就労定着支援の2年目以降の運営と収支の変化。

就労定着支援の2年目以降の運営と収支の変化。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援は開業から最長3年が経過したころに、収支の構造が大きく変化します。最初の3年間は最低区分(月1,074単位)でスタートしますが、4年目以降は就労定着率の実績が反映されます。「2年目以降の運営と収支の変化」を具体的に把握しておくことが事業計画に欠かせません。

開業後の収支の時系列変化

就労定着支援の収支は、おおまかに以下のように推移します。

就労定着支援 開業後の収支変化の目安
時期 報酬区分の状況 収支の特徴
開業〜2年目 区分7(最低区分・1,074単位)固定 利用者数が少なく、固定費が重い時期。開業赤字を見込む
3年目 区分7のまま(実績なし) 利用者数が徐々に増える。処遇改善加算の算定が安定
4年目以降 前年度の就労定着率が初めて反映される 定着率が高ければ区分が上がり収益増。低ければ区分7継続
5年目以降 毎年実績を更新 実績に応じた安定した収益モデルへ

利用者数が安定するまでのコスト管理

開業初年度は利用者がゼロからのスタートです。就労定着支援員・サービス管理責任者を確保しながら、利用者がついてくるまでの期間を固定費が上回るため、開業当初は赤字を前提に運営資金の準備が必要です。

就労移行支援と多機能型で運営している場合、就労移行の就職者が6か月後から順次就労定着支援に移行するため、利用者の確保が比較的スムーズです。一方、単独で就労定着支援を開業した場合は利用者の確保に時間がかかることがあります。

2年目以降に発生しやすいコスト変化

開業2年目以降に注意が必要なコスト変化は以下のとおりです。

  • 処遇改善加算の計画届け出・実績報告:加算を算定するには毎年度の計画届け出と実績報告が必要です。提出忘れは加算の取り消しにつながります。
  • サービス管理責任者の研修更新:サービス管理責任者は一定期間ごとの更新研修(5年ごとの更新が基本)が義務付けられています。
  • 虐待防止・BCPの年次実施:虐待防止委員会・研修・BCP訓練は毎年実施が必要で、記録の作成と保管も求められます。

4年目以降:就労定着率の実績が収益に直結する

4年目に初めて前年度(3年目終了時)の就労定着率が反映されます。このときの定着率が高ければ報酬区分が上がり、月額収入が増加します。

就労定着率が7割以上(区分4:月2,234単位)になると、区分7の約2倍の収益になります。利用者20人・区分4の場合と区分7の場合では、月額でおよそ23万円程度の差が生じます(単価設定・地域差によって異なります)。

5年目以降の安定運営のために

就労定着支援は、定着率が安定した水準になる5年目以降に収支が安定しやすくなります。そのために必要なことは以下のとおりです。

  • 定期的な利用者との面談・職場訪問を継続する
  • 関係機関(就労移行支援事業所・特別支援学校等)との連携ルートを維持する
  • 就労定着率の計算根拠を毎年丁寧に記録・管理する
  • 処遇改善加算の計画・実績報告を確実に行う

収支計画で確認しておくべき数字

2年目以降の収支計画で特に確認しておくべき数字は以下のとおりです。

  • 損益分岐となる利用者数(固定費÷月額単位数×単価で計算)
  • 処遇改善加算を算定した場合の月額収入の増加分
  • 就労定着率が区分4〜7のときの収入の差

これらを複数のシナリオで試算しておくことで、2年目以降の運営判断がしやすくなります。就労定着支援の収支シミュレーションは就労定着支援 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号)

この記事は2026年11月時点の法令・告示に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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