障害福祉サービスの短期入所(ショートステイ)は、泊まりのサービスである以上、利用者がいる間は夜間も含めて職員を置き続ける必要があります。この人件費の重さが、短期入所の収支に直結します。職員を何人置けばよいか、夜間はどうするか、本体の事業所と一緒に動けるかどうかで、採算の見通しは大きく変わります。この記事では、省令の原文をもとに、短期入所の人員基準の仕組みと、24時間の配置にかかる費用の考え方を整理します。
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短期入所の人員基準は、省令第115条第3項に定められている
障害福祉サービスの指定基準は、「障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)」(以下「省令171」)に定められています。短期入所の人員基準は第115条第3項です。
省令171は、生活介護・就労移行支援・居宅介護など多くの障害福祉サービスをまとめて規定しており、短期入所については第115条から第124条に人員・設備・運営の基準が置かれています。
短期入所の人員基準の主な構成は次のとおりです。
| 職種 | 基準 |
|---|---|
| 管理者 | 1人(管理に支障がなければ兼務可) |
| 生活支援員 | 利用者の数に応じた員数(下記参照) |
| サービス管理責任者 | 基準なし(短期入所は例外) |
出典:障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(省令171)第115条第3項
多くの障害福祉サービスではサービス管理責任者の配置が必要ですが、短期入所には配置の基準がありません。これは短期入所の特徴の一つです。
生活支援員の員数は、利用者6人ごとに1人ずつ増える
省令171 第115条第3項では、生活支援員の員数を次のように定めています。
「当該日の利用者の数が六以下一以上」「当該日の利用者の数が七以上一に当該日の利用者の数が六を超えて六又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上」
(出典:省令171 第115条第3項)
具体的な人数に直すと、次のようになります。
| その日の利用者の数 | 必要な生活支援員の数 |
|---|---|
| 1人〜6人 | 1人以上 |
| 7人〜12人 | 2人以上 |
| 13人〜18人 | 3人以上 |
| 19人〜24人 | 4人以上 |
利用者が6人を超えて7人になった時点で、必要な職員が2人に増えます。定員を6人に設定した場合、1日平均の利用者が6人を超えない範囲では生活支援員は1人で足ります。ただし、利用者が1人でも7人目が入ると、その日は2人が必要です。
定員を7人以上に設定する場合は、常に2人以上の生活支援員が必要になる日があることを前提に、人件費を計算する必要があります。
短期入所は、利用者がいる間は夜間も含めて人員が必要
「泊まりのサービス」という性格から、短期入所は利用者がいる間は24時間、人員の配置が求められます。日中のみサービスを提供する通所系のサービスと違い、夜間も職員が必要です。
夜間について省令に特別な規定はなく、昼夜を問わず「その日の利用者の数」に応じた員数が必要です。このため、夜間に職員が1人配置を担当する体制(夜勤)が一般的になります。夜勤に対しては、労働協約や就業規則にもとづく夜勤手当が加算されるのが通例です。
たとえば、1人の夜勤職員に月30回の夜勤(1回あたり8〜16時間の夜間帯勤務)を担わせ、手当を1回5,000円とすると、夜勤手当だけで月15万円です。これは時給分の賃金に上乗せされるため、夜間の人件費は昼間より割高になります。
夜勤は身体的・精神的な負荷が高く、長期的な定着に影響します。開業の計画段階から、夜勤シフトの体制、職員の確保の方法を具体的に考えておくことが重要です。
単独型には2種類あり、本体との一体運営では人員の考え方が違う
省令171 第115条第3項は、単独型事業所の形によって人員の計算を2通りに分けています。
第1号:本体の事業所と一緒に配置できる形
生活介護事業所・自立訓練事業所・就労継続支援事業所・グループホーム・障害児通所支援事業所など(省令に列挙された事業所)の中で行う短期入所は、第1号にあたります。この形では、本体のサービスを提供している時間帯は、本体の利用者と短期入所の利用者を合計した数をもとに、本体の人員基準を満たす員数を置けば足りるとされています。
つまり、日中に放課後等デイサービスや生活介護を運営していて、その事業所で短期入所も行う場合、日中の時間帯は本体の職員として計算できます。短期入所のためだけに別の職員を追加で置く必要はありません。
本体のサービスを行っていない時間帯(夜間など)は、短期入所の利用者に対して基準を満たす員数が必要です。グループホームや夜間の支援体制を持つ本体事業所では、夜間も本体の職員と合算できる場合があります。本体の事業所の形と省令で確認してください。
第2号:短期入所の職員だけで24時間を回す形
第1号に該当しない事業所(単独で短期入所だけを行う事業所など)は第2号にあたります。この形では、24時間を通じて、短期入所の利用者の数に応じた生活支援員を配置する必要があります。
日中も夜間も、短期入所専用の職員が必要になるため、人件費が大きくなります。当方の収支シミュレーターで定員6人・利用者の受け入れが9割の月を試算すると、人件費が収入を上回り、赤字になる結果でした。
