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就労定着支援の開業費用は、単独で新規開業する場合と、既存の就労移行支援等の事業所に追加指定として加える場合で大きく異なります。単独新規の場合は法人設立費用・物件費・人件費が加わりますが、追加指定の場合は指定申請書類の準備にかかる費用が中心です。
日本政策金融公庫「新規開業実態調査(2025年度版)」によると、障害福祉サービス事業所全体の開業費用の中央値は500万〜700万円程度です(事業種別・設備規模によって大きく異なります)。就労定着支援は設備基準が相談室のみで、通所型のように広い物件が不要なため、単独開業でも比較的費用を抑えやすい部類に入ります。
この記事では、就労定着支援の開業に必要な費用の内訳と、資金繰りの考え方を整理します。
就労定着支援の開業費用の主な内訳です
就労定着支援の開業に必要な費用は、大きく次の4つに分かれます。
1. 法人設立費用(法人がない場合)
障害福祉サービスの指定を受けるためには、法人格が必要です(個人事業主では指定不可)。主な法人形態と設立費用の目安は次のとおりです。
| 法人形態 | 設立費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 合同会社(LLC) | 6〜10万円 | 手続きが比較的簡単・定款認証不要 |
| 株式会社 | 20〜25万円 | 信用力が高い・定款認証が必要 |
| NPO法人 | 数万円〜(手間がかかる) | 設立に時間がかかる(2か月以上) |
| 社会福祉法人 | 基本財産300万円以上など要件が厳格 | 設立のハードルが高い |
既存の就労移行支援等の法人に追加指定する場合は、この費用はかかりません。
2. 物件費・内装費(相談室の確保)
就労定着支援の設備基準(基準省令第175条の3)は、プライバシーを確保できる相談室のみです。通所型サービスのように定員に応じた訓練室や面積基準がないため、既存の事業所の会議室を流用することができます。
単独で事務所を借りる場合の費用の目安は次のとおりです。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 敷金・礼金(賃料2〜3か月分) | 10〜30万円(地域・物件規模による) |
| 内装工事(相談室の間仕切り等) | 0〜30万円(既存物件の状態による) |
| 備品(PC・書類棚・机・椅子) | 10〜30万円 |
3. 指定申請費用
指定申請自体に手数料はありませんが、書類作成を行政書士に依頼する場合は10〜20万円程度の費用がかかります(事業所ごと・地域によって異なります)。自社で書類を作成する場合、申請書類の作成に数十時間程度かかります。
4. 開業後の運転資金
障害福祉サービスの報酬は「翌々月」に国保連から支払われます。つまり、4月から支援を開始しても入金は6月になります。この間の人件費・家賃・光熱費を賄う運転資金が必要です。
就労定着支援の開業初期(1〜2年目)の月次収入の目安を試算します(登録利用者20人・最低区分7・1単位10.00円の場合)。
- 基本報酬:1,074単位×20人×10.00円=214,800円/月
- 処遇改善加算Ⅰイ(11.5%)追加後:約239,502円/月
就労定着支援員1名(常勤換算1人)の人件費が月20〜25万円程度かかるとすると、開業当初は収支がほぼトントンか赤字になる可能性があります。登録利用者が30〜40人規模になると収益が安定してきます。
就労移行支援等の追加指定で開業する場合の費用は少なくなります
就労定着支援は、就労移行支援等の既存事業所に追加指定として加えるケースが多いです。この場合:
- 法人設立費用:不要
- 物件費:既存の相談室を流用すれば不要
- 人員:既存の職員を常勤換算1人で配置すれば新規採用不要
- 主な費用:指定申請書類の作成費用(自社作成なら実費のみ)
追加指定で開業する場合、初期費用は数万〜20万円程度に抑えられるケースもあります。ただし、利用者の支援実績(就労定着率)の積み上げには時間がかかり、1〜2年目は最低区分の報酬になる点は単独開業と同様です。
日本政策金融公庫(公庫)の融資を使う場合の考え方
単独新規の場合、開業資金として日本政策金融公庫の「新創業融資制度」が利用できる可能性があります。公庫の申し込みの目安として、自己資金が創業資金総額の10分の1以上あることが求められます(詳細な審査基準は最新の公庫窓口でご確認ください)。
障害福祉サービスは国・自治体からの報酬が入るため安定した収入が見込まれやすく、融資の審査においてプラスに働くことがあります。ただし、1〜2年目は就労定着率の実績がなく最低区分の報酬になる点、報酬入金が翌々月になる点は事業計画書に明記して審査に臨む必要があります。
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