生活介護の職員数は、利用者の平均障害支援区分によって変わります。省令171号 第78条が3段階の基準を定めています。平均区分4未満は利用者6人に1人・4以上5未満は5人に1人・5以上は3人に1人です。利用者の区分が上がるほど職員を厚く配置する必要があり、人件費に直接影響します。
省令が定める3段階の配置基準
生活介護事業所の職員配置基準は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「省令171号」)第78条第1項第1号で定められています。
| 利用者の平均障害支援区分 | 職員の配置基準 | 定員20人の場合の最低人数(目安) |
|---|---|---|
| 4未満 | 利用者6人に1人以上 | 4人(20÷6=3.33→切り上げ) |
| 4以上5未満 | 利用者5人に1人以上 | 4人(20÷5=4.0) |
| 5以上 | 利用者3人に1人以上 | 7人(20÷3=6.67→切り上げ) |
(出典:省令171号 第78条第1項第1号・令和8年6月施行分)
平均区分5以上の基準(3人に1人)は、平均区分4未満(6人に1人)の2倍以上の職員数になります。同じ定員20人の事業所でも、受け入れる利用者の区分によって必要な職員数が大きく異なります。
平均障害支援区分の計算のしかた
「平均障害支援区分」は、前年度の利用者の障害支援区分の平均で算出します。区分2・3・4・5・6の利用者がそれぞれ何人いるかを集計し、区分の平均を計算します。
たとえば定員20人で区分6が4人・区分5が4人・区分4が6人・区分3が4人・区分2が2人(計20人)の場合:
| 区分 | 人数 | 積(区分×人数) |
|---|---|---|
| 6 | 4人 | 24 |
| 5 | 4人 | 20 |
| 4 | 6人 | 24 |
| 3 | 4人 | 12 |
| 2 | 2人 | 4 |
| 合計 | 20人 | 84 |
平均=84÷20=4.2。この場合は「4以上5未満」にあたり、利用者5人に1人以上の配置が必要です。最低20÷5=4人(小数点は切り上げ)の配置となります。
区分が1の利用者もいる場合は、区分1も算定に含めます。区分1は1として計算します。
区分の構成が変わると職員数はどれくらい変わるか
利用者の区分の構成によって、必要な職員数がどれくらい変わるかを、定員20人の事例で比べます。
事例1:平均区分が低い場合
区分4が10人・区分3が6人・区分2が4人(計20人)の場合、平均は(4×10+3×6+2×4)÷20=(40+18+8)÷20=66÷20=3.3。「4未満」の基準が適用され、利用者6人に1人以上が必要です。最低4人(20÷6=3.33→切り上げ)の配置となります。
事例2:平均区分が高い場合
区分6が8人・区分5が7人・区分4が5人(計20人)の場合、平均は(6×8+5×7+4×5)÷20=(48+35+20)÷20=103÷20=5.15。「5以上」の基準が適用され、利用者3人に1人以上が必要です。最低7人(20÷3=6.67→切り上げ)の配置となります。
事例1と事例2を比べると、最低職員数は4人対7人で、3人の差があります。定員20人の規模でこれだけの差が出るため、採用・人件費の計画を立てるときに区分の構成を考慮することが重要です。
看護職員・生活支援員の内訳と最低配置
省令171号 第78条は、職員の種類と最低人数も定めています。
- 看護職員:1人以上(うち1人以上は常勤)
- 生活支援員:1人以上(うち1人以上は常勤)
- 合計:看護職員と生活支援員の合計が、平均区分に応じた基準(÷6・÷5・÷3)を満たす人数以上
看護職員と生活支援員の比率は問いません。看護職員を多く配置しても、生活支援員を多く配置しても、合計が基準を満たしていれば問題ありません。ただし、どちらも最低1人ずつ必要です。
サービス管理責任者の配置は別の基準
サービス管理責任者(サビ管)の配置基準は、職員配置基準(÷3・÷5・÷6)とは別に設けられています。利用者60人以下の事業所には1人以上の配置が必要です(省令171号 第78条)。61人以上は40人ごとに1人を加えます。
