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貨物自動車運送事業輸送安全規則は、一定規模以上の事業者に安全管理規程の作成を義務づけており、その中に自然災害等への対応(BCP的な内容)が含まれる。法令上の明示的な「BCP策定義務」はないが、大口荷主との取引・Gマーク認定・運輸局の運営指導では、事業継続計画の有無が問われる場面が増えている。
安全管理規程にBCPの要素が含まれている
貨物自動車運送事業法第16条(輸送の安全に関する措置)に基づく安全管理規程は、一般貨物自動車運送事業者のうち「事業規模が一定以上(保有車両数200両以上)」の者に作成が義務づけられている。
安全管理規程に記載が求められる内容の中には、「輸送の安全に関する内部監査」「事故が発生した場合の対応方法」「緊急事態(災害等)発生時の対応体制」が含まれており、これがBCPの基礎になる。
200両未満の小規模事業者は安全管理規程の法的義務はないが、後述する理由から自主的にBCPに取り組む事業者は増えている。
荷主企業や元請けがBCPの提出を求めるケースが増えている
コロナ・豪雨・地震などを経て、荷主企業が取引先の運送業者に「BCP(事業継続計画)の有無」を確認するケースが増えた。特に食品・医薬品・インフラ関連の荷主は、供給チェーンの維持を取引条件に含めることがある。
「うちには関係ない」と思っていた中小の運送事業者がBCPを求められるケースも出てきており、取引継続の観点から準備しておくことが現実的な対応になっている。
運送業のBCPで最低限考えておく5つの項目
大掛かりな計画書でなくても、次の5点を整理しておくことがBCPの最低限の出発点になる。
| 項目 | 考えておく内容 |
|---|---|
| ① 緊急連絡体制 | 災害・事故が起きたとき、誰に・どの順で連絡するか。荷主への連絡窓口・連絡タイミングを決めておく |
| ② 代替手段の確保 | 自社車両が使えなくなった場合に頼める協力事業者・レンタル手段を把握しておく |
| ③ 重要業務の優先順位 | 人員・車両が限られた状態で、どの荷主・どのルートを優先するかを決めておく |
| ④ ドライバーの安全確保と安否確認 | 乗務中に大規模災害が発生したとき、ドライバーはどこで待機するか。安否確認の方法(アプリ・電話)を決めておく |
| ⑤ 拠点・車両の被災リスク | 営業所・駐車場が浸水・倒壊した場合の代替拠点。燃料・タイヤなど備品の備蓄状況 |
Gマーク(安全性優良事業所)の認定でBCPが評価項目になっている
全日本トラック協会が運営する「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」は、安全性の高い事業所を認定する制度だ。認定を受けた事業者は荷主企業への営業上のアピールにつながる。
Gマークの評価項目には「自然災害・感染症等への対応」が含まれており、BCP・緊急連絡体制の整備状況が採点される。Gマークを取得・維持するためにもBCPの整備は実益がある。
中小トラック事業者向けのBCPひな形がある
国土交通省・全日本トラック協会は、中小運送業者向けのBCPひな形(雛形)を公表している。自社の状況を書き込む形式になっており、ゼロから作成するより取り組みやすい。ひな形は全日本トラック協会のウェブサイトからダウンロードできる。
「計画書を作ること」がゴールではなく、「実際に使えるか」を定期的に確認することが重要だ。年1回の訓練・見直しが推奨されている。
軽貨物1人事業者にとってのBCP
軽貨物1人事業者の場合、BCPは「自分が動けなくなったとき」への備えが中心になる。病気・怪我・車両故障・自然災害で運べなくなった場合に荷主へどう連絡するか、代わりに運んでくれる仲間の連絡先を持っているか、という基本的な準備がBCPの出発点になる。
大手荷主・大手EC物流での登録を維持するには、急な不稼働への対応力が評価につながるため、代替手段の準備は競合との差別化にもなりうる。
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出典:貨物自動車運送事業法第16条(e-Gov法令検索)、全日本トラック協会「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」、全日本トラック協会「トラック運送業のBCP策定ガイドライン」。作成:2026年10月。


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