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国土交通省告示第1366号別表第2の12テーマの一つ「事業用自動車の構造上の特性」は、乗用車とは異なるトラック・バンの車両特性をドライバーが正確に理解することを目的としている。内輪差・死角・制動距離・車高・重心の5点が代表的な特性で、これらを知らずに乗務すると重大事故につながる。
内輪差は車両が長くなるほど大きくなる
内輪差とは、左折・右折時に前輪が描く軌跡と後輪が描く軌跡のずれのことだ。前輪が通り抜けた場所でも、後輪は内側に入ってくる。
車両が長いほど内輪差は大きくなる。普通乗用車の内輪差は50cm前後だが、4tトラック(車両長さ約8m)では1m前後、大型トラック(車両長さ約12m)では1.5m以上になることがある。巻き込み事故(左折時に後輪が自転車や歩行者に接触する)の多くが、この内輪差の見落としから起きている。
軽バン(ハイエースサイズ)でも荷物を多く積んだ状態では挙動が変わる。全長が長く・積載量が多いほど内輪差を意識した運転が必要だ。
トラックには乗用車より広い死角がある
死角とは、運転席から直接目視またはミラーで確認できない範囲のことだ。トラックには次の死角がある。
| 死角の位置 | 特徴 |
|---|---|
| フロント(車両直前) | キャブオーバー型(ボンネットがないタイプ)は乗用車より前方の死角が大きい。停車中の前方確認が特に重要 |
| 左サイド | 左折時に最も危険な死角。後輪付近・荷台左後方は直視できない。アンダーミラーで補完するが、それでも限界がある |
| リア(後方) | バックカメラがなければ直後の確認は困難。バック時の事故の主要因 |
| 右前(Aピラー後方) | 右折時にAピラーに隠れる範囲に歩行者・二輪車が入ることがある |
これらの死角をカバーするために、ドアミラー・アンダーミラー・バックカメラ・センサーを組み合わせて使う。補助装置があっても「装置が見ているから大丈夫」ではなく、自分で確認する習慣を持つことが前提だ。
制動距離は速度の2乗に比例して伸びる
ブレーキをかけてから完全に止まるまでに走る距離(制動距離)は、速度が2倍になると4倍に伸びる。重い荷物を積んでいるほど慣性力が大きくなり、さらに制動距離は伸びる。
目安として、乾燥した舗装路での制動距離(ブレーキをかけてから止まるまで)は次のとおりだ。
| 速度 | 乗用車の目安 | 大型トラック(フル積載)の目安 |
|---|---|---|
| 時速40km | 約8m | 約14〜20m |
| 時速60km | 約18m | 約30〜45m |
| 時速80km | 約32m | 約55〜80m |
(注:上記の数値は一般的な参考値。路面状態・積載量・タイヤの状態・ブレーキの状態によって大きく異なる。)
トラックが高速道路の速度で停止するには、乗用車より数十m長い距離が必要になる場合がある。車間距離を乗用車基準で考えることが事故につながる。「荷物が多いほど止まれない」という感覚をドライバーに持たせることが重要だ。
車高と重心は荷物の積み方で変わる
車高が高いトラックは、高さ制限(橋の下・立体駐車場・高架下)との接触に注意が必要だ。高さ制限は標識や事前情報で確認するが、確認漏れによる接触事故は後を絶たない。
重心は積み方によって変わる。重い荷物を高く積むと重心が上がり、カーブや急ハンドルでの横転リスクが増す。荷物は低く・均等に積む基本を研修で繰り返し伝える必要がある。
軽貨物(黒ナンバー)でも構造上の特性への理解が必要
軽バン(黒ナンバー)は大型トラックと比べると小さいが、荷物を積んだ状態では空車時と挙動が変わる。積載重量が増えると制動距離は伸び、コーナリング時の安定性も落ちる。令和7年4月から軽貨物への指導監督義務が適用されたため、「自分の車だから分かっている」ではなく、12テーマの一つとして「構造上の特性」を改めて確認しておく意味がある。
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出典:国土交通省告示第1366号別表第2、国土交通省「大型車の車両特性と安全運転」、自動車技術会(SAE)各種技術資料(制動距離の参考値)。作成:2026年10月。なお、制動距離の数値は一般的な参考値であり、実際は車種・積載・路面状態により異なる。


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