就労継続支援B型の加算、種類と算定要件を整理する。
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就労継続支援B型の月間収入は、基本報酬に各種加算を上乗せした合計で決まります。基本報酬は定員規模と前年度の平均工賃月額によって変わりますが、加算を算定できるかどうかで月の収入は大きく変わります。この記事では、処遇改善加算系を除く主要な加算の種類・算定要件・取得の難易度を整理します。
就労継続支援B型の報酬は、基本報酬と加算の合計で決まる。
就労継続支援B型の月間収入を見積もるとき、基本報酬だけを積み上げても実態と合いません。加算を組み合わせると、同じ定員・稼働率でも月の報酬額が変わるからです。
基本報酬は「定員規模(5区分)×前年度平均工賃月額(14区分)×利用者延べ数」で計算されます。これに対して加算は、事業所の体制・実績・提供サービスの内容に応じて上乗せされます。
加算は大きく2種類に分けられます。ひとつは「体制加算」で、職員の配置や事業所の設備・契約内容に基づいて毎月一定単位が算定されるものです。もうひとつは「実績加算」で、利用者の個別の状況や行動(就労移行・欠席・施設外就労等)に対して算定されるものです。
主な加算の一覧と算定難易度
処遇改善加算系を除く主な加算の概要をまとめます。
| 加算名 | 算定のタイミング | 主な要件 | 算定の難易度 |
|---|---|---|---|
| 目標工賃達成加算 | 月単位(延べ利用者数に乗じる) | 平均工賃月額が目標水準を達成していること | 中〜高 |
| 就労移行支援体制加算 | 1人1日 | 前年度に一般就労に移行した実績がある | 高 |
| 福祉専門職員配置等加算 | 月単位 | 有資格職員の配置割合(Ⅰ〜Ⅲの3区分) | 中 |
| 欠席時対応加算 | 1回 | 欠席時に連絡・相談援助の対応と記録がある | 低 |
| 食事提供体制加算 | 1日 | 施設内で食事を提供している | 低〜中 |
| 延長支援加算 | 30分単位 | 個別支援計画に基づく開所時間外の支援 | 低 |
| 施設外就労加算 | 1人1日 | 請負契約に基づき利用者が施設外で就労した | 中 |
| 施設外支援加算 | 1人1日 | 個別支援計画に基づき施設外で支援を行った | 中 |
算定単位数は告示523号(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービスの報酬の算定構造)の別表第14「就労継続支援B型」欄に定められています。改定があった場合は厚生労働省が公表する最新版を確認してください。
目標工賃達成加算は、工賃の向上実績に対して算定される。
目標工賃達成加算は、利用者に支払う平均工賃月額が都道府県の工賃向上計画の目標額を達成した場合に算定できます。加算にはⅠとⅡの2区分があり、達成した工賃水準に応じて異なる単位数が設定されています。
算定の流れは次のとおりです。前年度の1か月あたりの平均工賃月額を計算し(利用者全員に支払った工賃総額÷延べ利用者数(月数換算))、都道府県の定める目標工賃月額と比較します。要件を満たしていれば、翌年度に加算の体制届出を行い、算定が開始されます。
実務上の注意点は、工賃の原資となる生産活動収支が安定していないと算定を維持できない点です。生産活動収入が落ちれば工賃水準も維持できなくなり、翌年度に加算が外れます。加算取得を目指す事業所では、生産活動の収益安定が前提条件になります。
また、都道府県ごとに目標工賃の水準が異なります。自事業所が所在する都道府県の工賃向上計画(毎年公表)を確認し、目標となる平均工賃月額の水準を把握しておくことが必要です。
就労移行支援体制加算は、一般就労への移行実績で算定される。
就労移行支援体制加算は、前年度に利用者が一般就労(雇用契約に基づく就労)に移行した実績がある場合に算定できます。加算は移行した実績に対応して、利用者1人1日の単位で算定されます。
「一般就労への移行」とは、雇用契約に基づいて企業等に就職することを指します。就労継続支援A型(雇用型)への移行は対象外です。また、移行後に一定期間雇用が継続していることが確認要件になります。
この加算の特徴は、算定できる期間が移行実績のあった翌年度の1年間に限られることです。移行実績がない年度の翌年は算定できません。一般就労を継続的に支援できる体制(就業・生活支援センターとの連携、企業開拓等)を整えていないと、算定を毎年確保するのは難しい加算です。
算定に際しては、移行実績の記録(企業への就職を証明する書類)と都道府県への届出が必要です。移行実績が確認できる書類の保管と、届出のタイミングを逃さないことが算定の維持につながります。
福祉専門職員配置等加算は、有資格職員の配置割合が要件になる。
福祉専門職員配置等加算は、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師などの有資格職員を一定割合以上配置している事業所に算定されます。加算にはⅠ・Ⅱ・Ⅲの3区分があり、それぞれ要件となる配置割合が異なります。
各区分の要件の概要は次のとおりです(詳細な割合は告示523号を参照してください)。
| 区分 | 算定要件の概要 |
|---|---|
| Ⅰ | 対象資格保有者が常勤換算で従業者の35%以上 |
| Ⅱ | 対象資格保有者が常勤換算で従業者の25%以上 |
| Ⅲ | 常勤配置の職員が従業者の75%以上(有資格は問わない) |
区分Ⅰが最も算定単位数が高く、Ⅲが最も低くなります。現在Ⅲを算定している事業所では、有資格者の採用・配置を進めることでⅡ・Ⅰへの区分アップが狙えます。
注意点は、「常勤換算」での計算が必要なことです。非常勤職員は週の勤務時間から換算するため、有資格者が非常勤であっても換算に含まれますが、勤務時間が少なければ換算への寄与も小さくなります。算定に際しては毎月の常勤換算数を正確に把握するための記録管理が必要です。
欠席時対応加算は、利用者が欠席した日の連絡対応に対して算定される。
