グループホームのサービス管理責任者、配置基準と確保の現実。
グループホーム(共同生活援助)のサービス管理責任者(サビ管)は、利用者30人に対して1人以上の配置が必要です。定員が30人以下の事業所でも、サビ管を少なくとも1人確保しなければ指定申請ができません。
サビ管の確保は、グループホーム開業の準備の中でも「時間がかかる」部分のひとつです。この記事では、配置基準・実務経験の要件・研修の流れ・確保にかかる時間を整理します。
配置基準。利用者30人に1人以上。定員20人以上は常勤専従の努力義務。
サービス管理責任者の配置基準は次のとおりです(埼玉県「共同生活援助(グループホーム)の基準 概要」R6.3版・指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準より)。
- 利用者30人以下の事業所:1人以上
- 利用者31人以上の事業所:1人+利用者が30人を超えて30人増えるごとに1人を追加
- 定員20人以上の場合:常勤専従の確保が努力義務(義務ではなく努力義務)
- 定員20人未満の場合:非常勤でも可(他の事業所との兼務も可)
新規開業時は定員が少ない事業所が多いため、非常勤・兼務のサビ管を1人確保するケースが現実的です。ただし「知り合いで資格を持っている人がいる」「他の事業所との掛け持ちをしてもらう」という方法を取る場合も、以下の実務経験要件を満たしている必要があります。
実務経験の要件。3〜8年が目安。資格と業務内容によって異なる。
サビ管になるには、一定の実務経験が必要です。必要な年数は、保有資格と従事してきた業務の内容によって異なります(厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修体系の見直し及び当面の取り扱いについて」2019年より)。
大まかな区分は次のとおりです。
- 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・看護師等の国家資格保有者:相談支援業務・直接支援業務・就労支援業務などで3年以上の実務経験
- 高校・大学等での福祉系科目修了者(資格なし):直接支援業務で5年以上の実務経験(相談支援業務は一部要件を満たすもの)
- 上記以外(無資格・一般):直接支援業務で8年以上の実務経験
ここでいう「直接支援業務」とは、障害者・高齢者などへの日常生活支援(身体介護・生活援助)に直接従事した経験です。通所サービス・入所施設・グループホーム・訪問介護等での実務経験が該当します。
研修の流れ。基礎研修→実践研修→5年ごとの更新研修。
実務経験の要件を満たしていても、サビ管として配置されるためには研修の修了が必要です。研修は3段階で構成されています。
①サービス管理責任者等基礎研修
実務経験を満たす見込みの人が受講できる研修です(「見込み」での受講が可能なため、要件を満たす1〜2年前から受講できます)。都道府県が実施または委託。受講時間は2日間(講義・演習)。修了後5年間の実習・OJTが求められます。
②サービス管理責任者等実践研修
基礎研修の修了後、2年以上の実務経験を積んでから受講します(OJTを終えた後)。都道府県が実施または委託。受講時間は2日間(講義・演習)。修了後、サビ管として配置できます。
③サービス管理責任者等更新研修
サビ管として配置された後、5年ごとに受講が必要です(未受講でも即時資格失効にはなりませんが、更新を怠ると減算の対象になる可能性があります)。
基礎研修・実践研修とも、都道府県ごとに年間の実施回数・受講定員が決まっており、「受けたいと思ったときにすぐ受けられる」とは限りません。申し込み後に数か月待つケースもあります。
確保に時間がかかる3つの理由。
グループホームの開業準備において、サビ管の確保が遅れやすい理由は3つあります。
1つ目は、要件を満たす人が少ないことです。3〜8年の実務経験+基礎研修・実践研修の修了が必要なため、市場に出ているサビ管の数は限られています。特に地方では求人を出しても応募が来ないというケースがあります。
2つ目は、他の事業所にすでに配置されていることが多いことです。既存の事業所で働くサビ管を引き抜くことは現実的に難しく、転職意思がある人を待つしかない場合があります。
3つ目は、研修を修了するまでに時間がかかることです。実務経験を積みながら基礎研修→実践研修を修了するまで、早くて2〜3年以上かかります。「自分でサビ管の要件を満たす」という方針を取る場合、開業まで数年単位の準備が必要です。
確保するための現実的な方法。
開業を急ぐ場合に現実的な方法は次のとおりです。
- 既存の資格保有者を採用する:ハローワーク・障害福祉の求人サイトでサビ管の資格保有者を採用する。即戦力になるが、採用費と人件費がかかる。
- 非常勤・兼務での受け入れを打診する:すでに他の事業所でサビ管として働いている人に、非常勤・兼務で依頼する。小規模の事業所(定員20人未満)では合法的な選択肢。兼務先との調整が必要。
- 将来のサビ管候補を早期に採用し研修を受けさせる:直接支援業務の経験者を早期に採用し、基礎研修の受講申し込みをする。開業から逆算して1〜2年前から動く必要がある。
いずれの方法も、「指定申請の直前」に考え始めると間に合わないことがあります。物件探しや法人設立と並行して、サビ管の確保を進めることが重要です。
開業前に収支を試算する。
サービス管理責任者の人件費(常勤専従の場合は1人分の正社員給与、非常勤の場合は稼働時間×時給)は、収支シミュレーションで織り込む必要があります。
障害者グループホームの収支を試算できるシミュレーターを公開しています。管理者・サービス管理責任者・世話人・生活支援員の人員を入力すると、月次収支・資金繰り・全国平均との比較を確認できます。
出典:埼玉県「共同生活援助(グループホーム)の基準 概要」(R6.3版)・指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準・厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の研修体系の見直し及び当面の取り扱いについて」(平成31年3月29日)。


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