通所介護(デイサービス)の避難訓練、非常災害対応の年2回義務と実施手順。
通所介護では、非常災害に備えた避難訓練を年2回以上実施することが指定基準(第100条の2)と関連する解釈通知で求められています。BCPの策定・研修・訓練の義務(令和6年度から経過措置終了)と合わせて、「災害対応の実践力」が行政指導でも確認されるようになっています。
避難訓練は「やった」という記録があることだけでなく、「実際に職員と利用者が動いた」という実態が求められます。火災・地震・水害など想定する災害の種類によって、避難の手順と注意点が異なります。
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避難訓練の義務と実施頻度の確認
指定基準第100条の2に基づく非常災害対策の義務は次のとおりです。
| 義務の内容 | 頻度 |
|---|---|
| 非常災害に関する具体的な計画(BCP)の策定 | 策定済みであること |
| 非常災害時の対応の研修 | 年1回以上 |
| 非常災害時の対応の訓練 | 年2回以上(指定基準と解釈通知による) |
| 訓練の結果・課題の記録と改善 | 訓練のたびに |
「BCP研修」と「避難訓練」は別の要件です。BCP研修でBCPの内容を職員に伝えることと、実際に避難の動きを体験する訓練は、別々に実施して記録を残します。
火災避難訓練の実施手順
通所介護で最も実施されているのが火災を想定した避難訓練です。基本的な手順は次のとおりです。
- 発見・通報:火災を発見した職員が「火事だ!」と大声で周知し、消防(119番)・管理者に連絡する
- 初期消火の判断:火が小さければ消火器で初期消火を試みる。炎が天井に届くほど大きければ消火より避難を優先する
- 利用者への誘導指示:「落ち着いてください。外に出ます」と声をかけ、パニックを防ぐ
- 避難誘導:移動できる利用者は歩行誘導。車いすの利用者は職員がひとりずつ担当して誘導する
- 人員確認:避難完了後、全利用者・職員の人員を確認する。「全員避難完了」を報告できる状態にする
- 二次避難の判断:一次集合場所が危険な場合、二次避難場所に移動する
避難誘導で確認しておくべきこと
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 避難経路 | 非常口の場所・複数の避難経路を全職員が把握している |
| 車いす利用者の担当 | 誰が誰の車いすを誘導するか事前に割り当てる |
| 歩行困難な利用者の対応 | 介助が必要な利用者のリストと担当者を決めておく |
| 電気・ガスの遮断 | 誰がどのタイミングで遮断するかを決めておく |
| 名簿・書類の持ち出し | 利用者の緊急連絡先が記載された書類の保管場所と持ち出し担当を決める |
地震を想定した訓練の注意点
地震では「揺れている最中に動かない」が原則です。火災避難と異なる点を訓練で確認します。
- 揺れを感じたら「まず机の下・柱のそば・身を低くする」を利用者に伝え、誘導する
- 揺れが収まってから安全確認・避難開始。揺れの最中に動かせない
- 倒れた棚・割れたガラスへの対応手順を確認する
- 余震を想定して、一度避難した後もすぐには建物に戻らない
水害を想定した訓練:垂直避難の考え方
ハザードマップで浸水リスクのある地域の事業所は、水害を想定した訓練も実施します。水害時の基本は「早めの避難」か「垂直避難」です。
- 早めの避難:洪水警報・高齢者等避難(警戒レベル3)の段階で、利用者を家族に引き渡すか送迎で自宅に戻す。浸水が始まってからでは車両の移動が危険になる
- 垂直避難(建物の上の階へ移動):時間がなく建物の外に出られない場合、1階から2階以上に移動する。事前に「2階に避難できる人数・場所」を確認しておく
- 車いす利用者の垂直避難:階段での移動が困難なため、担架・介助者の確保を事前に計画しておく
避難訓練は火災・地震だけでなく、1年を通じて火災と水害(または地震)の2種類で実施すると、年2回の要件を満たしながら異なる場面を訓練できます。
訓練の記録と改善への活用
訓練が終わったら、必ず振り返りの時間をとります。「スムーズにいかなかった点」「気づいた課題」を記録し、次の訓練と日常のケアに活かします。
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 実施日時 | 〇年〇月〇日 〇時〜〇時 |
| 想定した災害 | 火災 / 地震 / 水害 |
| 参加者 | 職員〇名・利用者〇名 |
| 実施内容 | 避難経路の確認・誘導訓練・消火器操作など |
| 所要時間 | 〇分(目標:全員が〇分以内に避難集合) |
| 課題・気づき | 車いすの誘導に時間がかかった・非常口の鍵の場所を知らない職員がいた |
| 改善策 | 鍵の保管場所を全員に周知・次回訓練で車いす誘導をリハーサル |
この記録は行政の実地指導で確認されます。「訓練を行いました」という記録だけでなく、「課題があり改善しました」という記録があることで、組織的な取り組みを示せます。
研修(BCP研修)との違いを整理する
BCP研修は「計画の内容を職員が理解する」ための研修です。避難訓練は「実際の行動を練習する」訓練です。それぞれ別に記録を残します。
BCP研修での研修内容については、通所介護のBCP研修も参照してください。
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通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務も参照してください。
毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。
(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第100条の2・消防法)


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