欠席時対応加算は、利用者が欠席した際に事業所が連絡を受け、状況の確認・相談に応じた記録を作成した場合に1回あたりの単位で算定されます。
算定の要件は2点です。ひとつは「利用者または家族等から連絡があったこと」、もうひとつは「相談援助の実施とその記録を作成したこと」です。単に欠席の連絡を受けて記録するだけでは算定できず、担当職員が状況を確認して相談援助を行い、その内容を記録に残すことが必要です。
算定できる回数には月の上限があります。同一の利用者に対する算定は月4回までです。ただし、インフルエンザ等の感染症や医療機関の受診を理由とする欠席については、月8回までの算定が認められる特例があります(告示523号の注記を確認してください)。
この加算は手続きが比較的シンプルで、欠席記録・連絡記録を整備している事業所であれば算定しやすい加算です。記録の書式と保管の手順を統一することが、安定した算定につながります。
食事提供体制加算は、施設内での食事提供が要件になる。
食事提供体制加算は、利用者に食事を提供する体制を整えている事業所が算定できます。算定は利用者が実際に食事の提供を受けた日に対して、1日あたりの単位で計上されます。
要件は「食事の提供」の実施です。外部委託(弁当の宅配・仕出し等)でも食事提供体制として認められます。ただし、算定するには「食事の提供に要する費用」と「利用者から徴収する食材料費等」を分けて管理し、提供の記録を保持することが必要です。
なお、利用者から徴収できる食費は、食材料費に相当する実費に限られます。食材料費と一致するか、それ以下の額で徴収します。食費の徴収根拠と金額は運営規程および重要事項説明書に明記してください。
食事を提供していない事業所は導入を検討する価値があります。利用者にとって「食事が出る」かどうかは通所のしやすさに直結するため、集客にも影響します。導入にあたっては、食中毒リスクへの対応・衛生管理体制・仕入れコストの管理体制を整えることが必要です。
延長支援加算は、所定の開所時間を超えて支援した場合に算定される。
延長支援加算は、事業所として届け出ている開所時間(標準的な支援時間)を超えて利用者への支援を行った場合に、30分単位で算定されます。延長した時間の長さに応じた単位が加算されます。
算定には、個別支援計画に延長支援の必要性と内容が記載されていることが求められます。「家族の迎えが遅れて延長した」という状況での算定はできず、支援計画に基づく延長であることの記録が必要です。
実態として延長支援が発生している場合は、個別支援計画の記載と記録の整備を行ったうえで算定の届出を検討してください。家族の就労状況や通院との兼ね合いで標準時間内の終了が難しい利用者がいる場合は、アセスメント段階で延長の必要性を確認し、計画に盛り込むことで算定が可能になります。
施設外就労加算と施設外支援加算は、施設外での支援に対して算定される。
この2つの加算は、利用者が事業所の外で活動する場合に算定できる点で共通しますが、算定要件が異なります。
施設外就労加算は、利用者が企業等との請負契約に基づいて事業所の外で就労した場合に、1人1日の単位で算定されます。事業所として外部の企業と請負契約を結び、利用者を外部の作業場所で就労させる形態が対象です。清掃・農作業・ビルメンテナンスなど、外部から仕事を受注してB型利用者が施設外で作業を行っている事業所で算定しやすい加算です。
施設外支援加算は、個別支援計画に基づき、利用者が事業所の外で支援を受けた場合に算定されます。施設外就労加算と異なり、「請負契約に基づく就労」でなくても対象になります。地域の企業・農場・カフェ等での体験的な活動や、外出を伴う支援も含まれます。ただし、個別支援計画への記載が必須で、計画外の外出活動では算定できません。
どちらの加算も、算定には事前の計画・活動記録・安全確保体制(引率職員の配置等)が必要です。算定単位数および算定できる利用者数の上限については、告示523号の該当箇所を確認してください。
処遇改善加算系は、別の計算体系で算定される。
福祉・介護職員等処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算は、この記事で取り上げた加算とは異なる算定体系です。これらは月の報酬総額(基本報酬+上記の各加算)に加算率を掛けて算定されるため、事業所の規模・体制によって額が大きく変わります。
処遇改善加算の要件・計算方法・B型での取り方については、「就労継続支援A型・B型の処遇改善加算、何が必要で、どう計算するか。」を参照してください。
まとめ
就労継続支援B型で算定できる主な加算は、体制を整えて届け出るものと、支援の実績に応じて算定されるものに分けられます。欠席時対応加算・延長支援加算は記録と届出の整備で比較的算定しやすい加算です。目標工賃達成加算・就労移行支援体制加算は要件の難易度が高いですが、算定できれば月の収入への影響が大きく、事業所の収益安定に直結します。
福祉専門職員配置等加算は、現在Ⅲを算定している事業所が有資格者の採用を進めることで段階的に区分アップが狙える加算です。施設外就労加算・施設外支援加算は事業所の支援形態によって算定可能かが変わるため、現行の支援内容と照らし合わせて判断してください。
これらの加算が月の収支にどれだけ影響するかは、定員・稼働率・工賃水準との組み合わせで変わります。加算込みの月次収支の試算は、下記のシミュレーターでご確認いただけます。
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出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービスの報酬の算定構造(告示523号)別表第14。指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第201条・第202条。作成日:2026年10月。


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