サビ管は直接支援の職員数には含めません。配置基準(÷3・÷5・÷6)はサビ管を除いた職員数(看護職員+生活支援員の合計)で判定します。
非常勤職員を含む場合の常勤換算
配置基準は「常勤換算」で判定します。常勤換算は、非常勤職員の週の勤務時間を、事業所で常勤の職員が働く1週間の所定労働時間で割った数を合算して求めます。
たとえば常勤の所定労働時間が週40時間の事業所で、週20時間勤務の非常勤職員が2人いる場合、常勤換算は(20÷40)×2=1.0人分になります。常勤職員の人数にこの1.0を加えて、配置基準を満たしているかを判定します。
非常勤職員を組み合わせる場合でも、複数の職種(看護職員・生活支援員)の合計で基準を満たせます。たとえば看護職員(常勤・1.0人)と生活支援員(非常勤×2で1.0人分)の合計2.0人として計算します。
開業初期は常勤職員だけで基準を満たすのが難しい場合もあるため、非常勤職員の組み合わせで基準を満たす計画が現実的な場合があります。
人員配置体制加算を取ると、必要な職員数が変わる
生活介護には、基準を超えて手厚く配置した場合に算定できる「人員配置体制加算」があります(告示523 別表第6・告示551 六)。加算を取る場合は、基準を上回る人数を実際に配置する必要があります。
| 人員配置体制加算 | 必要な配置比率 | 区分5・6の割合の要件 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 利用者1.5人に1人以上(÷1.5) | 60%以上 |
| (Ⅱ) | 利用者1.7人に1人以上(÷1.7) | 60%以上 |
| (Ⅲ) | 利用者2人に1人以上(÷2) | 50%以上 |
| (Ⅳ) | 利用者2.5人に1人以上(÷2.5) | なし |
(出典:告示551 六イ〜ニ・告示523 別表第6の人員配置体制加算の注・令和8年6月施行分)
加算(Ⅰ)の「利用者1.5人に1人以上」は、基準の÷3よりも2倍の職員が必要です。(Ⅰ)(Ⅱ)は区分5・6の利用者の割合が60%以上、(Ⅲ)は50%以上であることも条件です。(Ⅳ)は区分5・6の割合の要件はありません。
人員配置体制加算を算定するには、配置の実績を記録しておく必要があります。算定できる加算の区分は毎年見直されるため、利用者の区分の構成が変わった場合に配置基準と加算の要件が変わる点に注意が必要です。
配置が厚いほど人件費率が上がる
職員数が増えれば、給与・社会保険料等の人件費も増えます。全国の生活介護事業所の平均人件費率は67.5%前後です(独立行政法人福祉医療機構 令和7年度経営概況調査・令和6年度決算)。
平均区分5以上(÷3)の基準が適用される事業所は、平均区分4未満(÷6)の事業所と比べて職員数が約2倍必要になるため、収入が増えても人件費の増加が上回りやすい構造があります。区分の高い利用者を多く受け入れるほど基本報酬は上がりますが、それと同時に必要な職員数も増えます。
開業時の損益分岐は、受け入れる利用者の区分の構成と、実際に配置できる職員数・給与水準を合わせて試算することが重要です。
開業前に職員を採用するスケジュール
指定申請の手続きでは、申請時点で職員の配置見込みを示す必要があります。指定の審査に時間がかかる場合があり、申請から指定までの期間中に採用活動を並行して進める事業所が多くみられます。
配置が必要な職員(看護職員・生活支援員)は専門職や有資格者が含まれるため、採用には一定の期間が必要です。開業の6か月から1年前に採用活動を始めることが多く、常勤職員が定まった段階で非常勤職員を組み合わせる計画にする場合が一般的です。
開業後も、利用者の増加に合わせて職員を追加採用する場合があります。採用費用・研修期間も含めて資金計画に織り込んでおくことが重要です。
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