで、週複数日以上の配置が可能な専門職を確保する。
- 個別支援計画に専門的支援を盛り込む:対象児童の個別支援計画に専門職が関わる支援内容を明記し、計画に基づいて実施する。
- 算定日ごとの支援記録を整備する:支援実施日・職員名・資格・支援内容を日次で記録し、勤怠記録と紐付けて管理する。
専門的支援加算は、専門職を配置することで支援の質を高めながら収入も増加させる仕組みです。PT・OT・STのパート採用から始める事業所も多く、週数日の配置から段階的に体制を整えることも可能です。算定要件と記録整備の確認は必ず指定権者への確認と告示の最新版で行ってください。
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