あわせて読みたい:短期入所の開業は、職員の配置の形で採算が決まる。24時間を短期入所の職員だけで回すと、定員6人・9割の受け入れでも赤字の試算
24時間1人を配置すると、常勤換算で約4.5人分になる
24時間×30日の勤務時間は720時間です。常勤職員1人の月の勤務時間を160時間とすると、720÷160=4.5人分の常勤換算になります。
詳しい人件費の試算は、短期入所の開業の採算の記事で説明しています。
加配(基準を上回る職員の配置)は夜間の余裕に直結する
基準の員数は最低限です。実際には、職員の休憩・休暇・急な欠勤・利用者の急変への対応などを考えて、基準を上回る員数(加配)を置く事業所がほとんどです。
当方のシミュレーターの初期値では、基準の人数に加えて0.5人(常勤換算)の加配を設定しています。加配0.5人とは、たとえばパートタイム職員が月80時間(週5日×4時間など)勤務する分に相当します。
加配を置くことで、夜勤の職員が体調不良になった際の交代要員の確保や、利用者の急変時の対応力が上がります。一方で、加配は収益に直結する利用者の対応時間を増やすわけではないため、人件費率が上がります。何人の加配が現実的かは、定員・利用者の状況・職員の雇用形態を合わせて検討する必要があります。
サービス管理責任者の配置は、短期入所には要らない
居宅介護・就労継続支援・生活介護など多くの障害福祉サービスでは、利用者の数に応じたサービス管理責任者の配置が義務づけられています。サービス管理責任者は実務要件・研修修了が必要であり、確保が難しいとされています。
短期入所は、省令171 第115条の人員基準にサービス管理責任者の規定がありません。これは短期入所の特徴の一つです。ただし、ほかの事業所と一体で行う第1号の形では、本体の事業所にサービス管理責任者の配置が必要になる場合があります。本体の事業所の基準は別途確認してください。
全国の短期入所の平均定員は7人で、規模は小さい
国の令和7年経営概況調査(令和6年度決算)では、短期入所の平均定員は調査対象337事業所の平均で7人です。定員20人以下の323事業所に限ると平均定員は5人です。
ただし、この平均は、障害者支援施設などの中で行う併設事業所や、空いている居室を使う空床利用型事業所も含んでいます。これらの形では既存の職員体制を使えるため、単独型の事業所に比べて人件費を抑えやすい事情があります。単独で新しく開業する場合の参考にする場合は、この点に注意が必要です。
出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」の短期入所の表(令和6年度決算)を当方が読み取ったものです。
人員基準を満たせているかは、その日の利用者の数で確認する
「その日の利用者の数」は、入所している利用者全員の数です。入所日と退所日は両方カウントするため、入所と退所が重なる日は人数が多くなります。定員内であっても、その日の利用者の数が6人を超えれば2人の生活支援員が必要です。
運営指導(実地指導)では、日報や勤務記録をもとに、その日の利用者の数と生活支援員の員数が対応しているかが確認されます。記録の管理は、指定を維持するための基本です。
あわせて読みたい:短期入所(ショートステイ)の報酬の仕組み。入所日と退所日を両方数え、単独型事業所は1日320単位が加わる
人員基準のまとめ
短期入所の人員基準のポイントをまとめます。
- 生活支援員の員数は「その日の利用者の数が6以下で1人、6を超えるごとに1人追加」
- サービス管理責任者の配置基準はない(短期入所の特例)
- 管理者は1人必要(兼務可)
- 利用者がいる間は夜間も含めて基準の員数が必要
- 単独型第1号(生活介護等との一体運営)では、本体のサービス提供時間は本体の職員数を合算できる
- 単独型第2号(単独で短期入所のみを行う形)では、24時間を短期入所専用の職員で賄う
- 定員6人・9割稼働の第2号では、人件費が収入とほぼ同額になりやすい
人員基準の満たし方が収支に直接影響するため、開業の前に、どの形(第1号・第2号)で行うか、夜間の体制をどうするかを具体的に計画することが重要です。
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この記事の出典
- 障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)——第115条第3項(生活支援員の員数)を確認
- 厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」——短期入所の定員・収支の平均(令和6年度決算)
- 当方の「短期入所 開業向け収支シミュレーター」——人件費の試算(2026年9月27日・定員6人・9割稼働の例)
この記事の数字は、当方が上記の資料を読み取り・計算したものです。内容の正確性には注意を払っていますが、法令・制度の解釈・適用は自治体や指定権者によって異なる場合があります。実際の開業・運営にあたっては、管轄の自治体・指定権者にご確認ください。当方は行政書士等の資格者ではなく、書類作成の代行はしません。
作成:fufumumu_design 最終更新:2026年10月
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あわせて読みたい:短期入所の損益分岐点。稼働率と定員の関係、単独型で黒字になる条件。


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