消防設備士第5類(乙5・甲5)の難易度は、同じ消防設備士の中では中程度です。消防試験研究センターが公表するデータでは、乙5の合格率は例年35〜45%前後、甲5は30〜40%前後で推移しています。合格率だけを見ると決して高くありませんが、落ちる理由の大半は「特定の科目で40%を割る」という科目別の合格基準によるものです。科目ごとの弱点を把握すれば、合格ラインは現実的に見えてきます。
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消防設備士5類の合格率の推移
消防試験研究センターは毎年度の消防設備士試験の受験者数・合格者数・合格率を公表しています。第5類(乙5・甲5)の近年のデータは次のとおりです。
| 年度 | 乙5 受験者数 | 乙5 合格率 | 甲5 受験者数 | 甲5 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 約3,000人台 | 約38〜42% | 約1,500人台 | 約32〜38% |
| 令和3年度 | 約3,200人 | 約40%前後 | 約1,600人 | 約34%前後 |
| 令和2年度 | 約2,800人 | 約38%前後 | 約1,400人 | 約32%前後 |
出典:消防試験研究センター「消防設備士試験の受験状況等」(各年度版)
第5類は他の消防設備士と比べると受験者数が少ない類です。第4類(自動火災報知設備)の受験者数が年間8〜10万人規模なのに対し、第5類は乙5・甲5合わせて5,000人台にとどまります。受験者数が少ない分、市販テキストや問題集の種類も限られます。
乙5の難しい科目。法令類別と構造整備が落とし穴
乙5の試験は筆記30問+実技鑑別5問です。合格基準は「各科目40%以上かつ全体60%以上、実技60%以上」です。科目ごとに最低ラインが設定されているため、一つの科目で基準を割ると不合格になります。
| 科目 | 問題数 | 合格に最低必要な正解数 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 法令共通 | 6問 | 3問(50%) | 中 |
| 法令類別(5類) | 4問 | 2問(50%) | 高 |
| 基礎的知識(機械) | 5問 | 2問(40%) | 中 |
| 構造・機能及び整備 | 15問 | 6問(40%) | 高 |
| 鑑別(実技) | 5問 | 3問(60%) | 中 |
法令類別(5類)は4問しかないのに、2問以上正解しなければなりません。施行令第25条の設置基準表(防火対象物の用途と階ごとの適用器具)は暗記が必要で、正確に覚えていないと得点できません。構造整備は15問で最多ですが、器具ごとの細かい寸法や取付け方法も出題されます。
甲5の難しい科目。製図が合否を分ける
甲5は筆記45問+実技(鑑別5問・製図2問)です。乙5の内容に加え、製図2問が追加されます。製図は実技全体の得点に影響するため、製図で大きく失点すると実技60%以上の基準を満たせなくなります。
| 科目 | 問題数 | 最低正解数 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 法令共通 | 6問 | 3問 | 中 |
| 法令類別(5類) | 4問 | 2問 | 高 |
| 基礎的知識(機械) | 10問 | 4問 | 中〜高 |
| 構造・機能及び工事整備 | 25問 | 10問 | 高 |
| 鑑別+製図(実技) | 7問 | 60%以上 | 高(製図) |
甲5の基礎的知識は10問で、乙5より5問多い分、工学計算(荷重・応力・流体)の問題が加わります。計算は単純なものが中心ですが、公式を覚えておかないと手が出ません。
他の消防設備士類との難易度比較
第5類の難易度を他の類と比較すると、次のような位置づけになります。
| 類 | 対象設備 | 乙種の目安合格率 | 難易度感 |
|---|---|---|---|
| 第4類(乙4) | 自動火災報知設備 | 30〜40% | やや難(電気系の知識が必要) |
| 第6類(乙6) | 消火器 | 35〜45% | やや易(身近な設備で学びやすい) |
| 第5類(乙5) | 避難器具 | 35〜45% | 中程度(器具の種類が多い) |
| 第7類(乙7) | 漏電火災警報器 | 60〜70% | 易(問題数が少ない) |
| 第1類(甲1・乙1) | 屋内消火栓設備等 | 30〜35% | 難(配管計算・製図) |
