就労継続支援B型の熱中症対策研修、作業中と送迎中のリスクと予防の具体策。

就労継続支援B型の熱中症対策研修、作業中と送迎中のリスクと予防の具体策。 福祉事業の開業と運営





就労継続支援B型の熱中症対策研修、作業中と送迎中のリスクと予防の具体策。


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就労継続支援B型では、農作業・屋外作業・換気の悪い作業場での生産活動を行う事業所があります。また、送迎車の乗降も夏季は熱中症リスクの高い場面です。熱中症は重症になると死亡につながる緊急事態であり、予防と早期対応を全職員で共有することが重要です。

この記事では、B型で起きやすい熱中症のリスク場面、予防策(WBGT・水分補給・環境整備)、初期症状の見分け方、重症時の対応手順を整理します。

熱中症が起きやすいB型の3つの場面

B型での熱中症発生リスクが高い場面は次のとおりです。

場面 リスクの要因
農作業・屋外作業 直射日光・高温多湿の環境・長時間の屋外滞在。休憩場所が遠い場合もある
換気不十分な作業場(倉庫・工場) 空調設備が不十分な建物。機械の廃熱で室温が上がる。窓が少ない密閉空間
送迎車の乗降・駐車中 停車中の車内は短時間で高温になる。乗降時に直射日光を受ける。車内で待機させない

利用者の中には、向精神薬や抗てんかん薬を服用している方がいます。これらの薬は発汗や体温調節の機能に影響することがあり、熱中症リスクが高まる場合があります。服薬情報を把握した上で、個別の注意を払います。

WBGT(暑さ指数)を活用した予防判断の基準

環境省の「熱中症予防情報サイト」では、WBGT(暑さ指数)をもとにした行動指針が示されています。WBGTは気温・湿度・輻射熱を合わせた指標で、熱中症リスクの判断に使います。

WBGT(暑さ指数) 危険レベル 作業への対応例
25未満 ほぼ安全 通常作業。水分補給を継続する
25以上28未満 注意 積極的な水分補給。高齢者・服薬中の利用者は特に注意
28以上31未満 警戒 激しい作業を避ける。涼しい場所での休憩を増やす
31以上 厳重警戒・危険 屋外作業の中止を検討。作業内容・場所の変更

WBGTの数値は環境省のサービス(無料)で地域ごとに確認できます。作業開始前にWBGTを確認することを日課にします。

熱中症予防のための4つの具体策

予防策は「環境の整備」「水分・塩分の補給」「体調管理」「服薬への配慮」の4つで考えます。

  • 環境の整備:作業場の換気・扇風機・スポットクーラーの設置。屋外作業にはテントや日よけを用意する。休憩は必ず涼しい場所で行う
  • 水分・塩分の補給:作業開始前・作業中(30分に1回程度)・作業終了後に水分を補給する。汗をかく作業では塩分も補給する。利用者が自分で補給できているか職員が確認する
  • 体調管理:来所時に体調を確認する。前日の睡眠・朝食の状態も聞く。体調不良を申告しにくい利用者には、視覚的なシート(顔の表情カードなど)を使う
  • 服薬への配慮:向精神薬・抗てんかん薬・利尿剤等の服薬状況を事前に把握する。主治医からの注意事項がある場合は作業中の注意事項に反映させる

熱中症の症状と重症度の見分け方

熱中症は症状の程度によって対応が変わります。重症度は環境省・消防庁が示す分類(I度・II度・III度)で整理できます。

重症度 主な症状 対応
I度(軽症) めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の発汗 涼しい場所に移動・水分・塩分補給。回復すれば救急搬送不要
II度(中等症) 頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感。自力で水が飲める状態 涼しい場所で安静・経口補水液などで水分補給。回復しない場合は医療機関を受診
III度(重症) 意識障害・けいれん・高体温(40度以上)。自力で水が飲めない 即座に119番通報。体を冷やしながら救急車を待つ

III度の症状(意識がない・けいれん・呼びかけに反応しない)が1つでもある場合は、迷わず119番通報します。「様子をみる」は適切でありません。

重症時の緊急対応手順

意識障害が疑われる場合の手順は次のとおりです。

  1. 涼しい場所に移動させる:できるだけ速やかに空調の効いた室内または日陰に移動する
  2. 119番通報する:意識の状態・症状・利用者の年齢・服薬情報を伝える
  3. 体を冷やす:首・脇の下・足の付け根に濡れたタオルや保冷剤を当てる。うちわや扇風機で風を送る
  4. 水分補給は意識がある場合のみ:意識がない状態では水分を飲ませない(誤嚥のリスク)
  5. 救急隊員へ引き継ぐ:発見時刻・症状の経過・体温・実施した冷却処置・服薬情報を伝える

研修で確認する3つのこと

熱中症対策研修では、次の3点を全職員で確認します。

  1. WBGTの確認方法と作業変更の判断基準:31以上になったら屋外作業を中止する基準を共有する
  2. 症状の重症度と対応の分かれ目:「自力で水が飲める→II度・飲めない→III度で119番」という基準を声に出して確認する
  3. 利用者ごとの服薬・注意事項の確認:熱中症リスクが高い利用者(服薬中・高齢者・体温調節が難しい方)の名前と注意事項を確認する

研修は夏季の前(5月〜6月ごろ)に実施することで、シーズン中に職員の意識を高めた状態で作業に入れます。

まとめ

就労継続支援B型の熱中症対策研修では、農作業・屋外作業・換気不十分な作業場・送迎車という4つのリスク場面を職員全員で把握します。WBGT31以上での屋外作業中止基準、水分・塩分補給のルール、向精神薬等の服薬情報の把握が予防の柱です。症状が現れた場合は重症度(I〜III度)で対応を判断し、意識障害が疑われる場合は迷わず119番通報します。研修はシーズン前(5〜6月)に実施します。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第40条・第84条・第202条。環境省「熱中症予防情報サイト」暑さ指数(WBGT)の基準。作成日:2026年10月。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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