通所介護(デイサービス)のBCP研修、何が義務で何を訓練すればよいか。

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「送迎中に地震が起きたら、どうするか」

デイサービスでBCPを考えるとき、施設だけでなく「送迎中の被災」という場面を想定に入れる必要があります。送迎車が複数台出ている状態で大地震が発生したとき、各車両の運転者がどう判断し、誰に連絡し、利用者をどこに連れて行くか——この手順がBCPに盛り込まれていない事業所は少なくありません。

BCPの策定・研修・訓練の義務は、令和3年度の介護報酬改定で設けられ、令和6年4月から完全義務化されています。根拠条文は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」第100条の2です。研修・訓練はともに年1回以上が義務です(解釈通知 第三の十一の(14))。

BCPは「自然災害用」と「感染症用」の2種類

厚生労働省は通所介護向けのBCP作成ツール(自然災害用・感染症用)を無償公開しています。2種類を分けて作成することが推奨されています。

自然災害用BCPには、施設の被災と利用者の安全確保・職員参集・代替サービスの確保などを記載します。感染症用BCPには、業務縮小・代替体制・利用者や家族への連絡・保健所との連携などを記載します。

デイサービス特有のBCP記載事項

通所介護ならではの状況として、BCPに以下を盛り込んでおくことが有効です。

  • 送迎中の被災手順:①車を安全な場所に停車 ②施設・管理者に状況報告 ③家族への連絡 ④必要に応じて近隣の避難場所に移動。担当者・連絡先を車内に掲示しておく
  • 利用者在所中の被災手順:避難誘導の担当分担・家族への連絡・しばらく留め置く場合の対応(食事・水・服薬)
  • 医療ニーズへの対応:服薬管理が必要な利用者の薬の保管場所・緊急時の主治医連絡先

訓練はデイサービスの現場を想定して行う

解釈通知では「机上訓練か実地訓練かを問わない」としながらも、PDCAサイクルによりBCPの見直しにつなげることが重要とされています。

デイサービスで取り組みやすい訓練の例:

  • 大雨警報が出たときに送迎を中止・家族連絡を入れる手順を全員で確認する机上訓練
  • 利用者在所中に地震が起きた想定での避難誘導訓練(年1回)
  • 感染者が出たときに業務をどう縮小するかのシナリオ演習

BCP未策定は令和6年4月から減算の対象

BCPを策定していない、または研修・訓練を実施していない事業所には、令和6年4月から「業務継続計画未策定減算」として基本報酬から1%の減算が適用されます。研修・訓練の実施記録を残すことで、減算の対象外であることを示すことができます。記録は運営指導でも確認されます。

研修の記録と保管

BCP研修の実施記録には、実施日時・研修名・参加者(全員分)・研修の内容・改善点を含めることが一般的です。運営指導では参加者の範囲(全職員が対象になっているか)も確認されることがあります。

まとめ:通所介護のBCP研修・訓練の要点

  • 研修・訓練はともに年1回以上の義務(根拠:第100条の2・解釈通知 第三の十一の(14))
  • BCPは「自然災害用」と「感染症用」の2本を用意する
  • デイサービス特有の課題(送迎中被災・在所中の避難誘導)を明示的に盛り込む
  • BCP未策定は令和6年4月から基本報酬1%減算の対象
  • 記録を残し、運営指導の確認に備える
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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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