通所介護(デイサービス)の褥瘡予防研修、発見・報告・スキンケアの手順と通所でできること。
褥瘡(じょくそう)は、皮膚が長時間圧迫されることで血流が途絶え、組織が壊死する状態です。通所介護の利用者の中には、自宅での生活で皮膚に問題が生じやすい方がいます。入浴介助や着替えの際に早期発見につなげることが、通所介護の重要な役割のひとつです。
褥瘡は「治療するもの」というイメージが強いですが、発生させない予防と早期発見が最優先です。デイサービスで実施できる予防・観察・連携の手順を全職員が知っておく必要があります。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)
褥瘡が発生しやすい利用者の特徴
褥瘡は誰にでも起きますが、次のような状態の利用者は特にリスクが高くなります。
| 分類 | 具体的な要因 |
|---|---|
| 身体的要因 | 自力での体位変換が困難・栄養状態が悪い(低アルブミン)・皮膚が薄い・浮腫がある |
| 疾患的要因 | 糖尿病(皮膚の治癒力低下)・脳卒中後遺症(麻痺側の感覚低下)・末梢血管疾患 |
| 生活上の要因 | 同一体位で長時間過ごす・尿・便による皮膚の浸潤・入浴頻度が少ない |
通所介護の場合、在宅での生活状況が直接影響します。「自宅での体位変換ができていない」「栄養が十分に摂れていない」といった情報も、ケアマネを通じて把握しておくことが予防につながります。
褥瘡ができやすい部位を知る
褥瘡は骨が皮膚の近くに位置する部位(骨突出部)に発生しやすくなります。
- 仙骨部(お尻の中央):最も多い。座位・仰臥位で継続的に圧迫される
- かかと(踵部):仰臥位で浮かせない場合に発生しやすい
- 大転子部(太もものつけ根外側):側臥位で圧迫される
- 肘・肩甲骨部:座位姿勢が長い場合
- 耳介・後頭部:枕・いす背もたれとの接触部位
入浴介助・着替え時に、これらの部位を意識的に観察します。
通所介護でできる褥瘡の予防と早期発見
体圧分散の工夫
デイサービスで長時間座位を保つ利用者には、体圧分散クッションの使用・定期的な姿勢変換の声かけが有効です。「ずっと同じ姿勢でいる」「いつも同じ場所だけが圧迫されている」状態を防ぎます。
入浴・着替え時の皮膚観察
入浴介助や更衣の際は、骨突出部を中心に皮膚の状態を観察します。発見したら記録し、管理者・看護職員に報告します。
| 状態 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 発赤(赤み) | 押すと白くなるか(可逆的)・白くならないか(組織損傷の可能性) |
| 水疱(水ぶくれ) | つぶさない・破らない・すぐに看護職員へ報告 |
| びらん・潰瘍 | 皮膚がめくれている・くぼんでいる場合は医療職への連絡が必要 |
| 浸潤(じゅくじゅく) | 尿・便・汗による皮膚の湿潤。清潔保持と保湿が重要 |
褥瘡の重症度(ステージ)の目安を知る
発見時に重症度をケアマネや看護師に伝えるため、ステージの目安を把握しておくと役立ちます。判断は医療職が行いますが、職員が「どの程度の状態か」を伝えられることが早期連携につながります。
| ステージ | 皮膚の状態 | 職員がとるべき行動 |
|---|---|---|
| Stage I(疑い) | 皮膚に赤みがある・押すと白くなる(可逆的) | 管理者・看護職員に報告。体圧を分散する対応を開始 |
| Stage I(要注意) | 赤みが残る・押しても白くならない(不可逆的) | すぐに看護職員へ。ケアマネへの連絡を管理者が判断 |
| Stage II | 水疱・びらん(皮膚表層が損傷している) | 触らない・看護職員へ即報告・医師への受診を検討 |
| Stage III以上 | 潰瘍・深部組織の損傷が疑われる | 医療機関への受診。通所介護の範囲を超えた対応が必要 |
スキンケア(保湿)の実施
皮膚の乾燥は褥瘡リスクを高めます。入浴後の保湿は重要なケアです。個別の指示がない場合も、乾燥が目立つ部位への保湿は予防として実施します。
発見したときの報告と連携
通所介護は医療機関ではないため、褥瘡の治療はできません。観察・報告・連携が役割です。
- 発赤や水疱を発見したら、すぐに看護職員・管理者に報告する
- 状態を記録に残す(部位・大きさ・色・状態の写真があれば添付)
- 居宅介護支援事業所(ケアマネ)・訪問看護・かかりつけ医へ情報共有する
- 在宅での体位変換・保湿の状況を家族に確認・案内する
発見・報告を「気のせいかもしれない」と見送ることが悪化につながります。疑いの段階で報告することが大切です。
研修の実施と記録
褥瘡予防研修は、頻度の義務が明示されていませんが、年1回以上の実施が一般的です。入浴介助担当者・新入職員が「どこを・どう観察するか」を知らないまま現場に入ることがないよう、具体的な観察ポイントと報告手順を研修で伝えます。
研修記録には、実施日・参加者・テーマ・使用資料を残します。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)
通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務も参照してください。
毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。
(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)・日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」(2022年))


コメント