就労継続支援B型の虐待防止研修は、年1回以上が義務
就労継続支援B型の虐待防止研修は、年1回以上の実施が義務づけられている。新しく採用した職員には、採用時にも必ず実施する。
根拠は国の解釈通知(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)。B型の解釈通知は居宅介護等の参照先を示す形で構成されており、虐待防止の研修回数は同通知「第三の3の(31)」(p.71〜74)に定められている。
虐待防止として義務づけられている4つの事項
| 義務の内容 | 頻度・補足 |
|---|---|
| 指針の整備 | 作成・定期的な見直し |
| 委員会の開催 | 少なくとも年1回以上・結果を全職員に周知 |
| 研修の実施 | 年1回以上・新規採用時には必ず |
| 担当者の設置 | 常時 |
出典:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)第三の3の(31) p.71〜74
B型事業所で気をつけるべき虐待の形
就労継続支援B型は、利用者が工賃を受け取りながら生産活動(作業)を行う場だ。雇用契約はなく、最低賃金法の適用外だが、「利用者は工賃をもらうために作業している」という構造があるため、他のサービスとは異なる虐待の形が起こりやすい。
経済的虐待のリスク
工賃の不払いや、実態に見合わない低額の工賃を設定することは、経済的虐待に当たりうる。前年度の平均工賃月額は報酬区分に影響するため、過度に工賃を抑えた運営は制度上も問題になる。
心理的虐待のリスク
作業効率を上げるために「どうしてこれができないのか」「もっと早くしろ」と叱責したり、無視したりすることは心理的虐待に当たりうる。利用者の働く場は、支援の場であると同時に生産の場でもあるという二重性が、職員の言動に知らず知らず影響することがある。
経済的虐待の通報義務
障害者虐待防止法第16条は、施設従事者等による虐待を発見した場合の通報義務を定めている。「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」(同法第16条第1項)。通報先は市区町村の担当窓口(障害福祉課等)。
研修で扱う内容の例
- 虐待の定義と5つの種類(身体的・性的・心理的・放棄放置・経済的)
- B型特有のリスク場面(工賃設定・作業指示・外出中の対応)
- 虐待を発見したとき・疑ったときの対応手順
- 通報義務と通報先
- 日常的なヒヤリハットの記録・共有の仕組み
委員会の進め方
虐待防止委員会は年1回以上開催する。委員会で扱う内容の例を示す。
- 前回以降のヒヤリハット・苦情・気になった事案の共有
- 工賃支払いに関するトラブルや利用者からの意見の確認
- 研修内容の検討・確認
- 指針の見直し(変更の要否確認)
- 担当者の確認
委員会の記録には、開催日時・出席者・議題・決定事項・全職員への周知の証跡(回覧サイン等)を残す。
記録の整備と保存期間
研修・委員会の記録は2年間保存する。運営指導では次の書類が確認される。
- 研修の実施記録(日時・参加者・内容・担当者のサイン)
- 虐待防止委員会の議事録(開催日時・出席者・議題・決定事項・周知の証跡)
- 担当者の設置を確認できる書類
- 指針の文書
ツールで記録様式と研修資料をまとめて用意する
就労継続支援B型の虐待防止研修の資料・確認テスト・委員会の議題と記録様式がまとまったキットを用意している。


コメント