通所介護(デイサービス)の褥瘡予防研修、発見・報告・スキンケアの手順と通所でできること。

通所介護(デイサービス)の褥瘡予防研修、発見・報告・スキンケアの手順と通所でできること。 福祉事業の開業と運営





通所介護(デイサービス)の褥瘡予防研修、発見・報告・スキンケアの手順と通所でできること。

通所介護(デイサービス)の褥瘡予防研修、発見・報告・スキンケアの手順と通所でできること。

褥瘡(じょくそう)は、皮膚が長時間圧迫されることで血流が途絶え、組織が壊死する状態です。通所介護の利用者の中には、自宅での生活で皮膚に問題が生じやすい方がいます。入浴介助や着替えの際に早期発見につなげることが、通所介護の重要な役割のひとつです。

褥瘡は「治療するもの」というイメージが強いですが、発生させない予防と早期発見が最優先です。デイサービスで実施できる予防・観察・連携の手順を全職員が知っておく必要があります。

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褥瘡が発生しやすい利用者の特徴

褥瘡は誰にでも起きますが、次のような状態の利用者は特にリスクが高くなります。

褥瘡リスクを高める要因
分類 具体的な要因
身体的要因 自力での体位変換が困難・栄養状態が悪い(低アルブミン)・皮膚が薄い・浮腫がある
疾患的要因 糖尿病(皮膚の治癒力低下)・脳卒中後遺症(麻痺側の感覚低下)・末梢血管疾患
生活上の要因 同一体位で長時間過ごす・尿・便による皮膚の浸潤・入浴頻度が少ない

通所介護の場合、在宅での生活状況が直接影響します。「自宅での体位変換ができていない」「栄養が十分に摂れていない」といった情報も、ケアマネを通じて把握しておくことが予防につながります。

褥瘡ができやすい部位を知る

褥瘡は骨が皮膚の近くに位置する部位(骨突出部)に発生しやすくなります。

  • 仙骨部(お尻の中央):最も多い。座位・仰臥位で継続的に圧迫される
  • かかと(踵部):仰臥位で浮かせない場合に発生しやすい
  • 大転子部(太もものつけ根外側):側臥位で圧迫される
  • 肘・肩甲骨部:座位姿勢が長い場合
  • 耳介・後頭部:枕・いす背もたれとの接触部位

入浴介助・着替え時に、これらの部位を意識的に観察します。

通所介護でできる褥瘡の予防と早期発見

体圧分散の工夫

デイサービスで長時間座位を保つ利用者には、体圧分散クッションの使用・定期的な姿勢変換の声かけが有効です。「ずっと同じ姿勢でいる」「いつも同じ場所だけが圧迫されている」状態を防ぎます。

入浴・着替え時の皮膚観察

入浴介助や更衣の際は、骨突出部を中心に皮膚の状態を観察します。発見したら記録し、管理者・看護職員に報告します。

皮膚の状態の観察ポイント
状態 見るべきポイント
発赤(赤み) 押すと白くなるか(可逆的)・白くならないか(組織損傷の可能性)
水疱(水ぶくれ) つぶさない・破らない・すぐに看護職員へ報告
びらん・潰瘍 皮膚がめくれている・くぼんでいる場合は医療職への連絡が必要
浸潤(じゅくじゅく) 尿・便・汗による皮膚の湿潤。清潔保持と保湿が重要

褥瘡の重症度(ステージ)の目安を知る

発見時に重症度をケアマネや看護師に伝えるため、ステージの目安を把握しておくと役立ちます。判断は医療職が行いますが、職員が「どの程度の状態か」を伝えられることが早期連携につながります。

ステージ 皮膚の状態 職員がとるべき行動
Stage I(疑い) 皮膚に赤みがある・押すと白くなる(可逆的) 管理者・看護職員に報告。体圧を分散する対応を開始
Stage I(要注意) 赤みが残る・押しても白くならない(不可逆的) すぐに看護職員へ。ケアマネへの連絡を管理者が判断
Stage II 水疱・びらん(皮膚表層が損傷している) 触らない・看護職員へ即報告・医師への受診を検討
Stage III以上 潰瘍・深部組織の損傷が疑われる 医療機関への受診。通所介護の範囲を超えた対応が必要

スキンケア(保湿)の実施

皮膚の乾燥は褥瘡リスクを高めます。入浴後の保湿は重要なケアです。個別の指示がない場合も、乾燥が目立つ部位への保湿は予防として実施します。

発見したときの報告と連携

通所介護は医療機関ではないため、褥瘡の治療はできません。観察・報告・連携が役割です。

  1. 発赤や水疱を発見したら、すぐに看護職員・管理者に報告する
  2. 状態を記録に残す(部位・大きさ・色・状態の写真があれば添付)
  3. 居宅介護支援事業所(ケアマネ)・訪問看護・かかりつけ医へ情報共有する
  4. 在宅での体位変換・保湿の状況を家族に確認・案内する

発見・報告を「気のせいかもしれない」と見送ることが悪化につながります。疑いの段階で報告することが大切です。

研修の実施と記録

褥瘡予防研修は、頻度の義務が明示されていませんが、年1回以上の実施が一般的です。入浴介助担当者・新入職員が「どこを・どう観察するか」を知らないまま現場に入ることがないよう、具体的な観察ポイントと報告手順を研修で伝えます。

研修記録には、実施日・参加者・テーマ・使用資料を残します。

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▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)

通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務も参照してください。

毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。

(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)・日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)」(2022年))


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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