消防設備士4類(乙4・甲4)の受験資格と申込みの手順。

消防設備士4類(乙4・甲4)の受験資格と申込みの手順。 資格

消防設備士4類(乙4・甲4)を受験しようとしたとき、最初に確認することが2つある。

1つは「自分に受験資格があるか」、もう1つは「どこへ、いつまでに申し込むか」だ。

乙種と甲種では受験資格の条件がまったく異なる。この記事では、受験資格の要件と申込みの手順を整理する。

乙4と甲4の受験資格の違いはなぜあるのか

消防設備士の免状には「乙種」と「甲種」の2種類があり、業務範囲が異なる。

乙種は「消防用設備等の整備・点検」のみ行うことができる。甲種はこれに加えて「消防用設備等の工事」も行うことができる(消防法第17条の5)。

工事には施工の安全性・技術的な知識が求められることから、甲種だけに受験資格が設けられている。乙種で「点検・整備だけをする人」と甲種で「工事も行う人」で要件を分けている、ということだ。

乙4の受験資格:条件なし

乙種消防設備士の試験は、受験資格の制限がない。年齢・学歴・経験を問わず、誰でも申込むことができる。

これは4類に限らず、乙種全類(1類〜7類)に共通している。はじめて消防設備士の勉強をする人が乙種から受験することが多いのも、このためだ。

転職・キャリアチェンジのために消防設備士の資格を取得したい場合も、まず乙4から始めることができる。

甲4の受験資格:以下のいずれかに該当すること

甲種消防設備士は、受験するために資格が必要だ。消防法施行規則第33条の3で定められた区分のいずれかに該当しなければならない。

1. 大学・短大・高専等の卒業(関連学科)

大学・短大・高等専門学校・専修学校(専門課程)などで、次の学科を修めて卒業した者が受験できる。

  • 機械、電気、工業化学、土木、建築に関する学科

実務経験の要件はなく、卒業(または修了)した時点で受験資格が生じる。「関連学科に当たるか」の判断が迷う場合は、消防試験研究センターに直接問い合わせることが確実だ。一般的には、電気系・建築系・機械系・情報系の学科であれば該当するケースが多い。

卒業証明書(原本)が申込み書類として必要になるため、大学等の窓口で取得しておく。

2. 工業高校等の卒業(関連学科)+実務経験2年以上

高校・中学等で機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科を修めて卒業し、かつ消防用設備等の工事もしくは整備について2年以上の実務経験がある者。

大学・高専卒と違い、工業高校卒の場合は実務経験2年が必要になる。「同じ機械系の学科を出たのに要件が違う」という点は見落としやすいため注意が必要だ。

3. 乙種消防設備士の免状+実務経験2年以上

乙種消防設備士免状を取得したあと、消防用設備等の整備の実務に2年以上従事した者。乙4から甲4へのステップアップでよく使われるルートだ。

「取得から2年」ではなく、「取得後に整備の実務に2年以上従事した」という条件だ。免状を取得しても整備業務に就いていない期間はカウントに含まれない。実際に消防設備の点検・整備を業務として行った期間を積み上げて2年以上になれば、甲4の受験資格が生じる。

乙種免状の写しと、事業者が発行する実務経験証明書が申込み書類として必要になる。

4. 電気工事士

第1種・第2種の電気工事士免状取得者が受験できる。

自動火災報知設備の配線工事は電気工事士の業務と重なる部分が多く、このルートで甲4を受験する人は多い。電気工事士免状を持っている場合、試験の一部科目(基礎的知識の「電気に関する部分」)が免除になる制度もある。免除の詳細については「受験資格と科目免除(電気工事士の人向け)」を参照してほしい。

申込み書類は電気工事士免状の写しを用意する。

5. 電気主任技術者

第1種・第2種・第3種の電気主任技術者免状取得者。

電気主任技術者は高圧・特別高圧の設備の保安・管理を担う資格で、電気の知識が広い範囲に及ぶため受験資格として認められている。免状の写しが申込み書類として必要だ。

6. 建築士

1級建築士・2級建築士・木造建築士のいずれかの免状取得者。建築物の設計・工事を担う立場として、消防設備士との接点が多い資格だ。建設業に従事し建築士を持っている場合、甲4の受験資格として活用できる。