第5類の特徴は「避難器具の種類が多く、各器具ごとに設置基準が異なる」点です。乙6(消火器)は設備が1種類で学びやすいのに対し、乙5は8種類の避難器具を使い分けで覚える必要があります。
5類で落ちる人の3パターン
試験を不合格になる主なパターンは3つです。対策を立てる際の参考にしてください。
パターン1:施行令第25条の表を覚えきれていない
法令類別の4問は、施行令第25条の表(防火対象物の用途と階ごとに使える器具の種類)から出題されます。この表は単純な暗記で得点できますが、覚えていないと全問不正解になります。表の縦軸(階:地階・2階・3階・4〜5階・6階以上)と横軸(防火対象物の用途)の組み合わせを繰り返し書いて覚えることが必要です。
パターン2:緩降機・救助袋の細部を混同している
構造整備の出題は「緩降機のロープ長さはどこから測るか」「救助袋の取付け具に使う材料の規格は何か」のような細部の問題が多いです。施行規則第27条の各号(緩降機は第6号、救助袋は第10号、固定はしごは第4号)を器具ごとに整理して覚えていない受験者は、ここで失点します。
パターン3:実技鑑別で器具の名称を間違える
鑑別は「写真に写っている部品の名称を答えよ」という形式が多いです。「調速器」「着用具」「取付け具」「フック」の違いをうろ覚えにしていると、部分点も取れません。各部品の名称と機能をセットで覚えることが必要です。
5類が他の類よりも難しい理由の本質
5類の難しさは「設備の種類が1つではない」ことにあります。第6類(消火器)や第7類(漏電火災警報器)はそれぞれ1種類の設備に特化していますが、第5類は避難はしご・救助袋・緩降機・すべり台・避難橋など複数の器具を同時に学ぶ必要があります。器具ごとに設置できる用途・階・個数・取付け基準が異なるため、混同しやすいのが特徴です。
逆に言えば、器具ごとの違いを丁寧に整理すれば難易度は下がります。テキストの図を器具別にノートにまとめ、「どの器具がどの階でどの用途に使えるか」を表形式で整理することが、最も効果的な対策です。
5類の合格ラインに到達するまでの期間の目安
合格ラインに到達するまでの学習期間は、受験者の背景によって異なります。ゼロから学習を始める場合と、他の消防設備士免状を持っている場合では大きく変わります。
| 受験者の背景 | 乙5の目安期間 | 甲5の目安期間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 消防設備士試験初挑戦・関連知識ゼロ | 3〜4か月 | 5〜7か月 | 法令共通から順番に積み上げる必要がある |
| 他の類の免状取得済み(法令共通免除可) | 2〜3か月 | 4〜5か月 | 法令共通6問を省略できる分、構造整備に集中できる |
| 消防設備の実務経験あり(点検・整備に携わっている) | 1〜2か月 | 3〜4か月 | 器具の構造・名称はすでに知識として入っている |
「合格ラインに到達した」という基準の目安は「施行令第25条の表を書ける・施行規則第27条の数値を器具ごとに答えられる・問題集の正解率が70%以上になった」ことです。この3つを達成してから受験申し込みをするのが効率的です。
消防設備士5類 試験前日〜当日の最終確認事項
試験前日と当日にまとめて確認しておくと得点が安定する内容を整理します。施行令第25条の表は暗記系の最優先事項です。
| 確認事項 | 内容 | 何のために確認するか |
|---|---|---|
| 施行令第25条の表(用途×階×器具) | (六)項3階以上はしご不可・(六)(五)項6階以上緩降機不可・地階はしご+タラップのみ | 法令類別4問の確実得点 |
| 施行規則第27条の数値 | 横さん10cm以上・降下口50cm以上(円内接)・4階以上は金属製・ロープ長は取付け位置から降着面まで | 構造整備15問の得点上乗せ |
| 鑑別の器具名称 | 調速器・着用具・取付け具・縦さん・横さん・入口部・出口部 | 実技60%以上の達成 |
| 法令共通の免除を受けているか確認 | 免除している場合は残り24問(乙5)で60%以上を取る必要がある | 合格基準の再確認 |
まとめ。科目別の基準を把握してから対策を組む
乙5の合格率35〜45%という数字は、全受験者の中で準備不足のまま受験する人が一定数いることも含まれています。施行令第25条の表を覚え、器具ごとの設置細目(施行規則第27条)を整理すれば、合格ラインは十分に届く範囲です。甲5は製図への対策が合否を大きく左右するため、製図に30〜50時間を別途確保することが重要です。

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