計画相談支援事業所の収入、担当件数から計算する方法。

計画相談支援事業所の収入は担当件数とモニタリング頻度から計算する ??????

計画相談支援(指定特定相談支援)事業所の月の収入は、「その月に何件の計画作成(新規・更新)とモニタリングを行うか」で決まります。定員がないため、放課後等デイサービスや生活介護のように「定員×稼働率」では計算できません。

この記事では、令和8年6月1日から適用されている報酬告示の原文をもとに、収入を計算する手順を、例を使って順番に説明します。

計算に使う単位数は、新規1,572単位・継続1,308単位・初回加算300単位

計画相談支援の報酬は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成24年厚生労働省告示第125号)の別表「計画相談支援給付費単位数表」で決まっています。どれも1月につき算定します。

計画相談支援の基本報酬と初回加算(1件あたり)
報酬の種類 単位数 算定する場面
サービス利用支援費(Ⅰ) 1,572単位 サービス等利用計画を作る月(新規・支給決定の更新・変更など)
継続サービス利用支援費(Ⅰ) 1,308単位 決められた頻度でモニタリングを行う月
初回加算 300単位 新規にサービス等利用計画を作成する場合など
サービス利用支援費(Ⅱ) 732単位 1人あたりの取扱件数が40以上の場合の、超えた部分
継続サービス利用支援費(Ⅱ) 606単位 同上

出典:平成24年厚生労働省告示第125号 別表 計画相談支援給付費単位数表(令和8年6月1日適用分)

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、モニタリングの頻度ではなく、相談支援専門員1人あたりの件数です。これは後の章で説明します。

また告示は、同じ月に同じ利用者へモニタリングを行ったあとに計画を作り直した場合、その月の継続サービス利用支援費は算定しないと定めています(別表1の注5)。試算では、計画を作る月の利用者は、その月のモニタリングの件数に入れないで考えます。

手順1:モニタリングの頻度ごとに、担当件数を分ける

モニタリングの頻度は、障害者総合支援法施行規則第6条の16が定める標準の期間を勘案して、市町村が利用者ごとに決めます。標準の期間は次のとおりで、事業所が自由に決めるものではありません。

モニタリング期間の標準(施行規則第6条の16の要約)
標準の期間 主な対象
1か月ごと サービスの種類・内容・量が大きく変わった方(利用開始から3か月まで)、施設からの退所等で集中的な支援が必要な方、単身などで事業所との連絡調整が難しい方、重度障害者等包括支援の対象となる方、就労選択支援の利用者
3か月ごと 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・短期入所・就労移行支援・自立訓練・就労定着支援・自立生活援助・日中サービス支援型の共同生活援助の利用者、65歳以上の方(介護保険のケアマネジメントを利用する方を除く)
6か月ごと 上記以外の方(生活介護・就労継続支援・介護サービス包括型の共同生活援助・施設入所支援などの利用者)

出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の16

担当している利用者が、どのサービスを使っているかによって、頻度の構成が決まります。開業前の試算では、地域で多いサービスの利用者を想定して、毎月・3か月ごと・6か月ごとの件数を仮に置きます。

手順2:その月にモニタリングする件数を出す

3か月ごとの利用者は1か月あたり約3分の1、6か月ごとの利用者は約6分の1が、その月のモニタリングの対象になります(各月に均等に散らばった場合の目安)。

例として、相談支援専門員2人で70件を担当し、そのうち毎月が5件、3か月ごとが25件、6か月ごとが40件の場合を考えます。

  • 毎月:5件
  • 3か月ごと:25件÷3=約8.3件
  • 6か月ごと:40件÷6=約6.7件
  • 合計:約20件

70件を担当していても、その月にモニタリングで算定するのは約20件です。担当件数とその月の算定件数は大きく違う点に注意が必要です。

手順3:単位数を掛けて、地域区分の単価で円にする

この例で、計画作成が月3件(すべて新規で初回加算あり)、地域区分が「その他」(1単位10円)の場合の月の収入は次のとおりです。

相談支援専門員2人・担当70件・計画作成3件/月の例(その他の地域)
項目 計算 単位数 金額
サービス利用支援費(Ⅰ) 3件×1,572単位 4,716単位 47,160円
初回加算 3件×300単位 900単位 9,000円
継続サービス利用支援費(Ⅰ) 約20件×1,308単位 26,160単位 261,600円
合計(月) 31,776単位 317,760円

1単位の単価は、事業所の所在地の地域区分で決まります。計画相談支援の割合は次のとおりで、同じ例を1級地(11.20円)で計算すると、月355,891円になります(1円未満切り捨て)。