7. 技術士

機械部門・電気電子部門・化学部門・衛生工学部門・建設部門のいずれかの技術士。技術士は科学技術に関する最上位の資格であり、これらの部門は消防設備と関連が深い。

8. 消防職員・消防団員としての経験

次のいずれかに該当する者。

  • 市町村の消防職員として5年以上の実務経験があり、うち1年以上管理的・監督的な地位にあった者
  • 消防団員として8年以上の実務経験があり、消防設備士試験の受験に必要な知識と技能を有すると認められる者

消防職員・消防団員として長年従事してきた実績が受験資格として認められる区分だ。「管理的・監督的な地位」とは、班長・分団長等の役職を指す場合が多い。

9. その他(施行規則で定める者)

上記以外にも、消防法施行規則第33条の3には次のような区分が挙げられている。

  • 理学系・工学系の学士・修士・博士号の取得者(学位の分野が機械・電気・建築等に該当する場合)
  • 配管技能士(特級・1級)
  • マンション管理士、管工事施工管理技士なども個別の条件付きで含まれる場合がある

自分の資格・学歴が上記に当てはまるか迷う場合は、消防試験研究センターに問い合わせるのが確実だ。

受験資格の確認方法

消防試験研究センターのウェブサイト(shoubo-shiken.or.jp)に、甲種の受験資格一覧と確認フローが掲載されている。試験を申込む前に、この一覧で自分が該当する区分を確認しておく。

複数の区分に該当する場合は、用意しやすい証明書類を基準に選ぶとよい。たとえば電気工事士と大学関連学科卒の両方を持っている場合、卒業証明書を取得するより電気工事士免状の写しを使う方が手続きが簡単だ。

申込みに必要な書類

受験資格の区分によって、用意する書類が異なる。

受験資格の区分 必要な書類(例)
大学等の関連学科卒 卒業証明書(原本)、成績証明書(学科名が不明確な場合)
工業高校等卒+実務2年 卒業証明書(原本)、実務経験証明書
乙種免状+実務2年 乙種消防設備士免状の写し、実務経験証明書
電気工事士 電気工事士免状の写し
電気主任技術者 電気主任技術者免状の写し
建築士 建築士免状の写し
技術士 技術士登録証の写し
消防職員・消防団員 在職(活動)証明書

実務経験証明書は、消防試験研究センターの書式に従って事業者(会社や施設)が発行する書類だ。書式は消防試験研究センターのウェブサイトからダウンロードできる。在籍先の総務部門や上長に早めに依頼しておくとよい。

電子申請の場合は、これらの書類を画像データ(JPEG・PDF等)でアップロードする。書面申請の場合は原本または写しを封筒に同封する。

申込みの手順

受験地と試験日程の確認

消防設備士試験は都道府県ごとに実施される。受験できる会場は原則として「受験地として選択した都道府県内」になる。

各都道府県の試験日程は消防試験研究センターのウェブサイトで確認できる。都道府県によって試験日の設定数が異なり、年1回のみの場所と複数回設定されている場所がある。大都市圏(東京・大阪・愛知など)は複数回実施されることが多い。

受けたい試験日が決まったら、その試験の申込み受付期間を確認する。受付期間は試験日の約2〜3ヶ月前に設定されていることが多い。

申込方法:電子申請と書面申請

申込方法は「電子申請(インターネット)」と「書面申請(郵送)」の2種類ある。どちらの方法でも申込みができるが、実際の手続きの流れが異なる。

電子申請の流れ

  1. 消防試験研究センターのウェブサイトから受験申請フォームへ進む
  2. 受験する試験の種類・受験地を選択する
  3. 必要事項を入力し、証明書類の画像をアップロードする(JPEG等の画像ファイル)
  4. 受験手数料を払い込む(クレジットカード・コンビニ決済など)
  5. 受験票が郵送される

書面申請の流れ

  1. 受験願書を消防試験研究センター(中央本部または各道府県支部)から入手する、またはウェブサイトからダウンロードして印刷する
  2. 必要事項を記入し、証明写真を貼付する(縦4.5cm×横3.5cm・6ヶ月以内撮影)
  3. 受験手数料に相当する郵便振替払込受付証明書を添付する
  4. 証明書類(受験資格を証明するもの)を同封する
  5. 簡易書留で郵送する

電子申請の方が手続きがシンプルで、証明書類の郵送も不要な場合が多い。書面申請は証明写真の準備や郵送のひと手間がかかる。はじめて申込む場合は電子申請の方が進めやすいことが多い。

受験手数料

手数料は甲種と乙種で異なる。金額は改定されることがあるため、最新の金額は消防試験研究センターのウェブサイトで確認する。

参考として、電子申請・書面申請で手数料の金額が異なる都道府県もある(都道府県によって手数料に差がある場合)。払込方法(クレジット・コンビニ・ゆうちょ振替等)も確認しておく。

申込期間に注意

申込みの受付期間は、試験日のおよそ2〜3ヶ月前に設定されることが多い。受付期間を過ぎると申込めないため、受験したい試験日が決まったら申込み開始日の2週間前には書類を準備し始めるとよい。

特に「実務経験証明書」は会社・施設への依頼から受け取りまで1〜2週間かかることがある。証明書類の取得に時間がかかるケースを見越した準備が必要だ。

甲4を受験するまでのよくある流れ

電気工事士や建築士の資格を持っている人は、取得時点ですぐに甲4の受験資格が生じる。

まだ何も資格を持っていない人が甲4を目指す場合、現実的なルートとして「乙4を先に取得し、2年以上の整備実務を経てから甲4を受験する」というパターンが多い。

乙4の取得から甲4への流れであれば、試験の勉強内容も7割程度は重なるため、乙4合格後の積み上げがしやすい。

よくある質問

Q:乙4を取得したばかりで、今すぐ甲4の申込みに使えるか?

乙種免状+実務2年以上の区分では、免状取得後に「整備の実務に2年以上従事」した実績が必要だ。免状の取得直後はまだ実務経験が0日なので、この区分では申込みできない。実務経験が2年に達してから申込みができる。

ただし、電気工事士など別の区分で受験資格を持っている場合は、乙4取得直後でも甲4に申込むことができる。

Q:乙4取得前の実務経験はカウントされるか?

「乙種消防設備士の免状+実務経験2年以上」の区分では、実務経験のカウントは免状取得後から始まる。免状を取得する前の期間(乙4を受験する前に整備業務をしていた期間)は、この区分ではカウントに含まれない。ただし、施行規則第33条の3には別の区分として「実務経験のみ」に基づく条件も存在するため、詳細は消防試験研究センターに確認するとよい。

Q:受験資格を証明する書類がそろわないと申込みできないか?

受験資格の証明書類は申込みの際に提出(または画像アップロード)が必要だ。書類がそろっていない場合は申込みができない。実務経験証明書は会社側の発行に時間がかかることがあるため、受験したい試験日が決まったら早めに手配する。

Q:現在の免状(電気工事士など)を紛失している場合はどうするか?

免状の紛失・毀損の場合は、発行機関(都道府県知事等)に再交付の申請をする必要がある。免状の写しでも申込みに使えるが、再交付に時間がかかるケースもある。受験申込み前に免状の所在を確認しておくことが望ましい。

Q:大学は出ていないが、専修学校(専門学校)の機械系学科を卒業している場合は?

専修学校の専門課程(専門学校)で関連学科を修了している場合も受験資格の対象となりうる。ただし、専修学校の場合は学科名や課程の内容によって判断が分かれることがあるため、消防試験研究センターに問い合わせて確認することが確実だ。

試験の対策について

受験資格と申込みの確認が終わったら、試験の勉強に入る。

4類の試験で問われる内容や範囲については以下の記事も参考にしてほしい。

問題集は 4類の問題集の案内ページ から確認できる。

出典

  • 消防試験研究センター「甲種消防設備士試験受験資格」(shoubo-shiken.or.jp)
  • 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第33条の3
  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第17条の5
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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