エステサロンのメニュー設計。施術時間・原価・利益の3軸でコースを組み立てる。

エステサロンのメニュー設計。施術時間・原価・利益の3軸でコースを組み立てる。 エステサロンの開業

エステサロンのメニュー設計では「時間あたりの粗利」が基準になります。60分8,000円と120分16,000円はどちらも時間単価8,000円/時で同じに見えますが、120分メニューは1日の回転数が半分になります。60分9,000円(時間単価9,000円/時)と120分16,000円(8,000円/時)を比べると、ベッド1台・1日8時間の場合の月次粗利に約12万円の差が出ます。

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1台あたりの最大回転数と施術時間の関係

エステサロンの売上は「客単価×回転数×ベッド数×営業日数」で決まります(売上の計算の記事参照)。1台あたりの最大回転数は施術時間と準備時間の合計で決まります。

施術時間別の1台あたり最大回転数(営業時間10時間・準備10分の場合)※冒頭の概算は8時間ベース・以降の表はすべて10時間ベース
施術時間 施術+準備の合計 1日の最大回転数 月25日の最大件数
45分 55分 10.9件→10件 250件
60分 70分 8.6件→8件 200件
90分 100分 6.0件→6件 150件
120分 130分 4.6件→4件 100件

準備時間はシーツ交換・ベッド準備等。実際の回転数は施術の種類・準備の内容によって変わります。

120分コースを主力メニューにすると、60分コースの半分の件数しか施術できません。月商を最大化するには時間あたりの粗利を比較することが重要です。

時間あたり粗利でメニューを比較する

メニューの優劣は「客単価」ではなく「時間あたり粗利(粗利÷施術時間)」で判断します。粗利率は公庫BENCHの平均値83%を使って試算します。

主なメニュー構成の時間あたり粗利の比較(粗利率83%)
メニュー 施術時間 客単価 粗利(件) 時間あたり粗利
フェイシャルAコース 60分 8,000円 6,640円 6,640円/時
フェイシャルBコース 60分 9,000円 7,470円 7,470円/時
フェイシャルCコース 90分 12,000円 9,960円 6,640円/時
フェイシャルDコース 120分 16,000円 13,280円 6,640円/時
ボディコース(高単価) 90分 15,000円 12,450円 8,300円/時

60分9,000円(時間単価7,470円/時)と90分12,000円(6,640円/時)を比べると、60分コースの方が時間あたり粗利が高くなります。ただし120分16,000円は客単価が高い分、1件あたりの粗利(13,280円)は多く、顧客の満足度が高い・リピートにつながりやすいというメリットがあります。

月次粗利の総額でメニューを比較する

ベッド1台・月100件(1日4件・25日)を上限として、各メニュー構成の月次粗利を比較します。

ベッド1台・月100件の場合の月次粗利の比較
メニュー 施術時間 客単価 月最大件数 月商 月次粗利
60分・8,000円 60分 8,000円 200件(10時間÷70分×25日) 1,600,000円 1,328,000円
60分・9,000円 60分 9,000円 200件 1,800,000円 1,494,000円
90分・12,000円 90分 12,000円 150件(10時間÷100分×25日) 1,800,000円 1,494,000円
120分・16,000円 120分 16,000円 100件(10時間÷130分×25日) 1,600,000円 1,328,000円

60分9,000円と90分12,000円は月商・月次粗利が同じになります。しかし実際には1日の予約の埋まり方(途中に空き時間が出る)や、顧客の好むコース時間によって差が生じます。施術時間が短いほど空き時間を作りやすく、長いほど隙間なく埋めにくいという実務上の特性もあります。

原価率が高いメニューが時間を圧迫する問題

原価率が高いメニュー(脱毛のカートリッジコストが高い場合等)は、粗利率が下がり時間あたりの粗利も下がります。

原価率の違いが時間あたり粗利に与える影響(60分・客単価10,000円)
メニューの種類 客単価 原価率 粗利率 1件あたり粗利 時間あたり粗利
フェイシャル(消耗品少) 10,000円 10% 90% 9,000円 9,000円/時
フェイシャル(公庫平均) 10,000円 17% 83% 8,300円 8,300円/時
脱毛(カートリッジ費用込) 10,000円 25% 75% 7,500円 7,500円/時
脱毛(カートリッジ費用高) 10,000円 35% 65% 6,500円 6,500円/時

同じ客単価・同じ施術時間でも、原価率が35%のメニューは原価率10%のメニューより時間あたり粗利が2,500円低くなります。月200件の場合、この差は月50万円の粗利差になります。原価率の高いメニューをラインナップに加える場合は、客単価を引き上げるか施術時間を短縮しないと収益性が下がります。

単品メニューとコース・回数券の組み合わせ

単品メニューだけでは客単価に上限があります。回数券・コースを組み合わせることで、1回の来店あたりの売上と来店頻度を上げることができます。

単品・回数券・定期コースの客単価と来店頻度への影響
販売形態 客単価(1回) 来店頻度 年間LTV(例)
単品(都度払い) 10,000円 不定期(月0〜2回) 0〜240,000円
回数券(5回分・10%引き) 9,000円×5=45,000円 月1〜2回 45,000〜90,000円(1〜2セット)
月定額プラン(月2回・22,000円/月) 11,000円/回 月2回(固定) 264,000円

月定額プランは単品より1回あたりの客単価が高く、来店頻度が固定されるため売上が安定します。ただし特商法(特定継続的役務提供)の規制が適用されるため、中途解約・クーリングオフの規定を契約書に明示する必要があります(回数券・コース販売の記事参照)。

メニュー設計の実務上のポイント

  • 主力メニューは60〜90分・時間あたり粗利が最大になる設定を選ぶ:計算上の時間あたり粗利を先に出してから価格を決める。
  • ロングコースは「追加オプション」として設計する:120分コースを単体で売るより、60分コース+オプション30分の方が、売上を確保しつつ途中で終了できる柔軟性が生まれる。
  • 原価率の確認を先に行う:新メニューを作る前に使用する消耗品・カートリッジの1件あたりコストを計算し、粗利率が許容範囲内かを確認する。

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この記事は、fufumumu_design(当方)が公表資料をもとに整理した情報です。記載の内容は情報提供を目的としており、メニュー設計・経営コンサルタントの相談・代行は行っていません。粗利率の計算は公庫「小企業の経営指標調査」(2025年度・エステティック業)の平均値を使用しています。最終確認:2026年10月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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