計画相談支援の1単位の単価(告示第539号)
地域区分 単価 地域の例
1級地 11.20円 東京都特別区
2級地 10.96円 調布市・町田市・横浜市・川崎市・大阪市など
3級地 10.90円 さいたま市・千葉市・八王子市・名古屋市など
4級地 10.72円 船橋市・相模原市・豊中市・神戸市など
5級地 10.60円 水戸市・川口市・市川市・松戸市・平塚市など
6級地 10.36円 仙台市・宇都宮市・高崎市・川越市など
7級地 10.18円 札幌市・前橋市・熊谷市など
その他 10.00円 上記以外の地域

出典:平成18年厚生労働省告示第539号(計画相談支援の割合と、地域区分に属する地域の表)。所在地の地域区分は、指定権者に確認してください。

1人あたり40件以上になると、超えた分は単位が半分以下になる

告示は、事業所の利用者の数(前6か月の平均)を相談支援専門員の平均員数で割った数を「取扱件数」と呼び、次のように定めています(相談支援員は1人を0.5人として数えます)。

  • 取扱件数の40未満の部分は、(Ⅰ)の単位(新規1,572・継続1,308単位)
  • 取扱件数が40以上の場合、「取扱件数−39」×相談支援専門員の平均員数にあたる分は、(Ⅱ)の単位(新規732・継続606単位)

例えば1人あたり45件なら、45件のうち6件分が(Ⅱ)になります。件数の割合で平均すると、モニタリング1件あたりの単位は約1,214単位、1人あたり50件なら約1,154単位まで下がります(どの利用者の分が(Ⅱ)になるかは月ごとに決まるため、平均は目安です)。件数を増やしても、収入は比例して増えるわけではありません。

なお基準省令は、相談支援専門員の員数の標準を「利用者35人またはその端数を増すごとに1人」と定めています(平成24年厚生労働省令第28号 第3条第2項)。

体制を整えると機能強化型、要件を満たすと処遇改善加算が加わる

国が定める体制の基準に適合して届け出た事業所は、通常の(Ⅰ)より高い「機能強化型」の単位で算定できます。モニタリング1件あたりでは、機能強化型(Ⅰ)1,761単位・(Ⅱ)1,661単位・(Ⅲ)1,558単位・(Ⅳ)1,408単位です(新規はそれぞれ2,014・1,914・1,822・1,672単位)。

また令和8年6月から、それまで対象外だった計画相談支援に、福祉・介護職員等処遇改善加算(1000分の51=5.1%)が新設されました。基本報酬と各加算の合計単位数に5.1%を掛けた単位数を加算します。上の例(31,776単位)では1,620単位、その他の地域で16,200円が加わり、月333,960円になります。要件は職員の賃金の改善等を実施していることなどで、届出が必要です。

出典:平成24年厚生労働省告示第125号 別表1・別表の19/厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(報告)」(社会保障審議会障害者部会 第155回 資料1)

国保連データでは、1事業所あたりの報酬は月約43万円

国保連データによると、令和7年1〜3月の計画相談支援の事業所数は10,636か所、1事業所あたりの費用額(報酬の月額)は約42.6万円でした。処遇改善加算が新設される前の数字です。

出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会 第149回 参考資料8)国保連データ。値は各3か月分の平均値。

上の例(2人で70件・月約32万円)と比べると、同じ程度の規模であることが分かります。相談支援専門員2人の人件費をこの収入でまかなえるかは、開業前に必ず確認しておきたい点です。

収入を計算するときに、間違えやすい3つの点

1. 担当件数と、その月に算定する件数は違う

3か月ごと・6か月ごとの利用者は、毎月は算定しません。担当件数に単位数を掛けると、収入を大きく見積もりすぎます。

2. 支給決定の更新でも計画を作り直す

サービス利用支援費は、新規だけでなく、支給決定の更新や変更のときにも算定します。月の計画作成件数には、更新の見込みも入れます。初回加算は新規の場合などに限られます。

3. 担当件数は少しずつしか増えない

新規の受付が月に数件の場合、担当件数が増えるまで時間がかかります。その間も人件費や家賃は毎月かかるため、収入が少ない時期の資金繰りを先に確認しておく必要があります。

開業前に、数字で確認しておきたいこと

  • 相談支援専門員の人数と、1人あたりの担当件数(40件の境目を超えるか)
  • 担当する利用者のモニタリング頻度の構成
  • 月の計画作成件数(新規と更新)
  • 機能強化型の区分と、処遇改善加算を算定するか
  • 所在地の地域区分

このサイトで公開している「計画相談支援 開業向け収支シミュレーター」では、これらを入力して月の収入・費用・損益と、3年分の資金繰りを試算できます。基本の試算は無料で使えます。


▶ 福祉事業の開業と運営 — ツール一覧では、計画相談支援のほかに、グループホーム・放課後等デイサービスなど各サービスの収支シミュレーターを公開しています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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