グループホームの夜間支援等体制加算、3種類の違いと算定の要件。

福祉事業の開業と運営

グループホーム(共同生活援助)の夜間支援等体制加算は、夜間に職員を配置した場合に算定できる加算です。加算Ⅰ(夜勤)・加算Ⅱ(宿直)・加算Ⅲ(常時連絡体制)の3種類があり、配置形態と利用者数によって1日あたりの単位数が決まります。夜間対応の体制をどう作るかは、開業後の経営を左右する重要な判断です。この記事では、各加算の要件と単位数の目安、算定上の注意点を整理します。

夜間支援等体制加算は3種類ある

グループホームの入居者は、夜間に一人で過ごすことになります。夜間に何かあったとき、すぐに対応できる体制が整っているかどうかは、入居者・家族の安心感にも直結します。その体制の手厚さに応じて、加算が3段階に分かれています。

加算Ⅰ:夜勤職員を配置する

夜間を通じて勤務する職員(夜勤職員)を住居に配置する場合に算定します。最も手厚い体制で、単位数も最大です。

夜勤とは「夜間を通じた勤務」であり、夜間の一部だけ宿直するのとは区別されます。宿直職員が支援する住居では、加算Ⅰは算定できません。

単位数は、夜間支援の対象となる利用者数と障害支援区分によって細かく段階が分かれています。

※以下の単位数は参考値です。正確な数字は厚労省の告示・サービスコード表(令和6年4月改定版)でご確認ください。

夜間支援対象の利用者数 区分4以上の場合 区分3の場合 区分2以下の場合
2人以下 672単位/日 560単位/日 448単位/日
3人 448単位/日 373単位/日 299単位/日
4人 336単位/日 280単位/日 224単位/日
5人 269単位/日 224単位/日 179単位/日
6人 224単位/日 187単位/日 149単位/日
7人 192単位/日 160単位/日 128単位/日

定員が多い住居ほど1人あたりの単位数は下がりますが、入居者全員分に加算が付くため、合計の加算額は大きくなります。

上記は令和6年4月改定後の単位数の参考値です。実際の請求に使う単位数は、厚労省が公表する最新のサービスコード表(共同生活援助の夜間支援等体制加算)で必ず確認してください。

加算Ⅱ:宿直職員を配置する

住居に宿直する職員(施設に泊まり込んで緊急時に対応する)を配置する場合に算定します。夜勤(夜を通した勤務)より軽い対応体制です。

単位数は利用者数のみで決まり、障害支援区分による差はありません。

※以下の単位数は参考値です。正確な数字は厚労省の告示・サービスコード表(令和6年4月改定版)でご確認ください。

夜間支援対象の利用者数 単位数/日
4人以下 112単位
5人 90単位
6人 75単位
7人 64単位

加算Ⅰと比べると単位数は大きく下がります。ただし、宿直の人件費も夜勤より低いため、採算の取り方は変わります。

加算Ⅲ:常時連絡体制を確保する

夜間に職員が住居に常駐しなくても、入居者からの連絡を常時受けられる体制(防犯カメラの設置・緊急通報装置・見守りセンサーなど)を整えた場合に算定します。

単位数は利用者数にかかわらず一律で10単位/日です。職員の夜間配置なしでも算定できる最低限の夜間体制の加算です。

加算ⅠとⅡ・Ⅲは重複算定できない

同じ住居について、加算ⅠとⅡ・Ⅲを同時に算定することはできません。夜勤(Ⅰ)・宿直(Ⅱ)・常時連絡(Ⅲ)のうち実態に合う1種類を選びます。

日中サービス支援型では夜間支援従事者が必須

日中サービス支援型は24時間を通じた支援体制が根拠となるサービス形態で、夜間支援従事者の配置が開設要件になっています。住居ごとに夜間の職員配置が必須で、宿直は認められません。

これは加算・任意ではなく「要件」です。日中サービス支援型で開業するなら、夜間の人件費は必ず発生するものとして収支計画を立てる必要があります。

介護サービス包括型は夜間支援が任意

介護サービス包括型と外部サービス利用型は、夜間支援の配置は任意です。夜間の体制をどう設計するかは、受け入れる入居者の状態と収支のバランスで判断します。

区分が低い入居者が多く、夜間は自立できる方が中心であれば、加算ⅢだけでもOKです。一方、区分が高く夜間も介護が必要な入居者を受け入れるなら、加算Ⅰ(夜勤)の算定が現実的です。

夜間の人件費と加算収入のバランス

夜勤職員の人件費は、一般的に1回の夜勤で8,000〜15,000円程度(宿泊手当・夜勤手当を含む)が相場です。これに対して加算Ⅰの収入は、定員6人・区分4以上の住居なら1日あたり224単位×入居者全員分になります。

単純計算(加算の単位数×地域単価×入居者数)と夜勤コストを比較したとき、定員が少ない住居ほど1入居者あたりの加算収入は高いですが、絶対額は少なくなります。「何人入居すれば夜勤を入れても採算が合うか」は収支計画の中で確かめる必要があります。

算定する住居の範囲を正確に把握する

事業所として複数の住居(共同生活住居)を束ねて運営するケースでは、夜間支援の体制は「住居ごと」に判断します。加算も住居ごとの利用者数で計算します。

1人の夜勤職員が複数の住居を巡回する体制は、加算の算定上は要件を満たさない場合があります。各住居に夜勤が張り付く体制が必要かどうか、算定の根拠を確認してから運営体制を設計してください。

収支シミュレーターで夜間支援加算の試算ができます

夜間支援等体制加算を含めた収支を、開業前に試算できるシミュレーターを公開しています。定員・入居者の区分・地域区分・加算の有無を入力すると、月次の収入と人件費・損益が自動で出てきます。

→ 障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター(無料)

あわせて読みたい:グループホームの重度障害者支援加算。区分6の利用者を受け入れると何単位増えるか。

あわせて読みたい:グループホームで算定できる加算の種類。収入に影響する主要加算をまとめます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました