自動火災報知設備の感知器は、「何に反応するか」によって大きく3種類に分かれます。熱感知器・煙感知器・炎感知器です。さらに、それぞれの分類の中に複数の種類があります。
試験では「この場所に使える感知器はどれか」「煙感知器しか使えない場所はどこか」といった問題が出ます。感知器の種類を整理するには、2つの法令を合わせて読む必要があります。感知器の定義は「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」(以下「規格省令」)の第2条にあります。設置基準は消防法施行規則第23条にあります。
このページでは、感知器の各種類の定義と感知の仕組み、取付け面の高さと感知器の種別の対応、設置できない場所、煙感知器を必ず使わなければならない場所を順番に整理します。
感知器は「何に反応するか」で3種類に分かれる
感知器は、火災が発生したときに生じる物理的な変化を検知して信号を送る機器です。火災の初期段階では、熱・煙・炎のいずれかが先に発生します。どれを最初に検知するかは、火災の種類や建物の用途によって異なります。
- 熱感知器:周囲の温度の変化(上昇率または一定温度への到達)を検知する
- 煙感知器:周囲に漂う煙の粒子を検知する
- 炎感知器:炎から出る紫外線または赤外線を検知する
どの種類を選ぶかは、場所の環境と法令の規定の両方から判断します。試験では法令の規定(施行規則第23条)の内容が問われます。
熱感知器の7種類(規格省令第2条の定義)
熱感知器は「温度の上昇率で検知する差動式」と「一定温度に達したときに検知する定温式」の2系統を基本として、組み合わせや変形を加えた7種類があります。
差動式スポット型
周囲の温度の上昇率が一定の率以上になったとき、一局所の熱効果によって作動する感知器です(規格省令第2条第一号)。通常時と異なる急激な温度上昇を検知するため、緩やかな温度上昇では誤作動しにくいという特徴があります。天井に設置するスポット型で、一般的な居室や事務所に広く使われます。
差動式分布型
周囲の温度の上昇率が一定の率以上になったとき、広範囲の熱効果の累積によって作動する感知器です(規格省令第2条第二号)。空気管、熱電対、熱半導体などの方式があります。差動式スポット型が一か所の熱に反応するのに対し、分布型は広い範囲にわたる温度変化の累積を検知します。工場や体育館などの高天井の建物にも使えます。
定温式感知線型
一局所の周囲温度が一定温度以上になったとき、外観が電線状(線型)の部分に接触した熱によって作動する感知器です(規格省令第2条第三号)。ケーブルのように配線できるため、ベルトコンベアや天井が低い場所など、スポット型を設置しにくい場所に使われます。
定温式スポット型
一局所の周囲温度が一定温度以上になったとき作動する感知器です(規格省令第2条第四号)。外観が電線状以外のもの(円形や四角形のスポット型)です。厨房や乾燥室など、正常時から温度が高い場所では差動式より定温式が適しています。公称作動温度は特種・1種・2種で異なります。
補償式スポット型
差動式スポット型の性能と定温式スポット型の性能の両方を持ち、いずれか一方の性能が作動したとき、一の火災信号を発信する感知器です(規格省令第2条第五号)。差動式は急激な温度上昇を検知し、定温式は一定温度への到達を検知します。どちらかの条件を満たせば作動するため、異なる燃焼形態に対応できます。
熱複合式スポット型
差動式スポット型と定温式スポット型の両方の性能を持ち、二以上の火災信号を発信できる感知器です(規格省令第2条第六号)。補償式は「いずれか一方が作動したとき一の信号」を出しますが、熱複合式は「それぞれが別の信号」を出すという違いがあります。試験ではこの区別が問われることがあります。
熱アナログ式スポット型
一局所の周囲温度が一定の範囲内の温度になったとき、温度に対応する火災情報信号を発信する感知器です(規格省令第2条第七号)。従来の感知器が「作動した・作動していない」という二値の信号を出すのに対し、アナログ式は温度の数値データを送信します。R型受信機との組み合わせで使います。
煙感知器の4種類(規格省令第2条の定義)
煙感知器は、煙の粒子がイオン電流や光に与える影響を利用して火災を検知します。熱感知器と比べて早い段階で検知できるため、人が在室する廊下や階段などの設置が義務付けられています。
イオン化式スポット型
一局所の煙によるイオン電流の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第九号)。センサー部にイオン電流が流れており、煙の粒子がそのイオン電流を妨げることで作動します。目に見えにくい微粒子の煙にも敏感に反応します。
光電式スポット型
一局所の煙による光電素子の受光量の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第十号)。光源と受光素子がセンサー内部に向き合って設置されており、煙が入ると光が散乱または減光して受光量が変化します。現在最も広く使われている煙感知器の一つです。
光電式分離型
広範囲の煙の累積による光電素子の受光量の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第十一号)。送光部と受光部が向き合って設置され、その間の光路に煙が入ると光が遮られます。光軸の長さは公称監視距離の範囲内で設置し、天井の高さの80%以上の高さに光軸を通す必要があります(施行規則第23条第4項第七の三)。吹き抜けや倉庫など広い空間に適しています。
煙複合式スポット型
イオン化式スポット型の性能と光電式スポット型の性能の両方を持ち、一の火災信号または二以上の火災信号を発信する感知器です(規格省令第2条第十二号)。2種類の検知方式を組み合わせることで誤作動を防ぎながら検知感度を維持します。
炎感知器の4種類(規格省令第2条の定義)
炎感知器は、炎が発する紫外線や赤外線を受光素子で検知します。飛び火のような急速な燃焼や、高天井(取付け面20m以上)では炎感知器しか使えません。
紫外線式スポット型
炎の紫外線による受光素子の受光量の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第十四号)。炎が発する紫外線に反応します。太陽光や蛍光灯からも紫外線が出るため、日光が差し込む場所での設置では遮光板などの対策が必要です。
赤外線式スポット型
炎の赤外線による受光素子の受光量の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第十五号)。炎が点滅するように変化する赤外線の特定のパターンを検知します。日光も赤外線を含むため、紫外線式と同様に日光対策が必要です。
紫外線赤外線併用式スポット型
炎の紫外線と赤外線の両方の受光量の変化により作動する感知器です(規格省令第2条第十六号)。2つの検知方式を組み合わせることで、誤作動を減らします。
炎複合式スポット型
紫外線式スポット型と赤外線式スポット型(または紫外線赤外線併用式)の性能を組み合わせた感知器です(規格省令第2条第十七号)。いずれかまたは両方の性能が作動したとき、一または二以上の信号を発信します。
取付け面の高さで使える感知器の種別が決まる(規則第23条第4項第二号)
消防法施行規則第23条第4項第二号には、取付け面の高さに応じて設置できる感知器の種別が定められています。取付け面とは、感知器を取り付ける天井の室内に面する部分、または上階の床若しくは屋根の下面のことです。
| 取付け面の高さ | 設置できる感知器の種別 |
|---|---|
| 4m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式(全種別)、イオン化式スポット型、光電式スポット型 |
| 4m以上8m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式特種若しくは一種、イオン化式スポット型一種若しくは二種、光電式スポット型一種若しくは二種 |
| 8m以上15m未満 | 差動式分布型、イオン化式スポット型一種若しくは二種、光電式スポット型一種若しくは二種 |
| 15m以上20m未満 | イオン化式スポット型一種、光電式スポット型一種 |
出典:消防法施行規則第23条第4項第二号(e-Gov法令検索)。
この表には光電式分離型と炎感知器は含まれていません。光電式分離型は別の規定(第23条第4項第七の三)で、天井高20m以上以外の場所に設置でき、天井高15m以上では一種のみとされています。炎感知器は設置禁止場所以外のどの高さにも設置できます(第23条第4項第一号イは炎感知器を除外しています)。
表から読み取れる主なポイントを整理します。
- 差動式スポット型は8m未満まで使える(8m以上では使えない)
- 定温式スポット型は4m以上8m未満では特種・一種のみ(二種は4m未満のみ)
- 8m以上15m未満は差動式分布型または煙感知器の選択になる
- 15m以上20m未満は煙感知器(イオン化式・光電式の一種)のみ(光電式分離型も使えるが、この表には明記されていない)
- 20m以上は炎感知器のみ(熱感知器・煙感知器は全て不可)
感知器を設置できない場所(規則第23条第4項第一号)
取付け面の高さに適合していても、場所の環境によっては感知器の設置が制限される場合があります。消防法施行規則第23条第4項第一号では、次の場所への感知器の設置を原則として認めていません。
全感知器共通の設置禁止場所(イ〜ハ)
- (イ)取付け面の高さが20m以上の場所(炎感知器を除く)
- (ロ)外気が流通する場所で、感知器によっては有効に火災を感知できないもの(上屋など)
- (ハ)天井裏で天井と上階の床との間の距離が0.5m未満の場所
煙感知器と熱煙複合式スポット型感知器の設置禁止場所(ニ)
イからハに掲げる場所のほか、次の場所には煙感知器(熱煙複合式スポット型感知器を含む)を設置できません。
- (イ)じんあい・微粉・水蒸気が多量に滞留する場所
- (ロ)腐食性ガスが発生するおそれのある場所
- (ハ)厨房その他正常時において煙が滞留する場所
- (ニ)著しく高温となる場所
- (ホ)排気ガスが多量に滞留する場所
- (ヘ)煙が多量に流入するおそれのある場所
- (ト)結露が発生する場所
- (チ)上記のほか、感知器の機能に支障を及ぼすおそれのある場所
厨房のように正常時から煙が生じる場所に煙感知器を設置すると、常に作動してしまいます。そのような場所には定温式スポット型など熱感知器を使います。
炎感知器の設置禁止場所(ホ)
炎感知器は(ハ)の天井裏に加え、次の場所には設置できません。
- 腐食性ガスが発生するおそれのある場所・著しく高温となる場所・排気ガスが多量に滞留する場所・煙が多量に流入するおそれのある場所・結露が発生する場所
- 水蒸気が多量に滞留する場所
- 火を使用する設備で火炎が露出するものが設けられている場所
- 上記のほか、感知器の機能に支障を及ぼすおそれのある場所
煙感知器(または炎感知器)しか使えない場所(規則第23条第5項)
消防法施行規則第23条第5項では、特定の場所には煙感知器(または炎感知器)を設けなければならないと定めています。
| 場所 | 設置しなければならない感知器 |
|---|---|
| 階段及び傾斜路(第一号) | 煙感知器 |
| 廊下及び通路(特定の防火対象物の部分・第二号) | 煙感知器または熱煙複合式スポット型感知器 |
| エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもの(第三号) | 煙感知器 |
| 遊興のための設備・物品を客に利用させる個室(カラオケボックス等・第三の二号) | 煙感知器または熱煙複合式スポット型感知器 |
| 天井等の高さが15m以上20m未満の場所(第四号) | 煙感知器または炎感知器 |
| 天井等の高さが20m以上の場所(第五号) | 炎感知器 |
| 地階、無窓階及び11階以上の部分(特定の防火対象物等・第六号) | 煙感知器、熱煙複合式スポット型感知器または炎感知器 |
出典:消防法施行規則第23条第5項(e-Gov法令検索)。
この規定と第4項第一号ニ(煙感知器の設置禁止場所)を組み合わせると、「煙感知器を設置しなければならないが、煙感知器は設置できない」という場所が理論上生じることになります。実際の設計ではこの矛盾を避けるために場所の条件を確認してから感知器の種別を選定します。試験でも、設置禁止の条件と義務設置の条件を別々に覚えておくと整理しやすくなります。
差動式と定温式の使い分けの考え方
試験の問題では「なぜその感知器を選ぶか」の理由を問われることがあります。差動式スポット型と定温式スポット型の使い分けの考え方を整理します。
差動式スポット型は、周囲の温度が急激に上昇したときに作動します。通常の室温変化では作動しないため、人が多い居室や事務所に適しています。逆に、厨房やボイラー室など正常時から高温になる場所では、通常の温度変化でも作動するおそれがあります。
定温式スポット型は、一定温度に達したときに作動します。厨房のように高温が常態化している場所では、その温度より高い公称作動温度の定温式スポット型を使います。差動式より検知が遅くなる可能性はありますが、誤作動を起こしにくいという利点があります。
補償式スポット型は両方の性能を持つため、温度上昇が緩やかな場所でも確実に検知できます。差動式では作動しないほど緩やかな温度上昇でも、定温式の性能で検知できます。
定温式スポット型の公称作動温度と色の区別(規格省令第4条・第6条)
定温式スポット型感知器は、設置する場所の最高周囲温度に合わせた公称作動温度のものを選びます。規格省令第4条第3項第1号では、感知器の公称作動温度は最高周囲温度に20℃を加えた温度以上であることが必要とされています。また、規格省令第6条第1項第3号では、感知器の表面のうち一の部分の色が公称作動温度によって次のように区別されています。
| 公称作動温度 | 表示色 |
|---|---|
| 60℃ | 赤 |
| 70℃ | 白 |
| 80℃ | 青 |
| 90℃ | 黄 |
| 100℃ | 緑 |
| 110℃ | 赤及び白(斜縞模様) |
| 120℃ | 白及び青(斜縞模様) |
| 125℃ | 青及び黄(斜縞模様) |
| 135℃ | 黄及び緑(斜縞模様) |
| 150℃ | 緑及び赤(斜縞模様) |
出典:火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令第4条第3項第1号、第6条第1項第3号(e-Gov法令検索)。
試験では「この色の感知器の公称作動温度はいくらか」という形で問われます。60℃が赤、70℃が白、80℃が青、90℃が黄、100℃が緑と覚え、110℃以上は赤白・白青・青黄・黄緑・緑赤の組み合わせになるという規則性で覚えると整理しやすくなります。
一般的な室内(最高周囲温度が40℃程度)には公称作動温度60℃(赤)が使われます。厨房のように高温になる場所では、最高周囲温度に20℃を足した温度以上の公称作動温度のものを選びます。厨房の最高周囲温度が70℃であれば、公称作動温度は90℃(黄)以上のものを選ぶことになります。
出典
- 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第2条・第4条第3項第1号・第6条第1項第3号(e-Gov法令検索)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項・第5項(e-Gov法令検索)
(規格省令の定義は条文の表現を参照していますが、試験では各感知器の動作の判断に使います。詳細は原文でご確認ください。)
消防設備士4類の問題集は4類のAI問題集で練習できます。感知器の種類や設置基準の問題は、確認済みの問題と練習問題の両方に含まれています。4類の試験科目と学習の全体像は4類の案内ページをご覧ください。


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